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B-scale fan's log

Since 2004.4.16

最近は映画の感想がメインですが、
元は戦車模型のblogでした。

アキレスと亀

2010年02月09日 | 日本映画 評価4
2008年 北野武監督
    出演 ビートたけし、樋口可南子、
    柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、吉岡澪皇、
    伊武雅刀、大杉漣、大森南朋 他
『絵を描くのが好きな少年は、画家から絵をほめられて、
 赤いベレー帽をもらった日から将来画家になる決心をした。
 そして父親の事業が失敗し両親がこの世を去って、
 生活が困窮しても少年は絵を描き続けた・・・。』

新評価 4.0

北野作品によくある死の影がつきまとうものの、
今回のテーマは絵画という「芸術」。
数字で優劣のつかない「芸術」の評価は
一体誰がつけているのか?

いや値段という数字はあります。
これは画商がつけているのですが、
売れる絵、人気がある絵が良い値段がつく。
では高い絵が素晴らしいのか??

少年は最初は楽しく書きたい絵を描いているが、
青年になりきれいに描いた絵を画商に非難され、
晩年まで「売れる」前衛的な物を追い続ける。
その為に貧乏暮らしで家族には迷惑ばかり。

「芸」を追い求めて金にならないと周りが苦労する。
これは芸術家だけでなく芸人にも共通しますが、
一流の「芸」だけが売れるわけでなく、
なぜか人気のついた「芸」も金になる不思議さ。

人気の「芸」を疑う時点で私の鑑定眼がダメなのかも?
錆びた空き缶に20万円の価値を見出せるなら、
それも「芸術」なのかなぁ、難しくて分かりません。
しかしラスト・シーンは何故か涙が出そうに。

だけど世にでても下手なものは下手だし、
いくら上手くても他人の真似では二流だし、
それじゃあ人から金をとれる仕事じゃないよな・・・。
と時々ある雑誌を立ち読みしながら思うのでした。

よく出来たコピーより技の有るオリジナル。

サヨナライツカ

2010年01月26日 | 日本映画 評価4
公開中 イ・ジェハン監督
    出演 中山美穂、西島秀俊、
    石田ゆり子、マギー 他

新評価 4.0

90年代の往年のトレンディドラマを見るような、
すこし劣化した昼メロ路線とも言えそうだけど、
21世紀にまだこんな新作映画が見れるなんて!!
かなりグタグタでしたけど気に入りました。

前半は中山美穂に“WAKUWAKUさせて”もらいましたが、
意外と脱ぎっぷりが悪いのは残念でした。
いえ、そんなシーンが無いのは承知の上で、
ともかく美しく写って(撮って)ましたね。

で途中から話は25年後に飛んでいくのですが、
ここでの年齢設定が弱く説得力が無い。
タイで若者だった彼らが25年後は初老になってしまう。
ではタイ駐在時は何歳だったの?35歳位?で結婚?

まさか60歳そこそこで航空会社の社長はないよね?
と年齢設定にはかなり謎がありますが、
この老けたメイクもかなり中途半端で疑問符が。
ここら辺りでは石田ゆり子がとても美しく写ります。

まぁそんな不思議な感じの韓国製映画ですけど、
不自然な老けメイクでドラマをどんどん引っ張り、
あまり意味の無い登場人物まで出して尺を伸ばし、
かなり強引に、やはりそう来たかと落とす。

文化の違いということで目をつぶって、
気に入ったところだけを見れるのなら、
ぎったんばったんと揺れる男の心、
それなりに楽しめるのではないでしょうか?

歩いても 歩いても

2010年01月24日 | 日本映画 評価4
2007年 是枝裕和監督
    出演 阿部寛、夏川結衣、YOU、
    樹木希林、原田芳雄 他
『夏の日、子連れの妻と結婚した男性は実家に帰省した。
 この日は、15年前に事故で他界した兄の命日であり、
 姉夫婦も子供たちをつれて来ており、
 普段は両親だけの実家も賑やかになっていた。』

新評価 4.0

例えば両親が高齢で父親はすでにリタイヤ。
兄弟(姉妹)は結婚して子供もいて、
普段は両親と別に暮らしている。
そんな年代の人が見るとはまる家庭劇です。

別にドラマチックな家族構成でなくても、
普通に正月や盆に皆が集まると、
映画のように賑やかにもなる反面、
嫁姑の様に全くの他人が集まる中の緊張感。

そこに肉親ゆえの辛らつな本音の暴露もあって、
とても人様に聞かせられないような、
手厳しい他人への評価や・・・。
どこの家庭でもきっと有りますよね??

この映画のキャッチコピーも憎い。
「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」
間に合わないからどうなのかな?と。
諦める?憎む?忘れる?間に合わせる?

いや~つらい映画だった。

宇宙戦艦ヤマト 復活篇

2009年12月31日 | 日本映画 評価4
公開中 西崎義展監督
    石原慎太郎原案

新評価 4.0

映画を見れる時間と上映時間の妥協の産物で、
期待なしで鑑賞しましたが面白かったですね。
貯まったポイントでタダで見たのですが、
時間すら損した感じは全くなし。

色々と突っ込めて複数視聴に耐えうると思います。
特に慎太郎先生が何をお考えになられて、
本作をお作りになられたか考えると面白い。
敵の「SUS星間国家連合」はリアルにどの国ですか?

脚本はどこかの宗教団体の作った映画のごとくで、
良く言えばST VOY風とも言えなくないですが、
キャラクターデザインが大人の事情で変わって、
誰が島さんなのか良くわかんないくらい。

THE ALFEEの歌う主題歌は割と悪くなく、
耳なじみの劇伴には感涙ものですが、
後半部分のクラシック多用はいただけなかったな。
ケチらずに新たに曲起こしてくださいよ。

堂々と第1部と銘打っているので、
興行成績次第で続編が期待出来るのでしょうが、
だってね森雪は裸になって消えたままだし、
星間移民したのに地球が無事だった彼らは・・・。

爆発シーンのSEでガラスの割れる音が無かったような。

GSワンダーランド

2009年12月04日 | 日本映画 評価4
2008年 本田隆一監督
    出演 栗山千明、石田卓也、水嶋ヒロ、
    浅利陽介、大杉漣、高岡蒼甫、武田真治、
    杉本哲太、岸部一徳、三倉茉奈、三倉佳奈 他
『GSにあこがれバンドを組んだ3人の男子。
 いいかげな芸能プロに誘われデビュー直前に、
 レコード会社の方針で男子4人組にするため、
 女子を男装させて乗り切ろうとするが・・・。』

新評価 4.0

GS(グループ・サウンズ)懐かしい~。
と言う年齢ではないですが、
ブーム全盛の1960年代後半のサイケな服装や、
どこか懐かしいサウンドに馴染んでしまいました。

若者たちが夢に向かい懸命に努力していても、
周りの流れと言うか、時の勢いに流されて、
気がつけば、とんでもないことをやっていた。
今も変わらぬテーマの切り口が面白かったです。

彼らを懸命に売り込もうとする大人たちも、
また面白く。考えれば考えるほど企画が変になり、
ブームを仕掛けるも訳が分からず売れるので、
引き際がどこか分からず苦悩するのも今と同じ。

この時代に日本を動かしていたのは、
戦地帰りの人たちだったのですね。
乱暴ながらも笑わせる会話を混ぜつつ、
今よりも人間関係に余裕があったのかも。

茉奈佳奈のサイケ・ファッションは可愛かったな。

ガチ☆ボーイ

2009年11月30日 | 日本映画 評価4
2007年 小泉徳宏監督 佐藤隆太主演
    出演 サエコ、向井理、仲里依紗、
    泉谷しげる 他
『学生プロレスに突然に入部した秀才の大学生は、
 何でもメモを取り写真を撮るほど記憶力が悪い。
 しかも試合で技の“段取り”も忘れてしまい、
 いつも本気でガチンコの試合をすることに・・・。』

新評価 4.0

佐藤隆太はデビュー当時から応援していましたが、
やっと、この辺りから主役になれましたね。
と言いつつ劇場鑑賞は見送って、やっと見ました。
脇役が薄くてしんどそうだったので・・・。

だってヒロインがサエコですよ・・・。

公開時の番宣で大事な仕込みをバラしていたので、
最初から“そうなんだよね”みたいな目で見ますが、
あのネタばれはしないで映画を見たほうが、
よりこの映画は楽しめたのじゃないでしょうか?

まぁ勘のいい人なら知らずに見ても気づくでしょうが、
最初からネタばれしているのとでは大違い。
でも学生プロレスで主役が佐藤隆太の物語では、
宣伝部の皆さんは心配だったのでしょうね。

しかもヒロインはサエコですから・・・・・・。

ヒロインのキンキン声が臨場感を損ないますが、
仲里依紗も有効活用してない不満も有りながら、
ともあれ後半は不覚にも感動したりして。
ネタばれを知らず見たかったな~。

秋深き

2009年11月16日 | 日本映画 評価4
2008年 池田敏春監督
    出演 八嶋智人、佐藤江梨子、佐藤浩市、
    赤井英和、渋谷天外、山田スミ子 他
『北新地の巨乳のホステスに惚れた中学校教師は、
 酒もカラオケも苦手なのに店に通いつめ、
 意外なプロポーズで彼女を射止める。
 幸せな新婚生活だが教師の親は結婚を認めず・・・。』

新評価 4.0

平凡な男が理想の妻をめとったために、
妻の心変わりが心配で右往左往する情けなさ。
かたや妻もどこかに秘密や影があり、
夫の愛は自分の大きな胸ゆえと思い込む悲しさ。

そんなちぐはぐな2人に迫る妻の病気。
妻は夫の愛を引き止めるために手術をためらい。
夫は妻が手術を望んでいないと思い、
病気が治るらしい高価な薬を買うため金策にはしる。
なんとも噛み合わないけど深い愛の物語です。

ところで教師の両親の配役がすごいですね。
渋谷天外と山田スミ子ですよ!!
と言っても関西系の人にしか分からないか。
山田スミ子は久しぶりに画面で見ました。

ジャージの二人

2009年10月26日 | 日本映画 評価4
2008年 中村義洋監督
    出演 堺雅人、鮎川誠、水野美紀、
    大楠道代、ダンカン、田中あさみ 他
『ある夏の日。会社を辞めたばかりの息子は、
 グラビアカメラマンの父に誘われ避暑地の別荘に来た。
 息子は妻の不倫、父も妻との不和と問題を抱えながら、
 古着のジャージを着て夏休みをのんびりと過ごす。』

新評価 4.0

まず夏休みを避暑地で何もしないで過ごす2人。
私の理想の休暇の過ごし方で憧れますが、
実際は家族に著しく評判悪いですよね。
夏休みはTDRやUSJに連れて行けって。
そう言えば信州の別荘も行ってないな・・・。

ところで映画の中のこの2人は、
互いに家庭内の問題を抱え、
とは言っても何も解決策を打ち出さず、
休みが終われば家庭に戻って生活を続ける。
なかなか精神的なツワモノ達です。

この映画の台風に吹かれる木のように、
倒れそうになりながらも、
結局は風を受け逃して耐え切る。
そんな乗り切り方もありますよね。
結果は別問題として潔さと大物感がある。

父親役は“シーナ&ロケッツ”の鮎川誠。
たたずまいはなかなかきまっていましたが、
発音が悪くて台詞が聞き取りにくい。
息子がかつ舌がよいので尚更。
サングラスの無い顔もはじめて見ました。

劔岳 点の記

2009年07月02日 | 日本映画 評価4
公開中 木村大作監督 浅野忠信主演
    出演 香川照之、松田龍平、モロ師岡、
    仲村トオル、宮崎あおい、夏八木勲、
    役所広司

新評価 4.0 (良作)

広告の「誰かが行かねば、道はできない。」
これはアントニオ猪木氏の言葉ではないですよ。
地図を作る測量技師の職業物語です。
今日の劇場は老若男女で大賑わい。若者はヱヴァ?
この映画は50代以上でほぼ満席でした。

陸軍から「日本地図最後の空白地点を埋めよ」と、
選抜された優秀な軍の嘱託技師の男性。
目指す場所は登れた人がいない霊山剱岳の頂上。
しかも民間の山岳団体も初登頂を狙っていて、
「軍のメンツにかけて」一番乗りを果たせと指令が。

現場を見ずに無茶を言う上司(<いますよね)。
でもお国の大事な仕事だし、ならば自分が成し遂げたい。
と思いを心に秘め優秀な仲間も集めるが、
車もヘリもない時代。頼るのは自分の足のみ。
しかも装備は民間団体のほうが優秀そう。

そんな技師の人間的な苦悩や仲間との絆を丁寧に描き、
人の力ではどうしようもない自然の荒々しさを写す。
物語はどうしても辛気臭いものなりますが、
カメラ出身の監督の選んだ絵は素晴らしいものでした。
ただ音楽はちょっと邪魔だったかなぁ。

地図を作るために山に登る軍測量隊。
山を征服するために山に登る民間団体。
これから見る人のために「どちらが先か」は言いませんが、
登頂後の互いの手旗の交換はグッと来ますね。
まさに机の前の上司には分からない現場の言葉です。

百万円と苦虫女

2009年05月27日 | 日本映画 評価4
2008年 タナダユキ監督 蒼井優主演
    出演 森山未來、齋藤隆成
『短大を卒業してフリーターになった女性。
 ルームシェアの相手に拾い猫を捨てられ頭にきて、
 勝手にその人の荷物を全部捨ててしまった結果、
 刑事告訴され刑務所に。出所後は家にも居づらく、
 百万円貯まるごとに引越しをする生活を始める。』

新評価 4.0 (文句は言うけど)

21才の女性のひと夏の自分探しならぬ、自分なくしの旅。
他人と深く関わらず空気のような存在になりたい。
百万円は次の町でリセットするためのいち単位。
でもアルバイトでそんな簡単に何十万も貯まらないよ。

どだい蒼井優が“目立たないように居たい”は無理な話。
各バイト先で褒められる小さな特技の数々も、
人は簡単に人から褒められないから大変なんです。
とまぁ、不器用ながら実は恵まれた女性が主人公。

魅力的な主人公がきわめて単純で基本的なことに
気づく過程を、設定のしっかりした男性脇役2人を使い、
監督・脚本の丹念な描き込むのが見どころ。
まぁ気が付かないというのが若さなんですけど。

バイト中、ガーベラを折った主人公に、
ホームセンターの上司が叱るシーン。
叱り方、受け止め方は色々あるでしょうが、
あれが社会との関わりと言うもんです。