日盛りの道の上で

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田起こし

2013-03-19 16:59:52 | インポート
 冬の間眠っていた田んぼが地面を出したので、作物の植え付けや種まきをするために、田んぼを耕すことを「田起こし」といいますが、雪に覆われる北の地方にこそふさわしいこの言葉を九州でも使います。

 今では農家らしい仕事と言えば稲作くらいしかやってない我が家でも先日田起こしをしました、目的は種を播くことではなく、田植えまで雑草が茂らないようにするためです。

 植物は春になると本当に新たな命をもらったかのように生き生きと繁茂します、例えば1年間何も植えず、何も世話をしなかった田んぼや畑は、たちどころに原野と言われる草の波に飲み込まれてしまいます。

 何百年あるいは千年の昔から田んぼや畑はそうして、先人たちの努力によりその形を保ち、あるいはその面積を広げてきました、そうすることで人は飢えることなく生活することができたからです。

 それが、いつのころからか(私の父母は専業農家で生計を立てていました)米や野菜やその他生産的な仕事を頑張っても生活が苦しくなり、農業者の息子が農業を継がなくなり、労働力不足から機械に頼る農業をするほかなく、農業生産の分はみんな機械代や農薬代に持って行かれ、結果的に収益がなくなってしまい、さらに農業をやる人がいなくなり、膨大な田畑が原野に還ろうとしているこの頃。

 このような日本農業の現状にTPPはとどめを刺すでしょう、病院で点滴や酸素吸入を受けながら息も絶え絶えだった日本農業は、その生命線を外され完全に死にます。

 トラクターの上から、あたり一面荒れ果てて緑の海になった田んぼのイメージが浮かびます。