第122話 かさぶた

2006年06月12日 02時20分06秒 | Weblog

慌てて走って、走ってこけて、膝に擦り傷、かまわず
駅まで走って、到着した電車にそのまま飛び乗る…。
傷口を洗う時間などない、そんな余白のない予定でした。
擦り傷など放っておいても治るだろうとその後も続く先約を優先、
「それ、跡が残るかもよ」と言われ、慌てて病院通い。
いつ、こけましたか?
8日前です。跡が残ったら怖いなと。
すぐ消毒しましたか?
外出先で、すぐ消毒できる環境になかったので…傷跡は残りますか?
傷の治療は1週間以内が勝負です。既に1週間経過していますからね~
傷跡を残したくなかったら、どうしてもっと早くに病院に来ないの?
一生残る…?
こうなって初めて、消毒する、病院に行く、そんな余裕もなく、
私は一体何を優先していたのだろう…
傷口をかばいながら過ごし、ようやく包帯がとれたものの、
1年は日焼けしないよう注意を受けました。
1年も…先生と話す私の口の中には口内炎がひとつ。
痛いのでかばいながらご飯を食べていたら、唇噛んで、口内炎がふたつ。
できた口内炎は日ごとに大きくなっていきます。
体にあらわれ始めたサイン、息切れしている私を認めました。

第2回公演を終え、継続することの難しさを思います。
公演広報拠点は自分の居場所から、範囲は身近にいる方々が主になります。
友人や知人にお時間とお金をいただく形になりますので、告知には毎回勇気を要します。
私にとって公演は365日分の唯一、ですが人にとって唯一最優先事ではありません。
そうと知りつつ、自身にいいきかせつつも…
身近であればあるほど、底に信頼が潜んでしまうのでしょう。
その返答に一喜一憂、大きく気持ちが揺れます。
観にきて下さった方へ感謝の思いは発せても、
お金が伴うことの申し訳なさが私の心に残ります。
そんな自身の濁りを消すために、何かお返しできないものかと考えてしまいます。
何か…それは、一緒に共有した舞台作品だ!と言えない弱さ。
また、舞台はひとりでできませんから、たくさんの方のお力をいただきます。
その恩を返せるのはやはり舞台です。発信後は、受信者として舞台空間を作ります。
この観劇のお誘い、重なることがあります。観客としてそこに在るため必要な体、
一方を立てれば、もう一方に私は存在しえないのです。断る。謝る。落ち込む。
重なる予定は観劇ばかりではありません。体(心)はひとつ。
向かいたい方向に首がまわらなくなりました。
好きを見失いかけています。疲れたのです。

今回の擦り傷の治療で驚いたことがあります。
今は、かさぶたを作らず、新しい皮膚の再生を待つのです。
その方が治りが早いのだそうです。
私の中のうじうじした気持ち。見せずに隠して頑張るものだとずっと思っていました。
まだ、きちんと答えが見つかっていない段階で思いのまま綴るのはどうかと思いましたが、思い切って、かさぶた、とってみました。
好きで始めたことに対して言ってはいけない言葉を、正直に、「しんどいです」

醜い傷口を見せました…(ごめんなさい)
でも、もう一度、まっすぐな気持ちが生まれるのを信じて、
動けない今、一度手放して待つ勇気を持ってみようと、
そんな試みのある弱音です。

※続けることは難しいと思います。が、続けている方はいます。その強さを尊敬してやみません。

コメント (2)
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