ようやく猛暑が終わったと思ったら、豪雨になったり、
本当に不順な天候が続きますね。
さて、今月のオベロン会は、29日(土曜)の午後2時から、
いつものように国際文化会館で開催されます。
発表者は杉本裕代さんです。
杉本さんから、ご発表についての要旨をお預かりしています。
たいへん詳しい説明です。私たち聞き手も、しっかり準備して
臨みましょう。
その前に、日程と場所を確認しておきます。
オベロン会 9月例会
9月29日 午後2時から
場所: 国際文化会館
都営大江戸線 麻布十番駅 7番出口より徒歩5分
東京メトロ南北線 麻布十番駅 4番出口より徒歩8分
それでは、ご発表の要旨をどうぞ!
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「グロテスクな笑いの文脈:フラナリー・オコナーの『善良な田舎者』をめぐって」
Flannery O’Connerは、南部ゴシックの系譜の中で、短編の名手として
言及される作家です。彼女は、信仰の問題や難病を抱えた人生を歩んだ
ために、彼女の作品が、読者のなかに呼び起こす感情は、宗教的な説明を
ほどこされるか、人生の悲哀として、抽象化されることが長く続きました。
彼女の作品には、独特の笑いの要素が確かに存在しているのですが、それは
上記のような議論のなかでは、ほとんど言及されることがありませんでした。
おそらくは、彼女が描く「笑い」というものが、ペーソスとも言い難く、
シニカルというには絶望的なものであるためでしょう。
本発表では、彼女が、文筆以外にも、コミック作家になりたかったことを
ヒントにしながら、1950年代に隆盛を極めたアメリカン・コミックの文脈の
なかで、作品を考えてみたいと思います。主に、「善良な田舎者」Good Country
Peopleを取り上げ、『賢い血』Wise Bloodにも言及する予定です。
彼女の生涯の出来事だけを、作品と照らし合わせてみると、その作品は、
あまりにも作家の技法というものは吹き飛んでしまい、批評の出る幕も
なさそうに思えますが、当時のサブ・カルチャーを照らし合わせてみる
ことで、オコナー作品の新しい解釈を探ってみたいと思います。
2000年代後半から、冷戦文化とオコナー等、オコナーの時代性を論じる
研究もいくつか登場していますので、それらの紹介と検討も行えたらと
思っています。
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