暑かった夏もようやく収まり、
秋の気配を次第に濃くしているこのごろです
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まだ、夏の日差しの残る9月29日
オベロン会の例会が行われました。
今回の発表者は杉本裕代さん。
フラナリー・オコナーの "Good Country People" を中心に発表してくださいました。
オコナーといえば
今回の
"Good Country People"をはじめ
"A Good Man Is Hard to Find" や "Everything That Rises Must Converge" などで
日本でも早くから人気のあった作家です。
"Good Country People"は(みなさんご存じのように)
「母子関係」に問題を抱え
「知的」には優れていて、「博士号」をとるほど学歴もあるけれど、
「引きこもり気味」の「オールドミス」、「義足」をつけたハルガが主人公の物語です。
( 「 」に入った言葉が、今回の発表のキーワードになります
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一見、平穏にみえる南部の片田舎の家庭に
突然、トリックスターめいた「聖書売り」の若者がやってくることで、
物語が動き始めます。
ハルガは、この青年に誘惑されるふりをしていたのですが、
二人っきりになった納屋の中で、「義足をはずして見せてくれ」と迫られると……
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……と、杉本さんは、丹念にひとつひとつのシーンと描写をたどりながら、
そこに現れる(あるいは秘められる)
作品のテーマと問題点、分析の手がかりを指摘していきます。
そして、こんな田舎の、奇妙で歪んだ物語が、
1950年代の女性をめぐる社会的状況や、
「赤狩り」の時代の知識人たちの閉塞感に連なる可能性に言及していくのでした。
「善」や「悪」をめぐる普遍的な問いかけや、キリスト教の信仰といったテーマから
論じられることの多いオコナーですが、
今回の発表は、従来の批評とは違った、非常に新鮮なアプローチを示してくれました
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最後には、最近出版された
オコナーの Cartoon集 も紹介されて、
彼女の創造したグロテスクな世界の源泉をかいま見ることができたのでした。
今回は"Good Country People"を集中的に論じたかっこうになりましたが、
途中でたびたび言及されていた Wise Blood や、それ以外の短編作品についても、
是非、論じていただきたいですね
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発表後の質疑応答では、「ハルガの身体性」「アメリカン・ゴシックの系譜」「トリックスター論」
「象徴としての義足」など、実にさまざまな論点に話題がおよび、
縦横無尽の議論が、1時間以上も続いたのでした
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杉本さん、どうもありがとうございました
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