言の葉収集

思ったこと、感じたこと、出逢ったこと
いろいろ気ままに書きたいと思っています。

2年前の悪夢(2)

2006-09-29 20:30:51 | 出来事
昨日の続き。

2年前の今日、真っ暗な町と真っ暗な家で、家族が迎える初めての夜はとても不安であった。
明日からのこと、仕事のこと、費用のこと、水はすっかり引いていたが不安だけは家中にこびりついていた。

そして、朝から何も食べていないことに気づく。町中が浸水したから店もやっていない。隣町のコンビニに行くにも車が動かない。
妻がジャーを開けると、冷たいご飯が少し残っている。
それを家族3人で分けて食べた。通常のおにぎりの半分ほどにしかならなかったが、それにふりかけをかけて食べた。
そのおにぎりの美味しかったこと美味しかったこと。

真っ暗な状態で考えることは非常によくないことに気づいた。
すべてがマイナスの方向へと向かうのだ。
同じ悩みでも、真昼間、青空を眺めながら考えたら違った答えが出てくるのだろうと思う。

そして、被災者が口を揃えて言うのは、

「写真やビデオが無くなったのが悲しい」

そう、テレビや冷蔵庫、洗濯機など家具ならまた買うことが出来る。
ところが、写真やビデオテープは当然ながら同じものは手に入らないのだ。特にこどもの小さい頃の思い出はこたえる。
あれ以来、2階に保管するようになった家も少なくないだろうと思う。
本当に月日の経つのは速い。あれからもう2年…。

あの時の人のやさしさを忘れてはならない。
あの時の生活の不便さを忘れてはならない。
あの時の頑張りを忘れてはならない。

あの時のおにぎりの味を忘れない。