バカ犬

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薬の通販の議論、忘れられた利用者

2009-03-01 | Weblog
いわゆる大衆薬の通信販売が厚生労働省の規制(省令)で6月からできなくなるということを知った。

ネット業者は利便性を上げて反対。薬害被害者たちは安全第一だと推進派だ。

だが、本当の裏の裏には、薬剤師の団体や、伝統的な富山の置き薬の団体のような利害もあるようだ。

関係団体が一堂に会して、今になって検討会なるものを開くという。

厚生労働省側に言わせると、薬剤師のいる店頭で、ちゃんと説明を受けて薬は買って欲しいということのようだ。

それにしても不思議なのは、その検討会に利用者の意見を吸い上げる仕組みが全く無いことだ。最大の当事者は利用者そのものだ。
なぜ、利用者の意見を吸い上げる検討会にならないのか、利用者の意見を聞くのが順当だろう。

通信販売が、一律に禁止されるとどういうことになるのだろうか?

一番の心配は、過疎地に住む住人たちだ。その地域には薬局などは無く、「限界集落」と呼ばれたりして、まさに普通に生活している人には考えられない取り残されただ。

国土交通省の「過疎地域の集落調査」(2007年1月現在)では、全国的に見ると総計63000集落のうち
・65歳以上のお年寄りが半数以上の集落が7900(12.6%)
・集落として機能できない集落が3000(4.7%)とか言われている。
さらには、10年以内に消滅の可能性のある集落が400、いずれ消滅する可能性のある集落が2200、合計2600とかいわれている。人口の数はわからない。

厚生省のお役人たちは、こうした過疎の集落に住むお年寄りたちにどうやって薬を届けようとしているのか全く不明だ。考えもしていないだろうと思う。

そこに住む人たちにとっては、昔ながらの置き薬屋さんたちと、ネットを含めた通信販売の宅配便などが唯一の薬を手に入れる方法だ。

私の曽祖父の出身の集落も正にこうした限界集落となっている。あの遠い親戚のおじいちゃんやおばあちゃんはどうやって薬を手に入れるのだろうって考えてしまう。
一番近い薬局のある町までだって、車で1時間近くは掛かる。
彼らをどうするのって、まず舛添さんに訊きたい。

これらの限界集落ってことに限らず、都会にいても母子家庭だとか昼間の時間が全くない人たちだって困るはずだ。ネットは、田舎と老人と時間の無い人に優しい道具だと知るべきだ。

愛の無い政治は本当の当事者を置き去りにした議論をしている。
情けない官僚たちだ。メディアもそうした観点では取り上げていないようだ。これも情けない。

他の選択肢を考えるのが、お役人の仕事だと思う。代替案の無い議論は不毛だ。

追記 :

昨日、3月2日、この問題の担当官庁、厚生労働省医薬食品局総務課に℡して、この趣旨の意見を伝えました。

そこで確認したところ、やはり、こうした過疎地域の老人たちの立場とか、ネットの利用者なのど利便性を代弁する団体の代表はこの検討会に参加していませんでした。全国消費者団体連合会の会長さんなども出ていたようですが、こうした観点での議論は行われなかったようです。弱者の立場は誰も代弁していないようです。

また、厚生労働省の老人医療関係の部局もこの検討会に全く関与していないことも確認しました。いかに真の利用者の観点での議論が行われていないのかということと、縦割りで関連部局の巻き込みも行われていないことを確認しました。

今後は、利用者の立場の意見の吸い上げもお願いして了解を得ました。見守っていく必要があります。

3月3日追記