パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

可愛らしい痩せ我慢を!

2017年10月04日 05時17分00秒 | あれこれ考えること

「太った豚になるよりは、痩せたソクラテスになれ」
昔、話題になった言葉で、東大の卒業式で大河内一男総長が述べたと報道された
ところが実際は、当日この言葉は使われなかったらしい
しかも元々は「なれ」という強制的なものではなかったらしい 

功利主義者ジョン・スチュアート・ミルの
満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスであるほうがよい」
大河内総長が意訳して用意したが実際には語らず、草稿を手に入れた新聞社の「なれ」という表現の報道によって世に定着した
というのが本当のところらしい 

ところが、意図したものと違っていたかもしれないが、この「なれ」の表現のほうがその時代の雰囲気を表しているのではないか
あの時代はどこか気張って、読みこなせもしない朝日ジャーナルや「資本論」を携えて髪を伸ばし、
タバコの煙の漂うジャズ喫茶で聞いたふりをする、そして太った豚より痩せたソクラテスを目指す
それがカッコいいとされた(と思う)

今思うと可愛らしい痩せ我慢だ
でも嫌いじゃない
いやむしろ微笑ましく、今もそうあって欲しいとさえ思う

最近の社会は本音が幅を利かせすぎて、何もかもがストレートでどこか余裕がなくなってきている
そんな時だからこそ、こういうやせ我慢が見たいな(我慢してるのは見抜けるから)

 


コメント
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