第270話 お気に入り

2010年01月09日 07時02分11秒 | 子育て・「おママごと」

こだわりの強い2歳児。ひとつのものをこよなく愛す。
「これ、イヤ。あれ、イヤ」と今日着ていく服を選ぶのも大変な作業だ。
自分の趣味にあうものでないと着ない。
お気に入りの靴下なんて一週間フル活動である。
色あせ薄くなる靴下、このままではこの靴下は過労死だ。
休息のためとこっそり隠し、「靴下、選んできて」と促す。
器用に見つけ出し、「久しぶりに、これ、しよか」 久しぶりって、毎日それやろ・・・

車を見に行く。
並ぶ新車を前に、いつの間にやら主人が自分の車(買い替え)の相談をし始めた。
私の車を見るのが本来の目的だったのに・・・
仕方がないので、息子と共にお子様のプレイコーナーに行く。
そこに、大きな白い犬のぬいぐるみがあった。
「ママ、持ってぇ」
手渡され、
こいつは知らないフリをして、私が人形を動かしていることを知っているのではないか、
と思いながら聞けず、人形遊びの幕開けとなる。

人形の後ろに不自然に私がいることにまったく気づかぬ様子で息子が犬と交流している。
私も犬になりすまし、新鮮に息子に問う「あなたのお名前は?」「Kです」
「何歳ですか?」「2歳です」
親睦を深めようと彼が自発的に自分のことを語り始める。
足の裏を指さし、「Kの足、ツルツルやで」得意げに・・・
よりによってそこかぁーっ 彼のお気に入りパーツ。
犬にどうにかこうにか自慢のツルツルをわかってもらおうと、「K、靴、脱ぐ」
突如、犬の背後にいる私に視線をうつし、靴を脱がしてくれと訴える。
えーっ、脱ぐの・・・その間、犬ぐったり。

「持ってぇ」
絶対、私が操っているのがわかってるやろ、と思いながら聞く勇気もなく、
犬を間に、親子で「ツルツル」「ツルツル」言い合う恥ずかしさよ。
「いやぁ~お待たせしたねぇ」
店内の暖房かそれとも興奮か少し発汗しながらパパが「車、買うことにした」えーっ。
私の車の前に自分の車?!
今乗っている車とまったく同じものを購入する、らしい。
ここにもう一人、こだわりの強い男が・・・

追記

結局、足の裏のツルツルを見せ、息子の友となった犬。
車に乗り込んで出発しようとすると「もう一回、白い犬にバイバイするぅ」大粒の涙。
「じゃあ、もう一回だけやで」
担当ディーラーが笑顔で「何か?」「いえ、あの白い犬に・・・すみません」
今度こそと車を走らせたとたん「白い犬に会いたい」と号泣。
再び戻る私たちの車の元へ担当ディーラーが近寄ってくる。
「いえ、お恥ずかしい。あの犬にもう一度」を3回繰り返し、強行突破する。
車中で白い犬を思っては泣き続ける息子。
咳き込み、呼吸困難になるほどあの薄汚れた犬を・・・
もう今売ってないよあの犬、の一品。あぁ ほんと疲れる・・・

コメント (4)
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