鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

続方言・べんとぜ

2022年02月21日 | 兎糞録

 結婚式なんてもう何十年も行っていないし、これからも呼ばれることはないでしょうけれど、以前は頻繁に招待状が届き、数多くの結婚式に参加しました。この辺の今の結婚式の御祝儀はどのようなものかは知りませんが、当時はほぼ100%、会費制結婚式でした。御祝儀は包まないのです、式場受付で3,500円とか数千円と決められた額を納めて披露宴会場に入ります。そんな中のある結婚式で、

 会場の席に並んで座ったところ、御馳走が、なんとプラスチックの折箱に入ったお惣菜が一パックだけ、しかもメインはフチの赤い一番安いハム。

 それを見た向かいの席の招待客のおじさん、思わず吐き捨てるように

 なんだ、このごっっお、あしたのべんとぜもならね!

 翻訳しますと、

 「なんだ、この御馳走、明日の弁当材(弁当のおかず)にもならない!」

 きっと会費からなるべく足が出ないように抑えたのでしょう。今ならビールの代わりに発泡酒が出たかもしれません、ハレの日に。ちなみにこの夫婦、半年もしないうちに離婚しました。

 「べんとぜ」、今は全く聞くことが無くなった言葉です。地元のスーパーで「あしたのべんとぜに」なんてポップ出したら、きっと、売れま・せん。

(以前の記事を読み返してみたら同じことを書いていました。そこはそれ、近い出来事の記憶力の衰退、すなわち老化ということで)

 先日「庄内方言辞典」というものを(安くないので立ち読み)見たら、「くぼ」、「詐欺師のこと」とありましたがちょっと感じが違います。(あえてニュアンスとは書かない。)

 佐藤公太郎「庄内・酒田の世間話」これはなかなか方言の再現度の高い本です。方言というのはほぼ表記不可能なのですがこれを読むと、ああ、前はそう言ったけなあ、と思い起こされます。地元では方言を標準語と定めましょう。

 ついでにも一つ、

 けもしてくれ~、なんていう人も今はいません。


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