B-scale fan's log

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最近は映画の感想がメインですが、
元は戦車模型のblogでした。

トウキョウソナタ

2010年02月28日 | 日本映画 評価3
2008年 黒沢清監督
    出演 香川照之、小泉今日子、小柳友、
    役所広司 他
『東京に暮らす、ごく普通に見える4人家族。
 しかし父親は突然に会社をリストラされ、
 その事を家族に言えず職安に通う日々。
 大学と小学校に通う息子も悩みを抱え・・・』

新評価 3.0

ごく有りがちな家族の崩壊の物語。
夫は総務課長として日々を頑張っていたが、
会社からあっさり首を切られてしまえば、
社会にアピールできる技能なんてなく、
職を選ぶ自由なんて全く無い事に気づく。

一方、子供ながらに社会に揉まれ、
大人の理不尽さに振り回される子供たち。
長男は理屈をコネながら破壊の象徴の軍隊に、
次男は偶然見つかったピアノの才能を開花させ、
社会の荒波に漕ぎ出していく。

妻は淡々と母親役を「演じて」おり、
うすうす周りが歪んで来たことに気づくが、
抜け出す術など思いつきもしない。
家に入った強盗と一時的に家から逃げ出すが、
翌日には母親として帰宅してくる。

結構リアルな家庭崩壊の物語でしたが、
かなり良いテーマを見つけた割には、
これといった主張がみえない作品。
役者は別として完成度が低く、
最後のソナタに「救い」をみせれたのか?
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インビクタス/負けざる者たち

2010年02月10日 | 海外映画 評価5
公開中 クリント・イーストウッド監督
    モーガン・フリーマン主演
    出演 マット・デイモン、
    トニー・キゴロギ 他

新評価 5.0 (奇跡の実話)

空き時間を利用して「見れる」候補3つから、
直感でこの映画を選択しました。
実話でちょっと政治色の強そうな映画だけど、
なんとか主義者になった訳ではありません。
クリント・イーストウッド監督だしね。

白人が黒人を差別する法がある南アフリカ共和国。
しかし国際社会からの非難と制裁に屈して、
白人大統領は全人種の協調路線に変換。
27年間投獄されていた黒人指導者マンデラは解放され、
全国民による選挙でマンデラは大統領に。

物語はここから始まります。法律で皆平等となっても、
国内は白黒の人種の2つに分離したまま。
多数派の同胞たちが憎い白人へ復讐をしようとする時、
大統領は彼らを赦すことを説きつづけ、
そして和解の象徴としてラクビーを選びます。

復讐ではなく「和解と赦し」を。
この言葉にどちらの人種も反射的に反対するのを、
辛抱強く説得を続ける大統領。
彼は27年の牢獄暮らしの中で色々と学び、
今日のこの職につく日に備えていた様に見ました。

こんな冴えなく見えてスゴイおっさん周りに居ませんよ。
比べると本当に小さい人間ばかり。(あっ、自分を含めて)
こんなスゴイおっさんがいい時期に適当な職にいるのは、
本当に奇跡で映画のようなお話です。
しょぼいおっさんがリーダーだと最悪ですからね。

白人は熱狂的に応援し、黒人からは抑圧の象徴とされ、
国際大会の参加禁止で弱体化したラクビー代表チームが、
マンデラの宥和政策で全国民の支持を受け強さを取戻す。
試合を見ていた(聞いていた)白人黒人が手を握り合い、
別々の車に乗っていた白人黒人が相乗りをする。

♪君も今日からは僕らの仲間~♪
国が変わる瞬間がみれる映画です。
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アキレスと亀

2010年02月09日 | 日本映画 評価4
2008年 北野武監督
    出演 ビートたけし、樋口可南子、
    柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、吉岡澪皇、
    伊武雅刀、大杉漣、大森南朋 他
『絵を描くのが好きな少年は、画家から絵をほめられて、
 赤いベレー帽をもらった日から将来画家になる決心をした。
 そして父親の事業が失敗し両親がこの世を去って、
 生活が困窮しても少年は絵を描き続けた・・・。』

新評価 4.0

北野作品によくある死の影がつきまとうものの、
今回のテーマは絵画という「芸術」。
数字で優劣のつかない「芸術」の評価は
一体誰がつけているのか?

いや値段という数字はあります。
これは画商がつけているのですが、
売れる絵、人気がある絵が良い値段がつく。
では高い絵が素晴らしいのか??

少年は最初は楽しく書きたい絵を描いているが、
青年になりきれいに描いた絵を画商に非難され、
晩年まで「売れる」前衛的な物を追い続ける。
その為に貧乏暮らしで家族には迷惑ばかり。

「芸」を追い求めて金にならないと周りが苦労する。
これは芸術家だけでなく芸人にも共通しますが、
一流の「芸」だけが売れるわけでなく、
なぜか人気のついた「芸」も金になる不思議さ。

人気の「芸」を疑う時点で私の鑑定眼がダメなのかも?
錆びた空き缶に20万円の価値を見出せるなら、
それも「芸術」なのかなぁ、難しくて分かりません。
しかしラスト・シーンは何故か涙が出そうに。

だけど世にでても下手なものは下手だし、
いくら上手くても他人の真似では二流だし、
それじゃあ人から金をとれる仕事じゃないよな・・・。
と時々ある雑誌を立ち読みしながら思うのでした。

よく出来たコピーより技の有るオリジナル。
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ある愛の風景

2010年02月08日 | 海外映画 評価4
2004年 スザンネ・ビア監督
    出演 コニー・ニールセン、ウルリク・トムセン、
    ニコライ・リー・コス 他
『デンマークに住む2人の兄弟。兄は両親自慢の息子で
 結婚をして2人の可愛い娘と暮らしていたが、
 アフガニスタンへの出征を直前に控えていた。
 独身の弟は刑務所から出所したばかりで・・・』

新評価 4.0

ラジオで誰だったかが絶賛していたので何となく鑑賞。
兄は国連軍としてアフガンでの治安維持活動中に、
乗っていたヘリ?が撃墜されタリバンの捕虜に。
虐待を受け誰にも言えない秘密を抱えてしまう。
とまぁ、なんともドンヨリな物語。

デンマークに住む家族には戦死の知らせが届いて、
みんなが深い喪失感を抱き沈み込んでしまうが、
家族の厄介者だった弟が皆を立ち直らせていく。
そんな時に兄は偶然、発見救出されて帰国する。
家族は無事を祝うが彼はもう以前の彼ではなかった。

一応、ジャンルは反戦映画らしいのですが本当ですか?
兄は正義の国連軍として平和を維持する活動中に、
テロを肯定する武装集団に拘束されるのですよ?
いやデンマークの同盟国アメリカの尻拭き・・・、
もとい協力するためにアフガンに赴いたせいです。

そう。国民の信託を受けた政府の決定として、
アフガンに赴きこんな不幸に見舞われるのです。
今の日本の政権もこれに参加しようとしていますけど、
友愛のない国で日本人が同じ目あったらどうするの?
地上軍を平和維持に派遣するメリットって何だろ。

インド洋で海上給油に徹したほうが犠牲も少なく、
海洋国家らしい国際貢献策ではないでしょうか?
・・・映画の感想じゃないですね。
最後は兄も塀の内側に転落。
その展開に救いが、未来が有るのか無いのか。
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