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パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「トランプ信者潜入一年」を読んで連想したこと

2025年03月02日 09時57分22秒 | 

ベルリンの壁が崩壊した後フランシス・フクヤマは「歴史の終わり」を書きあげた
人間が作り上げた制度、思想は進歩するものと捉え、その終着点として
資本主義・民主主義を標榜する陣営、特にアメリカが代表する世界観が
全世界を席巻するものと少しばか楽観的すぎる自説を展開した

そしてこの時代の覇者と思われたアメリカは
その力(兵力・経済力・理想主義)によっておそらく過度に世界に介入していった
ところが徐々に現実社会は、NHKの「欲望の資本主義」で紹介されるように
格差・少数者の支配などを始めとして世の中の混迷の度を深めていった
それは資本主義に内在する問題かもしれないと思えるところもあった

時が少し経って、今思うと予言のように出版されたのがハンティントンの「文明の衝突」だった
それには地政学的、歴史的に育まれた民族の思考法は、必ずしも西洋的な価値観での
それと一致するものではなく、むしろ対立を生む可能性を示唆している
アメリカとロシア、イラン、中国 それらは同じ価値観で同じ傾向の考え方をしない

結局のところアメリカの世界に対する相対的な影響力は低下していった
それでもアメリカは、経済的、民主的、人道的な面で支援を行うことは続けていた
それはノブレス・オブリージュと言われる、富んだ者、力のあるものは
弱いものを助けるといった余裕のあるところを見せていた

しかし相対的なアメリカの影響力や国内の社会環境はトランプ大統領が
「MAGA」(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)
と宣言しなければならないほどの状況になった

昨日からテレビでも多く報道されているトランプ大統領とゼレンスキー大統領の口論
個人的にはこれは「遅かれ早かれ、どこかで起きること」と思っていた
どちらかが現実を踏まえていなくて間違った行いをしたとうよりは
いずれ起きるに違いない出来事のように思えたのだった

ところで昨日読み終えた本がこれだった(トランプ信者潜入一年 横田増生)


自分はトランプ信者ではない、むしろその反対だ
対立する人間を敵と見なし、暴言を良心の呵責もなく繰り返す人物を
あのポジションのおいては駄目だと思っている
そしてアメリカ人が民意としてか彼を大統領に地位に選んだのは
実はアメリカの自滅だと思ってる
彼の得意なディール思考、それはノブレス・オブリージュとは対立するもので
それがあった故に「腐っても鯛」と世界からは信頼されていたアメリカが
自らその地位を捨てたのだと思えてならない

さてこの本の中で、日本人としては感覚的に把握しにくいのがキリスト教の影響だ
白人のキリスト教信者、トランプ氏の応援する母体がそれだが
そのメンタリティはインタビューを読んでもストンとか受け入れがたい
(人工中絶反対の考え方だけでなく)
そして実感と違っていたのは自己責任という概念の徹底されていること
それは日本人のそれとは随分違っているように感じる
日本では皆保険制度が当たり前のように存在し、困った時、弱者でも守られるようになっている
ところがアメリカでは、それがないことでも、そしてそれ故に大変なことになっても
自己責任だから仕方ないと考える人が少なくないようだ

そして現実社会に存在する人種差別
オバマ大統領の誕生は早すぎたとの考えもあったようで
それに対する反動もトランプ氏に味方したとあった

でも一番ショックだったのは、日本でも見られる傾向だが
SNS等の偽情報に無頓着なことだ
嘘でも真実でもどちらでも良い、役に立つものならそれが価値だ
そのような扱いで社会に影響を与え続けるメンタリティは
従来ならば出馬の時点で降ろされるのだが、日本でもそうだが
こうした人物を大衆が面白がって支持してしまう

とんでもない人物が誕生したり、登場したりすることの怖さよりも
大衆が面白半分に彼ら支持したり生み出してしまう怖さのほううがずっと怖い

社会にある程度必要なのは現実感覚だと思われるが
それに依存することは、ある意味で力による支配を認めてしまうことになる
世界は力関係だけで成り立って良いものか?

いま日本国内で起きている兵庫県の斎藤対反斎藤の対立は
まさに分断と言うべきもので、お互いが譲らないでますます激化しているかのようだ
それはトランプ対反トランプとよく似ている
つまりはこうした出来事も時代の必然なのだろうか?

それにしても、大衆がより良い選択をする!
というのはとても難しいことと思えてならない


 

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