(この項,「ウィーン」からの移転)
ウィーン・シェーンブルン宮殿近くに,ミツコ・クーデンホーフ=カレルギー(青山光子)の墓があるとのことだが,時間がなく行けず残念。
光子は,オーストリア=ハンガリー二重帝国代理公使として東京に赴任したハインリッヒ・クーデンホーフ=カレルギー伯爵と知り合い結婚(国際結婚第1号),ヨーロッパに渡り7人の子供をもうける。
ハインリッヒ・光子夫妻の次男が,「パン・ヨーロッパ運動」の提唱者で「EUの父」ともよばれるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵(日本名青山栄次郎)。リヒャルトは兄ハンス(光太郎)とともに東京生まれで,妻が当時「ヨーロッパの三大美人」の一人とも評されたユダヤ人舞台女優イダ・ローラン。第2次大戦中ナチスに追われ,リスボン経由でアメリカに亡命。主題曲「As Time Goes By」(時のたつままに)や「君の瞳に乾杯」等の名せりふで知られる映画「カサブランカ」(1942)はその逃避行をモデルにしたという話がある(ナチスに追われる抵抗運動の指導者でチェコスロヴァキアの外交官ヴィクター・ラズローイングリッド・バーグマン扮するイルサ・ラズロの夫ーのモデルがリヒャルト)。戦後もヨーロッパ統合運動に奔走し,1972年スイスで死去。
(光子とリヒャルトの生涯についてはhttp://www.law.tohoku.ac.jp/~tozawa/RCK%20HP/index.htmが詳しい。)
西欧からはじまったEUは現在東欧まで拡張しているが(ハンガリーも昨年加盟),その建設と発展は間違いなく人類史上の偉業。それに日本生まれの女性が母として寄与したという話はうれしい。写真は,1920年代のリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵。