パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

成功体験

2022年02月20日 09時41分07秒 | 徒然なるままに

昔の話
出来るときにやっておいて良かった!
と実感するのが小中学生のサッカークラブ(スクール)のコーチ

自慢するもののないなかで、自分には小学一年生のちびっこから
OBの40歳を超えたおじさんまでの知り合いがいることは
少しばかり誇らしかった

体が動かなくなり、だが気が長くなった頃の自分の担当は
小学校1・2年生だった(6年とか中学生は若者の受け持ち)
この時期の子供はたいへんだ
言葉が通じない 集中力が続かない 我儘だ
言えば分かると思い込んでいる若者がコーチ役を受け持つと
カッカしてストレスばかりが募るだろう

時々彼らには「君たちはウルトラマンだ」と言ったことがる
そのこころは、3分間しか集中力が持たないからだが
今どきの彼らはウルトラマンを知っていたかどうかはわからない

今も楽しい思い出がある
「5,4,3,2,1」と最後の方はみんなで声を合わせる
カウントダウンが終わると出てくるのは
「こらーっ!」という叱責
みんなで声を合わせて「こらーっ!」」というのだから
自分たちが怒られていると認識していたかどうかはわからない
ただ真面目にできていない状況の変化を促すには一定の効果はあったようだ

飽きさせないように練習の工夫をするのが面白かった
競わせると彼らは何でも夢中になる傾向がある
その中でキックの感覚を覚えさせるために(足の甲の当てる場所の感覚を覚えるために)
ゴールに向かってパントキックをさせた
それをするだけでは面白くないので、一人ひとりそのトライごとに点数をつけた
「8点」「5点」「10点」
「合計30点になったら休んでいいいよ」
これは盛り上がった
「ねえ、今のは? もっといい点つけてよ」
こうしてムキになって競う
上手な子には利き足出ない方を練習させる

ところが上手くできない子もいる
目の前の子が難なくできているのに、その子はできなかった
目の前に投げたボールが落ちてくる前にキック動作をしてしまうので
ボールに当たらない
そういう子の中には悔しくて、すねて練習から一時的に離れてしまった子もいた

そんなある時、手こずっていた一人の男の子がパーンと
素晴らしいタイミングのキックができた
「できた!」
思わず彼から声が出た
その時の晴れやかな顔、達成感、充実感を感じさせる表情は今もしっかり記憶に残っている
「自分もうまくできた」という感覚と、練習をしていればいつかできるようになるという体験は
その後の彼の生き方にも大きく影響を与えたと思う

上手くできた彼は次のトライは上手くできなかった
「さっき出来たよね、さっきのことを思い出して、一度出来たから絶対できるよ」
彼はうなずく
でも上手くいかない
「できるはずだ、あの感覚をもう一度味わいたい」
彼の心中を大人が想像すればこんなだったと思う

この彼は決して恵まれた運動神経ではなかったが
そのひたむきさゆえに6年にはキャプテンの役を担うことになった
今も思うのは、あの上手くいったときの快感
そして努力すればなんとかなる、、という実感が
彼にとっては最大の経験だったのではないかということで
それはきっと間違いないことだと思う

小さな子でも成功体験は後の生き方(すこし大げさか)に影響する(と思う)
良い成功体験は、勝手に努力する癖をつける
世の中には報われない努力もあるが、ささやかだが内面的に報われる努力もある
何かをなすにはたっぷりの時間のある若者には、良い成功体験味わってほしいし、
その機会を提供出来たらと、おっさんは思う


コメント
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