鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

大物忌神社蕨岡口の宮拝殿、松嶽山上にあったころ

2021年06月28日 | 鳥海山

 現在大物忌神社蕨岡口の宮拝殿は隋神門をくぐって石段を登り、すぐ左手にあります。

 これは昭和28年に松嶽山上から現在の場所に移設されたのですが、その移設前の写真がないかと思っていたらなんと、ありました。先の橋本賢助「鳥海登山案内」の巻頭の様々な画像のうちの一つとしてありました。

 そのままの規模のものを移設したとは、話には聞いていたのですが松嶽山頂上の現在の様子を見たことのある人なら疑問を呈します。しかしこの写真を見て、実際あの400段の石段の最上部にあったものが現在の下にある拝殿と同じものだと確認できたわけです。場所を見たことのある人なら、よくもまあ、これだけのものを、どうやって下まで持ってきたのだろうと、驚嘆するはずです。今度どうやって下したか当時を知る人に会って聞いておきます。

 この拝殿に入り、正面奥の扉を開放すると真正面に鳥海山が望まれるようになっていたというのもこの写真で納得できます。参拝者はそれを見て明日の鳥海山参拝に気も高揚したことでしょう。演出がうまいですね、現在は植林した杉で眺望が遮られ鳥海山はほとんど隠れています。

 それと横堂、これは画像は何枚か現存しているのですが注目はその画像につけられた説明です。

 現在残っているのは神職のたっている手前の石段が数段だけですが、この画像の説明書きに、

「俗に横堂とは、この社にして後方に見ゆるは、山毛欅林なり、大澤神社(赤瀧)鶴間池に至る道の分岐點とす」と紹介されています。

 大澤神社(赤瀧)は鳥海山に参拝する人々にとっては知られていた場所ということでしょうし、鶴間池もここから下って行ったのではなかろうかとも思われます。えっ、湯ノ台から車道を行って降りれば近い?その頃湯ノ台道はありましたが鳥海高原ラインはまだありません。当時の鶴間池への行き方は今のところわかりません。

 

 


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