鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

LED読書灯

2021年12月10日 | 兎糞録

 この読書灯、なかなかいいです。

 ずっと以前はこういうやつ、ゼットライトというんでしょうか。

 流行りましたよね。
 LEDのライトも何度か買ってみたのですが、取り付け部分、クランプが邪魔だったり、本棚のスペースを奪ってしまい邪魔。そこで見つけたのが冒頭の読書灯。黒を買ったんだけど付属のUSBケーブルがなぜか白。ダイソーで黒の長めのUSBケーブル買ってきました。垂れ下がるケーブルはモールに収めてすっきり。(写真に写っていない右のほう)

 杉集成材のフリー板で作った本棚。本棚は材料が当時安かったので三台作りました。その棚板にビス止めです。左右のライトは上下自在に動きます。明かりも昼光色、自然光、暖光と選べます。調光ももちろん可能。取り外しも可能で懐中電灯代わりに持ち運ぶことも出来ます。点灯してみると、

 問題なのは、横になって本を読み始めるとすぐに眠くなってしまうこと、それじゃあ付けた意味がないではないか。


70年台の特急いなほ、急行鳥海

2021年12月09日 | 兎糞録

 特急いなほが運行を開始したのは昭和44年の10月でした。

 

 この鼻の形記憶にあります。秋田、上野間の特急料金が1,000円だったんですね。大きな勘違いをしていました。夜行鳥海が酒田上野間12時間、当初の特急いなほが9時間、後に6時間に短縮になったと記憶していたのですが違いました。

 酒田から約6時間だったのですね。夜行の急行鳥海が9時間強だったようです。

 「特急いなほ」と言えば思い出すのが昭和47年の2月28日、国鉄の公安官だった松戸のおじの家にいて上野まで送ってもらうことになっていたのですが、その日はかの有名な事件「あさま山荘事件」の最後の日、おじから今日はを見なければならないから一人で行けと言われ、たぶん上野を上の図の時刻の「特急いなほ」でしょうか、これで帰省したと思います。家に帰りついたらすべて終わっていました。
 帰省の「特急いなほ」に乗るの時はいつもお金がない時で食堂車へ行くなんて贅沢は出来ませんでした。車内販売のコーヒーを買うお金もなく安い学割の切符を買うのが精いっぱいでした。今では朝からビール飲みながら「いなほ」に乗ります。

 夜行寝台と書かないのはその頃の急行鳥海は三段式の寝台車両と普通座席車両があったからです。三段式寝台は上段が安いんですよね、天井までの高さが狭くうっかりガバッと起き上がると天井に頭をぶつけます。最初の頃は寝台料金節約して普通座席に乗って上京したのです。普通座席で座りっぱなしで上野まで行くのはしんどかったです。いつも満席、通路も埋まるほど、人で一杯の狭い通路をかき分けて便所に行き、扉を開けると中にはおばちゃんが便器の前に新聞紙敷いて座っている、昭和40年代はそんな時代でした。今では考えられませんね。

 昭和45年の急行鳥海は次の時刻表でした。

酒田21:24→余目21:38→鶴岡22:07→温海22:39→村上23:30→坂町23:43/23:46→新発田0:08/0:09→新津0:36/0:46→東三条1:12→長岡1:34/1:44→六日町2:40→→水上3:53/3:57→高崎4:55/5:01→熊谷5:40→大宮6:15→赤羽6:30→上野6:43

 車内灯が消えるという羽越線ならではの光景もありました。でもどうして羽越線ていうのは臭いんでしょうね。独特の臭いがします。あれ、服にまで染みつくんですよね。


古い登山案内

2021年12月08日 | 鳥海山

 仙台鉄道局発行の、おそらく戦前のもの。発行年が書いてありません。東北活版 殿野納 と書いてありますが東北活版は沿革不明です。
 中身は磐梯山、吾妻山、蔵王山、岩手山、恐山、八甲田山、朝日連峰、出羽三山、鳥海山、駒ケ嶽、岩木山の東北の十一の登山案内が書いてあります。

  表を開くと初めに登山に就いての注意として次のようなことが書いてあります。


  登山安内
輕裝を要すること勿論であるが、防寒、防濕の用意を忘れぬこと
健康上疑あるときは一應診疹を受けること
次のやうな攜帶品を忘れぬこと
 イ、普通食糧の外砂糖、キャラメル等醫渴品
 ロ、地圖、手袋、磁石、マッチ、蝋燭、救急藥、替草鞋
水はなるべく飮まぬやうにし、口漱ぎに止めおくこと
飢餓を覺えるときは帶で腹部を締めること
初めから緩步して休息の度を少なくし、元氣に任せて急步しないこと
險惡な天候に遭遇したときは岩陰や樹林中に避難するか、引返すことにし、行動を續けないこと


 いつ頃まででしょうか、運動中はなるべく水を飲まないようにといったのは。また、空腹のときはベルトで腹を締めるとは、なるほど今度からそうしましょうか。

鳥海山についての案内も面白いです。

 蕨岡から駒止、横堂、河原宿、七高山、新山となっています。今は通行禁止となっている行者嶽から新山へ向かう道はいつごろ造られたのでしょうか。この地図の上に書いてある文章を見てみましょう。


鳥海山

俗に出羽富士と呼ばれる格好のい〻山で、山形、秋田の二縣に跨がり、周圍三十餘里、海祓七〇〇〇尺餘に及び、絶頂は噴火口で七髙山と、新山と相對した盆地に、國幣中社大物忌神社が祀られ、山麓の蕨岡と吹浦に口の宮がある。
山は二重式の層狀火山で、金、銀、鐵、マンガン等の金屬鑛物と石油、アスファル卜の非金屬鑛物に富む外、蕨岡口の河原宿には日木唯一の髙山植物園が設けてある。
登山口としては蕨岡口、吹浦口、矢島口と小瀧口の四途あるが、道路もよく、設備も整つてゐるのは蕨岡口と吹浦口で、登山者の多くは 往路を蕨岡口により、吹浦口に下ることにしてゐる。
山開きは五月十二日で、九月二十日には山を閉じるが、好期は八月一杯である。
 □宿 舎
  遊佐、蕨岡 項上、吹浦  象潟、矢島何れも一泊貮圓五拾錢內外。
 □体憩所
  蕨岡口 途中要所々々に笹小屋がある。
  吹浦口には休憩所がない。
  小瀧口には休憩所がないが、飲料水の便がある。
 □案内と強力
  蕨岡口 案内も强力も一日貮圓位(蕨岡で傭ふ)
  吹浦口 同 (吹浦で傭ふ)
 □その他の費用
  頂上本社で初穗料五拾錢を徵される。


 鳥海山に金があったとは知らなかった、石油は湯ノ台で太平洋戦争のころまで採掘されていました。
 高山植物園の話は橋本賢助の鳥海登山案内にも出てきますが、当時の絵葉書にも高山植物園と書いてあるものがあります。また、「登山者の多くは 往路を蕨岡口により、吹浦口に下ることにしてゐる。」となっていますが、明治末の太田宜賢「鳥海山登山案内記」では蕨岡口を登ったものは蕨岡口に下山する、吹浦口に下るものは稀である、となっていますのでいつごろから吹浦口へ降るようになったのか、或は太田宜賢氏の蕨岡ひいきのせいかはわかりません。
 案内、強力、宿泊料とも一日貮圓位となっています。現在宿泊料金は食事込みで一万円ほど。ガイド料は独り一日12,000円くらいでしょうか。相場は変わりないようです。蕨岡口の笹小屋はここでも紹介されています。
 山役料の話半以前も書きましたが、頂上本社でも初穂料は徴収されたようです。お気持ちではいけなかったのでしょうか。登山者が鳥海山の神社で「おいくらでしょうか」ッと尋ねると「お気持ちで結構です」とは以前応えていました。

 ついでながら、ある町のあるお寺、お布施を封筒に入れて住職に差し出すと、住職中身をチラッとみてそのまま畳の上を押し戻してよこすのだそうです。大きいお寺で今はきれいに新築なっています。人呼んで強欲寺。別の寺では○○で儲けて高級外車をを乗り回していますし、その態度も傲岸不遜で有名です。お寺は神社と比べてお金儲けが上手。腕時計を見れば海外製高級腕時計、車は高級車、ただし檀家に行くときは国産の普通車と乗り分けています。おまけにあるお寺ではクリスマスケーキまで買うのですから。
 と、話は脱線しました。

※原本はスキャナーで取り込み、photoshopで加工してから見やすいPDFに変換します。その方がOCRの精度が上がります。OCRは以前「おまかせ読み取りOCR」を使ってみましたが値段なり、精度はあまり宜しくありません。Adobeを使いたいところですが月額で払い続けるのも嫌なので今はWondershare PDFelementなるものを使っています。「おまかせ読み取りOCR」よりはだいぶ正確です。


また買ってしまった

2021年12月06日 | 兎糞録

 光丘文庫で古書の話をしていたら、またほしい本が安く出ている話を聞かされて、古書相場で数万円から十万円以上するものがなんと、一万円を切る!今は本が売れないんだそうです。新刊書店も店を閉める話題ばかりです。
 今までは考えられないような価格で出回るのを見つけるとつい買ってしまいます。しかもこれが美本なのです。

 ちくま文庫の金瓶梅。二十年以上も前の本、然も文庫本なのに至ってきれいです。さっそくグラシン紙でカバーをかけました。うちに居るのはそれ相応に古くなってしまいましたがこれはまだきれいです。何がいるって?ご想像にお任せします。

 露伴は全集迄読む力もないのでこちらを、露伴随筆は既にありますが小説をじっくり読み返しましょう。

 徳富蘆花の日記が僅か千円台、箱はちょっと汚れがありますが中はほぼ新品。日記は面白いんですよね。永井荷風の断腸亭日乗も時々読みだすのですがこちらも面白くてやめられなくなります。

 先月来購入の一部。

 中でもこの本、売価が税抜きで6,600円もします。汚れは全く無く、紐栞もそこから別のページへ動かした跡もありません。どんな事情で古書として出てくるのでしょうか。送料込で2,000円しません、これ重い本ですので送料も結構かかります。出だしを読むだけでその面白さに引き込まれます。あまり面白そうなので読むのはもう少し先に撮っておきます。「(今日の読者の大半は)文学をはじめとする批評家の論考にも厭きている。それはなぜか。説明は簡単につく。書く方も読む方もあまりにも無知だからである。」なんてバッサリと切り捨てるあたりいいですね。最近のWEB 上の総批評家にもうんざりです。


三重塔

2021年12月06日 | 兎糞録

 光丘文庫へ鳥海山関連の資料を調べに行った帰り道。

 車で走り回るだけでなく、少し歩きまわると又面白いものです。
 曹洞宗の古刹の境内にある三重塔、何やら塔の前で工事中です。カメラは持っていなかったのでiphoneでガシャッ。空の色がいかにも東北です。