iwahigeさんがブログで扇子森の事を書いていましたけど、同じ思いがあったので古い文書、古地図、絵図で調べてみました。
”森”と御云うのはwoodsではなくて東北地方ではこんもりとした山ですね。鳥海山には月山森、鍋森といったピークがあります。鍋森の溶岩ドームは眼ちます。鍋をさかさまにしたようでいわれはなるほど鍋だ、となりますがでは扇子森は。
上の写真では右に小さなピーク、左が緩やかな山になっているのがわかります。緩やかな方が扇子森?小さなピークが扇子森?小さなピークを扇の要に見立てて緩やかな方を扇、全体で扇子森?どうやら緩やかなピーク小さなピークを併せて扇子森ということのようです。
国土地理院2.5万地質図鳥海山より
上の地質図を見るとまさに扇を広げたように見えます。こうしてみると地質図を見た人が扇子森と名付けた、と思ってしまいますが調べてみると。
扇子森について大正7年発行の橋本賢助「鳥海登山案内」に扇子森は載っていましたがその前の太田宣賢「鳥海山登山案内記」にはありません。(蕨岡の人が山頂への参拝のために書いた書いた故でしょう。)
明治十八年の古地図には扇子森境とあります。
もっと遡ると文政四年(1821)の古絵図にも扇子森の記載がありました。
こうしてみるとかなり昔から扇子森と呼ばれていたのがわかります。残念ながら手元にある過去の文書で扇子森という名が出てくるのは今の所橋本賢助「鳥海登山案内」のみです。しかし古絵図には扇子森が載っていますのでかなり昔からそう呼ばれていたことは確かです。昔の人は想像力豊かですね。土地の名前には理由があるのですがそれを弦巻池を鶴間池、桑ノ森を観音森などと変えてしまったのは残念なことです。