今年に入ってからのマイブームは植物の不思議
先日読んだのは「植物はなぜ薬を作るのか」齊藤和希著
確かに植物由来の薬は多いし、それは人間にはとても役に立つ
しかし、植物は人間に役立とうとして薬の成分を作っている訳ではない
(と繰り返しこの本では説いている)
何気なく認識している時間という存在は、考えてみるととても不思議なものだが
時間はエントロピーの増大する方向とか、生き物が生きながらえる方向に
進んでいき後戻りはしないものだと認識する
生きているということは、単細胞でもそれを維持し仲間を増やす方向に
活動し、それこそが生き物の定義とさえ思えてくる
(時間の存在というものは生きているという実態がないと意味をなさないとさえ思う)
自らが生き延びるためにいろんな方法を植物は講じている
それは「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の世界の出来事で
突然変異というかDNAのコピーミスでたまたま条件が良いものが
とてつもなく長い時間をかけて今に至っている
人間の分析的な能力が、植物の各個体の工夫を役立つものを選別し
単独に取り出して、あるいは似た化合物を作ったりしている
この本では個々に薬としての成分が、化学式とか構造が図で紹介されている
何でもそうだが、この道にハマった人は日々感じられる植物の生き様の
たくましさとか不思議に、ますます心を奪われるものと想像できる
自分ももっと若くて時間があったなら、この分野を追求してみたいとも思う
と同時に、生き方の問題として、人間中心の世界観だけで生きていって
良いものだろうか、、とも考えさせられる
生き物は必ずしも相手を慮って協力して生きているのではなくて
それぞれの生き物がデタラメに試行錯誤した結果(突然変異を繰り返した結果)
たまたま上手くいった生き方として共存という生き方をしているのが現実のようだ
植物や微生物の生き方を知って、人の生き方にどのように影響するかは
薬として役立つか否かだけではない、どこか感情を伴った判断基準が生まれてくる
残念ながらために唸る本を読んでも、読んでいく端から忘れていくという現実があるが
それでも不思議を感じ、驚きを覚える力は失いたくないものだ