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B-scale fan's log

Since 2004.4.16

最近は映画の感想がメインですが、
元は戦車模型のblogでした。

夕凪の街 桜の国

2007年08月12日 | 日本映画 評価5
公開中 佐々部清監督 田中麗奈、麻生久美子主演
    共演 藤村志保、堺正章、吉沢悠、中越典子 他

この夏本命の映画がようやく昨日より近所で公開。
と言う訳でさっそく観て来ました。
監督が『出口のない海』と同じ人なれば、
単純な反戦映画でなく、きっと志のある作品のはず・・・。

新評価 5.0

2部構成のこの映画。前半の悲劇性に対して、
後半はひとつの家族3世代のルーツを追うような物語で、
感動のボルテージは尻下がり気味、やや点落ちですが、
この監督は盛り上げて、感動させて、泣かせる。
そんな映画つくりをしないのでしたね。
最近、そんな映画ばかり観ていたから鈍ってました。

被爆した皆実(麻生久美子)が言う台詞。
「私たちは誰かに死ねば良いと思われたのだ。」
そんなこと誰かに思ったことありませんか?
「原爆は落ちたのではない。落とされたのだ。」
今も世界は平和でも正義だけでもないのです。

くしくも七波(皆実の姪)田中麗奈の言う
「有ったことを忘れた振りをしても、無かった事にならない。」
ここから何か考えてみても良いのでは?

出口のない海

2007年06月03日 | 日本映画 評価5
2006年 佐々部清監督 市川海老蔵主演
    共演 伊勢谷友介 柏原収史 伊崎充則
    香川照之 上野樹里 
    古手川祐子 三浦友和 永島敏行
『六大学野球の投手、オリンピックを目指した長距離ランナー、
 母親想いの陽気な青年、歌が得意な青年。
 そんな彼らが戦争の悪化にともない大学から海軍へ進み、
 そして特攻兵器「回天」に志願した若者たち。
 それは本当に彼らが望んでいた事だったのか・・・』

最後の老人のシーンが無ければ本当に満点でした。
海老蔵の視点で描ききっていれば・・・ブレが惜しい。

新評価 5.0

「潜水艦の映画に外れなし」と言ったのは福井晴敏でしたが、
低予算の映画なのか舞台向きな場面設定。
よって派手な戦闘シーンもないし、ベタな泣かせシーンもない。
でも21世紀の特攻映画の決定版。と思います。

なぜ彼らは決して生還の出来ない人間魚雷に志願したのか?
国家のためか、家族のため、愛する者のため、自分のためか。
死ぬための技術を懸命に学び、訓練で間違いを冒すと、
上官に「死んでしまうぞ」と言われる理不尽さ。

また彼らを送り出した上官(年長者)たちは、
なんの為に未来ある若者を死地に追いやり、
兵法の邪道に突き進んだのか?

往年の東宝の戦争映画の俳優の沢山出ている反戦映画です。

フライ,ダディ,フライ

2007年05月20日 | 日本映画 評価5
2005年 成島出監督 岡田准一、堤真一主演
    出演 須藤元気、星井七瀬 他
『娘に重傷を負わせ入院させた男子高生に復讐するため、
 生徒の学校に乗り込んだおっさん。
 しかし隣の高校に間違えて入ったことが切っ掛けで、
 喧嘩の強い男子高生スンシンに弟子入りし特訓が始まる。
 目的は相手をぶちのめし、娘を病院に迎えに行くこと。』

新評価 5.0

公開当時から気になっていました。
リアルな武闘派ムービーでなくコメディタッチの作品です。
しかし相手の生徒と学校の先生が憎たらしいこと。
金と権力があれば何をしても大丈夫と思っているような奴は、
この映画のようにブチのめしたくなりますよね。

まぁ現実にはそんな事は出来ないのですが、
会社を休んで高校生(ボクシングのセミプロ)相手の喧嘩のために
中年男性が特訓をし、妻も娘も仲間の高校生もそれを応援する。
その有り得なさと、明るさがこの作品の面白さです。

約束を守ることを重要と思わない人は、この映画を見る必要なし。
「よき羊飼いは、羊のために生命を捨つ。」
・・・・・ヨ八ネ福音書第10章11節ですよ。

眉山 -びざん-

2007年05月14日 | 日本映画 評価5
公開中 犬童一心監督 松嶋菜々子主演
    共演 宮本信子、大沢たかお、円城寺あや、
    山田辰夫

久々に劇場に足をはこびました。
GW映画と言えば大作が多々有りますが、
全てを袖にして検討したのは、
女優で選んで「初雪の恋」とこの映画。
事前に映画評を見てこちらにしました。

新評価 5.0

母子家庭で母親の生き方に反発し故郷を離れた娘が、
母の余命が幾ばくもないとの知る。
基本がすでに王道な物語設定ですが、
さだまさし原作の物語は幅のある飽きの少ない展開です。

役者さん。東宝シンデレラの黒瀬真奈美はまだ置いておいて、
よくもこれだけ演技巧者ばかりで集めたものだと感心します。
脇役の円城寺あやと山田辰夫もよかった。
この点においても映画が安心して見れる好ポイントでした。

犬童作品は時々不思議なカメラワークがあるのですが、
今回は徳島県という大きな協賛だったせいか、
ブレのない安心したカメラ割りでした。
話に関係のない人のカット多用がありましたけど。
後半の一切音の入らない演出は見事です。

それにしても松嶋菜々子をあれだけ嘗め回して撮ったら、
本人も辛かったのでは?
この辺りは犬童ワークスでしたね。

バッテリー

2007年03月27日 | 日本映画 評価5
公開中 滝田洋二郎監督
    出演 林遣都、山田健太、鎗田晟裕
    萩原聖人、天海祐希、岸谷五朗、菅原文太

新評価 5.0

あさのあつこの児童書の映画化。
そのせいか春休みの劇場は子供が多かったですが、
低学年くらいの子供には難しいかも!?

映画は話すことが苦手で対人関係が上手く築けず、
野球でしか自分を表現できない少年。
しかも彼のピッチングは天才級であるがゆえに
周囲に傲慢でもあり、
才能を持たない者の嫉妬を受けたりしながらも、
彼の才能を認めた年長者や友人、ライバルによって、
やがて野球だけでなく人間的にも成長していく。
お約束なストーリーですが、上手い脚本でしたね。

この主人公みたく、自分も何か能力が秀でていれば・・・、
と昔から思っていますが、無いんですよね~(悲)。
でもこの映画には人の才能に気がつく事の出来る
人たちもいます。う~ん今後はそっち方面かな?

人使いが上手いとは、よく言われるのですけどね。

欲望

2007年03月22日 | 日本映画 評価5
2005年 篠原哲雄監督 板谷由夏、村上淳主演
    共演 高岡早紀、津川雅彦 他
『図書館で働く類子は、中学の同級生の阿佐緒と偶然に出会い、
 それがきっかけで中学生のときに片思いの正巳とも再会する。
 かつて阿佐緒と正巳は恋人同士で別れた過去が有り、
 今はお互いに惹かれあう類子と正巳。
 しかし正巳は16歳の時の交通事故いらい性的不能であり・・・。』

満足度 5.0

小池真理子原作で三島文学をトリガーにしていますが、
性的不能ゆえの純愛?をテーマに深く見せてくれます。
R18指定で映像的には板谷由夏の大胆な姿もあるので、
かなりエロさは高いですが、
文学的に作り上げた篠原哲雄監督も良いですね。

音楽は布袋寅泰で普段のロックなイメージと違い、
内容に即した聞かせる音楽を作っています。

『female フィーメイル』を見直してみるのも良いかも。

アカルイミライ

2007年03月16日 | 日本映画 評価5
2002年 黒沢清監督 オダギリジョー主演
    共演 浅野忠信、藤竜也、笹野高史 他
『東京の2人の若者仁村と有田は、同じ工場で働く仲のよいバイト仲間で、
 年上の有田を仁村は慕っていたが、日々何の希望もなく過ごしていた。
 ある日、工場の社長が2人を正社員にしようと関わってきたことから、
 有田は変わり始め、やがてペットの毒クラゲを仁村に託すと・・・』

満足度 5.0

いかにも映画的なエキセントリックな内容ながら、
似た人がごく近くに存在していそうな登場人物たち。
この配役は父親とその子供くらい両極端に歳が離れており、
また藤竜也や笹野高史への演出を通じて見ていると、
これは今の若者(2,30代)たちの父親世代への意見に思えます。

社会では「何かをした」が、家庭では「何もしなかった」父親たち。
今の世の中は彼らが作り上げた訳ですが、
それが子供達にとって『アカルイミライ』になったのかどうか。
なんとも皮肉の利いたタイトルです。

バブルへGO!!  タイムマシンはドラム式

2007年02月10日 | 日本映画 評価5
上映中 馬場康夫監督 
    阿部寛、広末涼子主演
    共演 薬師丸ひろ子、吹石一恵、伊武雅刀 他

新評価 5.0 <普通にイイ

広末さんには興味はありませんが、
ホイチョイ・プロ作品に大いに期待して見ました。

舞台はバブルが終わりかけの1990年。
当時、私は若手社員で毎日のように飲みに行き、
洋画ではマクレーン警部が空港で武装右翼と闘い、
角川さんはエキストラ多数の戦国映画をつくり、
石原さんは国の勢いに乗って「NO」と書き、
プリプリはダイヤモンドで輝いていた時代です。

そんな当時の浮かれた世相と、ドラマな陰謀を絡めながら、
ホイチョイらしく軽妙にまとめ上げてます。
つくり的には今時な目からしたら古臭くもあり、
タイムマシン物なので、当時から今に至る時の流れが
分かっていないと、共感という部分で多数には厳しいかも。
例えばラモスのくだりとか。
 
広末涼子も普通にイイ。・・・いや可愛かった。
劇団ひとりもよく映画に出てますね。

阿弥陀堂だより

2007年02月08日 | 日本映画 評価5
2002年 小泉堯史監督 寺尾聰、樋口可南子主演
    共演 田村高廣、吉岡秀隆 他
『ある夫婦が夫の実家の信州の山間の村に帰ってきた。
 夫は売れない小説家であり、妻は有能な医師であったが、
 パニック障害という心の病で、その静養もかねていたが、
 村は無医村で妻は週3日、医師として働くことになった。』
 
満足度 5.0

本当は人の死生観を問いかけるストーリーなのですが、
暗い話にならないのは、長野の素晴らしい景色と、
そこに出てくるお婆さん、すべてが可愛いからです。
「自分は~であります。」なんて台詞、ケロロ軍曹みたい(笑)。

小西真奈美が話すことが出来ない村人の役で出てきますが、
筆談の字が上手い。さては通信教育で学んだのか?

ハサミ男

2007年01月15日 | 日本映画 評価5
2004年 池田敏春監督 豊川悦司、麻生久美子主演
『同居する2人の男女。女は自殺願望の持ち主であり、
 男は連続殺人犯でハサミを喉に突き立てるのが特徴で、
 その為、マスコミからは“ハサミ男”と呼ばれていた。
 ある日、彼らが次の対象を探していると、
 男と全く同じく方法で殺された死体を発見した。
 彼らは自分達のために、その模倣犯を捜しはじめる。』

新評価 5.0

この手の映画にしては上映時間119分は長いと思ったら、
映画の導入部こそ、このアラスジですが、
その後は話しがどんどん変わっていくため、
ぎっしり詰まった無駄の無い時間でした。

果たして模倣犯は誰なのか?
なぜ、この女性は殺人犯に服従しているのか?
ハサミ男の犯行の動機はなんなのか?
その疑問は途中で察しがつき始めましたが、
更に更にどんでん返しがあります。

音楽は本多俊之。伊丹十三監督作品の音楽をされてた方で、
けっこう、この手の劇伴は好きです。
警察キャリア役で阿部寛も出演。ええ男がそろってます。