LONDON DIARY

ロンドン在住フローリスト、asuka のブログ。

クリスマス2013 ご注文承ります

2013-11-16 00:47:32 | flower


昨年に引き続き、今年もオリジナルクリスマスカードが出来上がりました。
上の写真のリースをカードにしたもので、フレッシュフラワーを使った赤系のリースです。

昨年私のカードを販売してくれたお店2件に、出来上がったばかりのカードをお届けすると、
早速店頭に置いて下さいました。ありがとうございます~♪

その2つのお店の詳細です。

Casanova Chocolate Shop
140 Portobello Road W11 2DZ London
2DZ London, United Kingdom
Tel: 020 7243 9382

ポートベローマーケットで大人気の、イタリアンチョコレートショップ。
店の下のキッチンで毎日作られる絶品スウィーツ、それだけでも行く価値ありです。
特に出来たてのカンノーリは一押し!
昨年こちらのお店をブログで紹介した記事はこちらです。

Come Together
27 Craven Terrace, London W2 3EL, United Kingdom
Tel: 020 7262 1515

ランカスターゲートの駅から数分の小さな路地にある、ちょっとレトロな雰囲気のカフェです。
奥はビューティーサロンになっています。

以上の2店舗で、1.50ポンドで販売しております。
なお、このカードは、二つ折りで、中に文字の記載はございません。
白無地の封筒付きです。

もちろんお店でご購入頂いても結構ですが、
直接のご注文も承っております。
一枚から、お求め頂けます。
5枚以上ご購入される場合は、こちらで送料負担して郵送致します。 (イギリス国内)
その場合、お支払方法は、小切手のみとさせて頂きます。
(もちろん直接現金で支払って頂いても大丈夫です。)


それから、クリスマスリース、アレンジメントのご注文も受け付けております。

それぞれの価格は以下の通りです。



クリスマスリース サイズ小(12インチ=約30.5cmのフレーム使用) £35~ 
         サイズ大(16インチ=約40.7cmのフレーム使用) £45~

全体の色調、装飾するものなど、詳細のご希望をご相談下さい。
昨年のものをご覧頂いて、同じものを選んで頂いても結構です。



クリスマスガーランド サイズ(24インチ=約61cm)£45~
           *長さはご相談下さい。
           

基本的に、リースと同じような、長持ちする材料を使った細長いアレンジです、
暖炉周りや、横長のテーブルセンターに、お使い頂けます。


フレッシュフラワー クリスマスアレンジメント £50~

ラウンド、横長、リース型の三つの中からお選び下さい。
クリスマスに人気の、キャンドルアレンジメントもお作りできます。

リース、アレンジメントのお受け取りは、基本的に、
ノッティンヒルゲート(詳細はご注文の際に)まで取りに来て頂くようになります。
なお、配達は、ロンドン地下鉄ゾーン1内は、15ポンド、
ゾーン2は20ポンドとさせて頂きます。
それ以外の地域の方は、ご相談下さい。

ロンドンで、素敵なクリスマスを過ごして頂く為の、お手伝いが、
少しでもできたら嬉しいです。
また、贈り物にもどうぞご利用下さい。

クリスマスカード、リース、ガーランド、アレンジメント等、
ご購入ご希望の方は、メール、又はお電話にてお問い合わせください。
asukayamanaka@hotmail.com
07903 187 237 (山中)


チェルシー 2013

2013-06-02 02:24:58 | flower

ガーデニング、お花、イギリス、と聞いて、Chelsea Flower Show「チェルシーフラワーショー」の名を挙げる人は多いと思います。
日本でも、随分テレビや雑誌などで取り上げられて、わざわざその為にイギリスを訪れる方も…。
相変わらず、根強い人気を誇っています。まさに、ガーデニング界の桧舞台ですね。

さて、その「チェルシーフラワーショー」の開催期間中、ガーデニング、お花好きの人々で溢れるスローンスクエア、キングスロード界隈では、数年前から、Chelsea in Bloomという、生花のショップディスプレイを競うイベントが開催されています。
これでもか!というほど、たくさんの切花を使ったディスプレイは、豪華絢爛。一度にあれほど多様でスケールの大きなディスプレイを見る機会は、なかなかないのではないでしょうか。スローンスクエアに、このイベントの仮設テントが設けられ、エントリーした店のマップが配られており、投票もすることができます。

さて、キングスロードにある Orla Kielyでは、この期間に合わせて、スペシャルフラワーディスプレイをしています。
普段私は、Orla Kielyの本店、コベントガーデンのフラッグショップのみ、毎週のお花のディスプレイを担当させて頂いているのですが、今年もこの時期だけ特別に、キングスロード店のお花のディスプレイをさせて頂きました。

Orla Kielyは、Chelsea in Bloomに正式にエントリーしているわけではないので、コンペからは外れていて、
コンペのテーマとは関係のない、自由なディスプレイができます。

元々お花が大好きなデザイナー、Orlaさん、最近ではシャベルやフォークに、プランターなどのオリジナル商品も展開しています。今年発売された新しい花瓶シリーズもとても好評で、今回はそのプロモーションも意識したチェルシーディスプレイとなりました。

花とプランツの大まかな打ち合わせを、事前にVM担当のCさんとしてから、一緒にマーケットへ!
日曜日だったので、コロンビアフラワーマーケットで仕入れました。

仕入れたプランツを、車を待つ間、道端にずらりと並べていると、人が寄ってくる寄ってくる!
写真を撮る人もいました。一番人気だったのはこの元気なポピーたち。


出来上がったばかりのディスプレイ。オレンジ、クリームで、元気で明るい雰囲気にしてみました。


こちらが新製品花瓶シリーズ。大きさは4種類あります。


個人的に一目惚れしてしまった、濃いオレンジのラナンキュロス。シーズンぎりぎりだったけど、入手できてよかった!


OrlaKielyの店内は、いつも花の模様や鮮やかな色がいっぱいなのですが、統一感があり、(VMの力でしょうか)お花を活けるのがとても楽しいのですが、こういった特別なイベントの時は、使える花の量も多くなるので、楽しさ倍増です!

道行く人が足を止めて、写真を撮ったり、褒めてくれていたり、それをこっそり見ているのも、楽しかったです。
(そんな暇があったら、もっと仕事しないといけませんね…。)

さて、仕事終了後、スローンスクエア駅周辺を歩いて、他の店を偵察?!
日曜日の夜、まだ準備中も店もあれば、完成している店もありました。
写真を撮りたかったのですが、既に暗くなりかけていて、断念。
数日後、改めて出直しました。

今年の私のお気に入りを、いくつかご紹介します。




まずは、Kate Spade。個人的に大好きな店。

カラフルなバッグや小物に、華やかなディスプレイが映えます。


青い紫陽花の色が素敵。


バイクにスィートピーという絶妙なバランス。こういうの大好き!





そして、高級文房具のスマイソン、入り口には、正統派、ブルーのデルフィニウムのみの、シンプルかつ豪華なUrnのディスプレイ。文句なしに素敵です。


続いては、同じくスマイソンの、工夫を凝らしたディスプレイ。


こちらは、カードホルダーに見立てています。


巨大なバッグもありました。このバッグ、中までお花が敷き詰められていました。




こちらもトラディッショナルなディスプレイ。Linksです。こういう、「お花って綺麗だな」と、素直に思えるようなアレンジの仕方、やはり好きです。



Hackettは、大きなガーランド。



お花でできた車(どこの店か忘れてしまいました。)




Broraらしい、派手な中にも英国カントリー風の雰囲気が漂うディスプレイ。帽子に注目!




こちらは駅前のrag&bone。庭に咲いているような花が目立ちました。まるで小さなガーデンのよう。




靴のEmma Hopeは、野に咲く花のようなディスプレイ。プランツのセレクションが好みの感じでした。





これはフェアリーテールの世界ですね。小人が出てきそう。




Brownsのスワンディスプレイ。白がとても豪華。


Brownsのとなりの店、名前は忘れてしまったのですが、かなり凝っていました。どこを撮っても絵になります。





せっかくスローンスクエアに来たついでに、前々から気になっていたPoilaneのカフェに行ってきました。
駅前Peter Jonesの裏側に、さり気なく佇んでいて、見落としそうになりましたが、店内は広々としていました。
ここのパン、今でこそ、Waitroseなどでも買えるようになりましたが、
昔は、わざわざElizabeth Streetのベーカリーまで、買いに行ったものです。


テーブルの間に生える木。実はフェイクだったのですが、このアイディアが好き!


入り口近くのテーブル席。店内のあちこちに、このようなシンプルな花が活けてありました。


ホットチョコレートを頂きました。甘すぎず、濃厚すぎず、小さめサイズで、この日の気分にピッタリでした!一杯の幸せ~。



フラワーショーと、Chelsea In Bloomは、また1年お預けですが、
やっぱり楽しいチェルシー散策。ちょっと路地に入ると、建物にも歴史を感じさせられます。
1年後と言わず、もう少し頻繁に歩きたい街です。


チューリップ

2013-01-12 22:26:03 | flower


あけましておめでとうございます。

今年の年末年始、ロンドンは比較的暖かでした。
その割には、我が家は新年早々、皆で風邪をひいてしまい、
早くも出遅れた感はありますが…。

そんなわけで、久しぶりのフラワーマーケット。
今週になって、やっと行って来ました。

毎年思うのですが、クリスマスツリーや赤い花の目立っていた12月から
僅か1週くらいなのに、1月のマーケットは、とても新鮮!
今年最初に活ける花、何を選ぼう…と、いつにも増して、気持ちが高ぶります。
そんな時に、必ず手にとってしまうのは、大好きなチューリップ。

毎年、お正月の花は、おせち料理のテーブルにも合わせて、
和風のアレンジにしようと思うのですが、
大体いつも、この時期は休業中で、マーケットに仕入れに行かず、
しかも、おせちの準備やら、家の掃除やらで、忙しいこともあって、
スーパーで売っているお花を買ってきて、済ませてしまうことが多いのです。
今年はそれも出来ないくらい、時間がなくなってしまい、
お花を活けることは、半分あきらめていたのですが、
買い物から帰ってきた夫と子どもたちの手には、チューリップの花束が!
「みんなから、いつも頑張っているママへのプレゼントだよ!」なんて嬉しい言葉も添えてくれました。

私は、人からお花を頂くよりも、人にお花をあげる事の方が好きなので、
普段はそれで全然良いのですが、こうやって、不意にプレゼントされると、やっぱり嬉しいものですね。
グリーンも何もなかったのですが、こんな風に、ゴールドの枝を添えて活け、新年を迎えました。


「お正月」の雰囲気ではありませんが、ロンドンの派手なニューイヤーセレブレーション風に。
花瓶の文字は、娘が書いてくれました。2013年ニューイヤーの花の出来上がり!

一番寒い1月に、春を待ちながら、チューリップを活けるのが好きです。
春の花をいっぱい咲かせて、心の中からあたたかく…。





一種活けも、ナチュラルな活け方も、モダンなアレンジも、それぞれ別の顔で素敵なチューリップ。
茎の向きが変わったり、すぐに開いてしまったり、活けてからも伸びてバランスが変わったり、
身近な割には、結構難しい花材かもしれませんが、
それでもやっぱり、可愛らしくて、大好きなチューリップ。
今年はレッスンでも、その魅力を、もっともっとご紹介して行きたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

2013年 1月
山中 あすか

クリスマスカード できました

2012-11-18 16:33:21 | flower
もう20年来の趣味のカード作り(笑)でしたが、
今年は初めて自分の作品の写真を使ってみました。
もみの木とユーカリの葉をメインに用いた、
ナチュラルでシンプルなクリスマスリースです。
アネモネの花も少し添えてみました。
こちらのクリスマスカードは、販売致します。
二つ折りで、中に文字の記載はございません。
白無地の封筒付きで、
一枚£1.50です。
5枚以上ご購入される場合は、こちらで送料負担して郵送致します。 (イギリス国内)
お支払方法は、小切手のみとさせて頂きます。
(もちろん直接現金で支払って頂いても大丈夫です。)
購入ご希望の方は、メール、又はお電話にてお問い合わせください。
asukayamanaka@hotmail.com
07903 187 237 (山中)

イングリッシュローズ

2012-06-19 02:23:19 | flower



6月、バラの季節。


ノッティンヒルの我が家の周りでも、庭先からこぼれるように咲き誇るバラの芳しい香りが溢れ、
道を歩いているだけで幸せな気分。
花市場へ行くと、様々な新品種のバラに出会うけれど、やはりバラは香り!と私は思う。
6月、青い空の下で風に揺れて芳香を漂わせるバラ、これ以上に素敵なバラはない。
けれど、その生きているバラを、切って生けて、それ以上にそのバラが美しく見えるような生け方をしたい。
そんな生け方ができているか?そう自分に問いかけてみるたびに、まだまだ、もっと頑張らなければと思う日々。

このところ、そんなイングリッシュローズに夢中です。
花市場でも、目を引かれたイングリッシュローズを毎週のように仕入れています。

写真のピンクのバラは、Augusta Luise。ヒラヒラと上品で、美しいこと、美しいこと。
眺めているだけで、ため息の連続!

そんなピンクの大輪のイングリッシュローズがとても引き立つ色、と言って真っ先に思うのは
ティファニーブルー。ハットボックスとイングリッシュローズ、大好きな組み合わせ。

うちにはハットボックスがなかったので、丸型のボックスに折り紙を貼ってみました。
微妙に色が緑寄りですが、雰囲気は近いでしょうか。

ピンクのバラは、優しい気持ちになれる魔法。
優しい気持ちになれますように…。



Peonyのブーケ

2012-05-20 23:24:45 | flower




3月の終わり、花市場に一斉に出回り始めるPeony。大好きな花。
固い蕾のものは長持ちするけれど、今日どうしても咲いて欲しい、などと、その日の都合に合わせて、
花の咲き具合を見ながら、選んでいく。

今日はこのPeonyを可愛く見せたくて、柔かい色のカンガルーポーと、微妙な色合いが面白いアリウムを選んだ。
このカンガルーポー、淡いグリーンの色に一目惚れ。
それと、大好きなカンパニュラ。カンパニュラは、すぐに萎んでしまいそうに見えて、実はかなり長持ちするところも嬉しい。
そこに蛍光色に近い、明るい薄い黄色のストックを並べてみると、薄いピンク色に映える。ちょっと尖がった形が、変化を加えてくれる。この花たちを合わせて、上手い具合にカンガルーの顔を可愛らしく覗かせて…と、ワクワクしてしまった帰り道。
もう何年、同じマーケットに通っているのかわからないけれど、最初に訪れた時の感動を、今でも感じられるのは、幸せなことだ。

仕事の為に仕入れる花と一緒に、週に一度、自分でこれは!と感じた花を、心の赴くままに選び、
仕事とは関係なく、誰かの為でもなく、自分で花を束ねる。

これは実は、あるフローリストの方がブログに書いていたことなのだが、
以前から、私も同じことをしようと思っていた。
時々は実践していたけれど、毎週となるとなかなか難しい。

でも、これからは、毎週やっていこうと思う。

あるデザイナーの方も、野球の1000本ノックの如く、ひたすらデザインを生み出す訓練をしていると書いていた。
数をこなせば当たるというものではないけれど、少しずつ、確実にレベルアップして行けるという。
天才と言われる人は、並外れた才能を生まれ持っているものだが、大抵の場合、人一倍努力もしているものだ。

人それぞれ、やり方は様々だし、そんなことをしたところで、自己満足に過ぎないかもしれない。
けれど、やはり継続は力なりという言葉には一理あると思う。
私に一番足りない部分でもあると思う。

だから今日は、その決意を皆様に示し、証拠として残して置こうと思い、この写真を載せておくことにした。

花を生け終わった後の感想としては、思った感じの60%くらいだけど、
Peonyの季節、伝わりますか?

修行あるのみ…。





白いバラのアレンジ

2012-03-05 00:08:10 | flower



Parisを歩いて改めて感じたこと。
やっぱり薔薇の似合う街だということ。

バラと言えば、「愛」の花。
「愛」の街パリでは、バラの花束を抱える男性を、本当によく見かける。
「愛」を伝えるのに、最も相応しい花。それがバラの花。

「ロンドンに帰ったら、バラを生けよう!」


堂々として、華やかで、自信に満ちている。
女王様のようなバラという花、
花を習い始め、自分で生け始める前は、特別好きな花ではなかった。
ちょっとスノッブで、フェミニン過ぎて、甘すぎる。
明らかに、自分らしい花ではなかった。

それでも、以前ロンドンのデパート、セルフリッジズで、ジェーンパッカーの店員が
大きなバラの花束を抱えて歩いていたのを見て、思わず足を止めたことがある。
自分でその花屋で働くことになろうとは、まだ夢にも思っていなかった頃。
大輪の赤いバラ一本一本が、どこまでも濃い、それはそれは美しい赤色で、
その花の華やかさに劣らない、黒いティッシューとフリル使いのゴージャスな半透明のセロファンのラッピングが本当に素敵で、一体どんな人がこの花束を受け取るのだろう、と後を付けたくなってしまったほどだ。

そして、花屋に勤め始め、毎日必ず触れるようになったバラの花。

可憐な蕾がだんだん膨らんで、何重にも重なりあった花弁が広がってゆく
その姿をマジマジと見てみると、やっぱりすごい。
これが自然の生み出した形だとは…。植物の形はやはり偉大だ。
次々と入荷されるバラの花の水揚げをしつつ、改めて感じたバラの花の威力。
一本でも完成されている美しさ。
さらに、何十本もまとめて花瓶に入れた時のその存在感。


ジョルジォ・アルマーニの服を、「女性が最も女性らしくいられる服」と讃した人がいたが、花の世界ではまさに、バラは、おそらく一番花が花らしくいられる花、なのであろう。

その女王様、バラを、思い切り華やかに見せたい!
バラのみで、ボリューム感を出しても良かったのだけれど、
今回は何となく、もっと別の方法を探りたかった。
バラ以外のものと組み合わせることによって生まれる、華麗さ。

枯れた冬から新しい命が生まれる、春を目前にした、今のこの季節感。
伝えたかったのは、そんな空気。




Avalanche Rose(バラ、アヴァランチェ)、Hydrangea(紫陽花)、Willow twigs(柳)、 Hanging Amaranthus(アマランサス)、 Guelder Rose(ゲルダーローズ)、 Protea(プロテア)、 Mini Leucadendron(リューカデンドロン)、 Pears(梨)、 Ornithogalum(オーニソガラム)、 Physalis(ほおずき)。


左は、友人Aさん作!(自宅で個人レッスン)



パリの花屋

2012-02-01 00:47:08 | flower

前回行った時は、8月のバカンスで、その多くが閉まっていたパリの花屋。
今回パリ行きが決まった時、真っ先に行きたいアドレス候補に挙がった3軒。

花屋の仕事の多くは、店の奥の見えないところで行われていることが多く、
店に行ったからといって、そんなに作品が見られるわけではない。
それでも、やはり店のあちらこちらに、その店の雰囲気というか、こだわりというか、魂のようなものが滲み出ているものだ。だから、店先だけでも、どうしても訪れてみたかった3軒。

一軒目は、Stephane Chapelle。
パレ・ロワイヤルに程近い店は、けして大きくはないけれど、狭さを感じさせないのは、枝物などで高さを出したディスプレイのせいか。
まず目に留まったのが、上の写真の赤いバラ。壁の金色は、煌びやかながら、けして派手すぎず、花の美しさを効果的に演出していた。この赤と、黄金の色、そして背の高いブラッサムの枝、艶やか。


レジの番人?ふくろう。


Cyperusの葉。こんなに背の高いものは珍しい。
大きなアレンジに映えそう。


店のロゴの入ったリボン。

実は、この店は、ロンドンで出会った西間木恵さんがかつて働いていた店。優しそうな笑顔で迎えてくれた、店主ステファンさん。大きな体で、包み込むような温かさを感じさせる人。本人の写真は、ブログ掲載の許可をもらわなかったので載せないけれど、「Bonjour Megumi!」とさっと紙に書いて手に持って、カメラに笑顔を向けてくれた。

恵さんは、現在仙台に戻り、今年1月にLabo1113という、”花との対話”の空間をオープンしたばかり。ステファンの店、そして日本での豊富な経験を生かした、恵さんならではのユニークな創作活動を見せてくれるはず。今後が益々楽しみなフローリストだ。

2軒目は、Eric Chauvinの店。

”花の貴公子”と呼ばれるEric Chauvin氏の第一号店。エッフェル塔のあるパリ7区、高級住宅地の小さな路地にある。


これは2010年8月。閉まっていて残念だったけれど、店の外にあった高く伸びたジャスミンが素敵で、それだけで来た甲斐があった。そう思うと同時に、今度は中を見てみたい!という願望は益々強くなり…。


「こちらは閉まっていますが2号店は開いています」という、丁寧なお知らせがドアに貼ってあり、2号店の住所が窓辺に添えられていた。こんなさり気ない心遣いまでもが美しく素敵だった。


さて、こちらは今回。念願叶って店内へ。入って正面に迎えてくれたのは、こんなピンクの花たち。エリックの得意な色とのこと。それぞれ質感の違う壺型の花器とバラとのバランス、高低差も完璧!


白い花々。古いレンガの壁に映えて…。





やわらかいピンク色のバラには、こんな優しく上品なグレイの流木。この高さがまたダイナミック。後ろの壁にはめ込んである大きな灰色の石も、トータルコーディネート。


店の外の台の上には小さな鉢植えの植物が。アマリリス、ヘラボラス。

女性の店員さん、一人だけだったが、とても感じよく対応してくれた。

そして3軒目は、Odorantes。

シックな色合いの、外灯、鳥籠や、蝶、額ぶちなどを効果的に用いた、ユニークなディスプレイは、他のどの店とも違っていて、最初に雑誌で見たときから、とても気になっていた店。場所は、サンジェルマン、リュクサンブール公園の近く。

写真は外からのみOKだったので、この一枚のみ。


小さなこの店は、全体がまるで、抽象画のようだ。グレイの壁に、くっきりと影のように黒いオブジェが点在し、花の配置も、無駄がない。花はほとんどがバラだった。


「大人だな~」というのが、3軒回って、一番強く感じたこと。
その華やかさは、宮殿やオートクチュールの華やぎに相応しく、美麗の極み。
建物や壁、花器など、古いものならではの重厚感、大胆な枝物使い。それが、甘く平凡になりかねないバラの花を、甘すぎない、洗練された花に見せている。そして、色彩の魔術とも言うべき、絶妙な色使い。これは簡単に真似できるものではない。パリの花屋には、パリジャンが長年培ってきた独特の美意識が染み付いている。そんな印象を受けた。

やはり花の都でした、パリは。

Stephane Chapelle
29, rue de Richelieu -75001 PARIS
TEL 01 42 60 65 66

Eric Chauvin
22, rue Jean Nicot -75007 PARIS
TEL 01 45 50 43 54

Odorantes
9, rue Madame -75006 PARIS
TEL 01 42 22 82 31




Jane Packer

2011-11-23 23:17:14 | flower


才能ある人の短命は宿命なのだろうか。
11月9日、ジェーン・パッカーさんが亡くなった。

イギリスの、いや、世界のフラワー業界の発展に、近年これほどまでに貢献した人は
他にいないのではなかろうか。誰が見ても「Queen of Flower」だったとは、花市場の老舗問屋の店主の言葉。

思えば、私の花人生も、すべてジェーンの店からスタートした。
もう、かれこれ10年以上も前のこと。レジスターオフィスでの小さな結婚式に相応しい、季節を感じられる花を、との注文に私の大好きな小振りのチューリップだけの、さり気ないウエディングブーケを提案してくれた。

その後、ジェーンパッカーフラワースクールで、花の基礎から一通りを学び、ワークエクスペリエンスを経て、ジェーンの店で働くようになった時、最初のミーティングで、ジェーンから言われた言葉。
「この店には、世界中から、わざわざ足を運んでくれるお客さんが毎日来ているの。その一人として、がっかりさせてはならないわ。毎日、最高の店であり続けなくては。」

セルフリッジズの支店にいた私には、毎日ジェーンと顔を合わせる機会はなかったが、多忙な割には、よく店に立ち寄り、店のディスプレイやブーケについて、細かく確認していた。初めてブーケを褒めてもらった時、どんなに嬉しかったことか。

店のディスプレイを一緒にしていた時のこと、使いたいスペースがあり、セルフリッジズ側に交渉してみたがダメと言われた。ほんの僅か、店の通常スペースからはみ出してしまう程度のことだったのだが、ジェーンは迷わず、「あなた明日の朝早く来れる?誰も来ないうちにやってしまいましょう!」と一言。本当に誰もいないデパートの店内で待ち合わせた翌朝、「開店前の店内に入れるって、何か優越感がない?なんかワクワクするわね」などと言い、魔法瓶に入れてきた自前のコーヒーを注いでくれた。その時思ったものだ。ああ、この人は何でも楽しめる人なのだ。それから、やると決めたことは、絶対にやる、という強い意志があるのだ、と。

なぜ、ジェーンの花が好きなのか。
それは、一口にはうまく言い表せないけれど、
何より、花が好き、という気持ちが伝わってくるからだと思う。
これは、彼女の本からも感じ取れること。

ジェーンの生ける花には、ちょっとコーディネートが上手な、新手のフラワーデザイナーたちとは、明らかに違う、花への”敬意”のようなものが表れているのだ。
僅か13才の頃から花屋でアルバイトを始め、お給料をもらっては花代にしていたというのは有名な話であるが、長年花と向き合い、花を知り尽くしている人の作り出すものには、無理がない。例えば、バラの花の頭だけを揃えて生けるような生け方も、最初は、「茎の長いバラをこんなに切るのは勿体無い、不自然なのでは」などと思ったこともあったが、実際にやってみると、バラも長持ちするし、何と言っても、華やかな花の特徴が最大限に生かされている。彼女の生み出したスタイルは、斬新でありながら、自然に花が美しく見えるものばかりなのだ。

同系色使い、”グルーピング”(同じ種類の花材をまとめて使う)、この二つは、典型的なジェーンパッカースタイルと言われているが、どちらにも、美しい花をより美しく見せたいという気持ちが原点にある。同じものばかり一緒にまとめるのは、一見不自然なようで、実はとても自然。「庭に生えている植物も、バラバラではなくて、大体同じものは同じ場所にまとまっているものでしょう」という理由。ある程度まとまっていた方が、花が生き生きと見えるような気がする。

フルーツをや羽根など、オブジェを組み合わせた、一見奇抜なアレンジも、けして奇抜に見えないのは、ひとつひとつのものがエレガントに調和しているからなのだ。だから、他のデザイナーが、いくらスタイルだけを真似しようとしても、同じクオリティーには仕上がらない。新しいスタイルを生み出すと、瞬く間にコピーをした作品が出回る。でも、本物のクリエイターであったジェーンは、そんなことは、ものともせずに、堂々と新しいスタイルを作り続けていった。

他にも思い出を語ろうとすれば限がない。もちろん私はジェーンの店にいた頃はまだまだ駆け出し(今でもそんなに変わっていないかな?)で、たくさんのスタッフを抱えて世界中を飛び回っていた彼女にしてみれば、私とのそんな一つ一つのやり取りなど、取るに足りないことだったと思う。

でも私にとっては、彼女から教わったことは大きかった。

いつかまた、ジェーンと共に働きたいと思っていた、その願いはもう二度と叶うことはなくなってしまった。とても残念なことだけれど、仕方がない。

ジェーンさん、私が花を生ける時、いつも心の片隅に、あなたがいます。
どうぞ安らかにお眠り下さい。




Autumn colours

2011-10-05 23:05:09 | flower

ロンドンの花マーケットは、9月に入ると、ある朝から一変し、秋、秋、秋一色!になる。秋色紫陽花が所狭しと並び、オレンジ色の大輪菊トムピアスが並び、ハイペリカムやローズヒップなどのオレンジや赤の実物が豊富に揃い…。

秋に限らず新しい季節の訪れを感じた時、そんな時が一番、花を活けたくなる瞬間。

写真の花は、9月の終わりに、花のレッスンをした時のもの。
遠くに住んでいてなかなか会えないけれど、大切な大切な友人に泊りに来てもらって、子どもたちが寝静まった後に、ゆっくりと、秋の夜長の、大人の花時間。



マンゴーカラー、トムピアス菊、ニュータン、ローズヒップ、オークの葉、ビーチの葉、オレンジバーゼリア、チリ、ボウルの周りにマグノリアの葉。

夜の柔らかな灯に映える、優しいオレンジ色。

良い時間でした。




よく晴れた秋の日に空を見上げた時、見えるのはいつも、こんな実ものの枝の数々。


秋といえば、紫陽花。もちろん秋色紫陽花。
ピーターシャムナーサリーにて。


今年の秋一目惚れしてしまった、このシーダム。


Japanese Anemone (シュウメイギク)


野に咲く花のように、生き生きと、それでいて、自然では出せない美しさを引き出す、そんな活け方がしたいものだと思うけれど、本当にそれは難しい。
きれいな庭を見に行っていつも思うこと。

いつも秋に思わせられること。

写真をあれこれ撮って、ブツブツつぶやいているうちに、
気が付けば冬はもうすぐそこです。



derek jarman's garden

2011-09-17 00:09:43 | flower

ずっとずっと、行きたいと思っていた庭に、ついに行ってきた。

「プロスペクトコテージ」と呼ばれるこの小さな一軒家とその庭は、
映画監督、画家、そして舞台デザイナーであったデレク・ジャーマンが、晩年の7年間を過ごした場所である。

"derek jarman's garden"という本は日本語訳も出版されており、日本でも結構知られているとかと思われるが、10年以上前に初めてその本に出会った時から、その独特の世界に引き込まれていった。他のどんな庭にもない、何か、魂のようなものが宿っている庭。それでいて、とても平穏で、温かさが感じられる庭。

プロスペクトコテージのあるダンジェネスという町は、我が家が近年海水浴に行くビーチ、Camberから車で20分ほど。原子力発電所にかなり近いせいか、殺風景な野原が広がる中に、同じような小さな家(といってもうちよりは大きいけれど…)が並ぶ道がある。元々は漁師の住居であったらしい。


こんな場所は他にあるだろうか。映画のワンシーンのよう。

HIV感染が発覚した翌年にこのコテージを購入し、移り住んだ彼は、この何もない不毛の地の、荒涼と静けさを愛した。海辺を散歩して拾ってきた石を並べることに喜びを覚え、この地に育つ草花を見つけては植えていった。


錆びたオブジェとシルバーグレイの絶妙な色合い。


デレク・ジャーマンの庭に多く見られるSea Kale。


こういうところに、生き物が宿っているような気がする。


多肉植物の鉢植え

私たちが着いたのはお昼頃。プロスペクトコテージには現在もちゃんと住人がいて(親戚なのだろうか?)庭に出て、手入れをする姿も見受けられた。看板も何もなく、ただその存在を知る人が、勝手に訪れては、少し遠慮がちに遠巻きに庭を見て行く。観光バスが来るほど混み合うことはなさそうだが、それでも私たちがいる間、人が途切れることはなかった。そんな中で普通に暮らしている人にとって、我々のような見物客は、やはり迷惑なのだろう。それでもこうして、この庭を見せてもらえるのは、申し訳ないけれど嬉しい。家主の寛大さに感謝して、なるべく邪魔にならないように、そっと訪れたいものだ。おそらく家主も、この自然体の姿を守りたくて、敢えて何もしないし、何も言わないのではないだろうか。デレク・ジャーマン本人が生きていた姿、そのままに…。


壁に書かれたデレク・ジャーマンの詩。


植物のうねるような生え方がまた生物を連想させる。
このような山がいくつもあった。


家の裏側。表も良いけれど、裏が凄い!

デレク・ジャーマンの庭のポストコードは、結構見つけるのに苦労したので、
こちらに載せておきます。

TN29 9NE

ここを訪れたのは8月の終わり、もう一月近く前。
ちょうど夏が終わり、秋の気配がする頃だった。
今行ったらまた違って見えるのだろうか。

あそこでは、今日もあの住人が庭の手入れをしていることでしょう。
あんな土地に、生き続ける庭を残した、それだけでも偉業だ。
庭を造ることの喜びが、至る所に感じられる、生きている庭。

私のかなりの期待を裏切らない、それ以上に良い庭でした。





Chelsea in Bloom 2011

2011-06-21 14:01:39 | flower
Chelsea In Bloomは、あの有名なチェルシーフラワーショーと同時期に開催される、「もうひとつのチェルシーフラワーショー」と呼ばれるウィンドーディスプレイのイベント。フラワーショーの最寄り駅、Sloane Square駅界隈のブティックが、生花を使った豪奢なディスプレイを競い合う。投票によって、賞に輝く作品が選ばれる。

このイベントには直接エントリーはしなかったけれど、その盛り上がりを受けて、Orla KielyのKing's Road店でも、何かやってみよう!ということになった。

いつもはこのOrla Kielyのコベントガーデンの本店で毎週お花を生けているのだが、
昨年8月から(花屋では)産休に入っていた私にとっては、久しぶりの大仕事。
事前のミーティング前から、どんな感じにしようかな、とワクワク!
OrlaKielyのVisualMarchandaising担当の友人Cちゃんと一緒のプロジェクト。

例年の他の店の様子は、以前少しこのブログでも紹介したことがあるけれど、かなり大量に生花を使った大掛かりなディスプレイが目立つ。あれだけ贅沢な生花ディスプレイを一度に見られることは少ないので、それはそれで見物なのだが、Orla Kiely ではちょっとその感じは違う…とのことで、もっと独自の雰囲気で行こう!ということに。


Chelsea in Bloomでは、基本的に生花のみ、そして今年のテーマは、”オリエンタル”だったのだが、エントリーするわけではないので、ルールはなし。この自転車の後ろの荷台に乗せた黄色い花はNemesia。このプランツ、セットアップ前日にコロンビアロードフラワーマーケットで一目惚れして買ったのだけれど、思ったよりも数が必要で、急遽追加で入手せねばならぬことになった。ところがそれが、どこを探してもこの黄色のNemesiaは見つからない。ピンクやブルーは置いてあるところも多いのだけれど、こんなにこの黄色のNemesiaが入手しにくいものとは…。


同じくコロンビアロードで購入したカートに乗せたNemesia。この時点ではまだポット数が足りなかったけれど、セットアップ当日午後、ようやく入手。時間も押していたので、その後完成したものを撮影する時間もなし…。

Nemesia。たった1トレイのこのプランツを手に入れる為に、本当に四苦八苦した。
他の花を混ぜてみたり、いろいろ試みたけれど、やっぱり花も人と同じ?!「どうしても、あなたでないとダメ!」というものなのだ…。似た様な花を探しても全然見つからない。この手のフワフワッとした感じだと、いわゆるパンジー系のBeddingFlowerが多くなり、良くありがちな花壇のようになってしまう。
他にありそうでない、Nemesiaの花。


店内ウィンドウには、このカートの他に、アップルクレイトを使って、Nemesiaと白のダリア、そして切花のAlliumが飛び出るようにアレンジ。このまあるい感じで、Orla Kielyらしさを出したかった。
(この写真では全然わかりませんね…。私の素人写真後術では、ウインドウの写真は無理だったのです…。記念写真!ということで…)


店内テーブルには、白い花を色々。一番背の高いのはAllium。爽やかなグリーンのViburnum,紫陽花、フリージア、Orlaさんの大好きなチューリップ、Nigella、そして私の大好きなPeony。シンプルな透明な花瓶の中に、Vintageものも混ぜ込んで…。

さて、今年のChelsea in Bloomでの他の店の様子を少しご紹介。


昨年のフラワーショーでの南仏ガーデンが素敵だったL'Occitane。
こちらもエントリー外だったけれど、一番好きだと思った作品。


Jo Malone。桜の花、幹はウインドウの内側で、花の部分だけ飛び出している。単純に、綺麗だな、と思わせられた作品。


Ormonde Jayne。Vintageのバケツやピッチャーなどをふんだんに使った青系でまとめたディスプレイ。「ああこの花器が欲しいなー」というものが多かったところ。もしかしてScarlet&Violetが手掛けた?




今年の受賞作品。Tiffany。私としては、…。ちょっと寂しいかなー。バンブー、胡蝶蘭ばかりが目立った今年のChelse In Bloom。もうちょっと違うものも観たかったなーというのが個人的な感想。


最後に、King's Roadで思いがけずReal Flower Companyを発見!
ここにも店舗出したのかな?と思って立ち寄ってみると顔見知りの店長が…。
(以前私は、別店舗でお仕事をしたことがあるのです。ブログでもご紹介した、香りのするバラのみのお店です。)ここの店舗は2ヶ月だけの限定出店らしい。やっぱりこのグリーンのハットボックスアレンジ、素敵です。

というわけで、私個人的には、ChelseaIn Bloomに公式参加している店よりも、その店らしいディスプレイをしている他の店の方に目が行く年でした。

来年はどうなるか、また楽しみです。




バレンタイン

2011-02-16 10:18:02 | flower

2月は花屋が一番忙しい月。
その前日が誕生日の私、花屋で働き始めてからは、誕生日はいつも仕事。
黙々とバラのブーケを作る一日。

でも、今年は息子が生まれたばかりで産休中。
ひとつもブーケを作らず!
何だか拍子抜け…でものんびりバースデーもやっぱり良い!

バレンタインと言えば、赤、赤、赤い花。
でも私は昔から赤よりも違う色が好き。

今年は、お友達2人に参加してもらい、バレンタインをテーマに、こんな花を生けてみた。
まずは樺の木(birch) の枝を使って、ハート型のリースを作り、それを土台に、花を加えていく。



白いバラはAvalanche。イギリスでは代表的な大輪のバラ。
香りのないバラなので、ローズマリーを添えて。

みんな小さな子ども連れで、上の子を学校に送って、お迎えまでという時間制限の中、結構時間のかかるアレンジメントを提案してしまい、皆さんの作品や創作過程の写真を撮る余裕もなく…。

でも下の子たちは仲良く楽しそうに遊んでいたし、うちのチビ助はずーっと寝ていたし、こんな形でレッスンを少しずつやていけたらと…。



さて、当日。
結局我が家は今年も日本式。でも前日においしいスウィーツを堪能した夫、チョコレートケーキを焼こうかと聞くと断られたので急遽、チョコレートを買いに行った。もう14回目のバレンタイン。今年はとうとう当日準備…。

Year1の娘はイギリスの現地校に通っているので、バレンタインの認識が日本人とはちょっと違う。
私も「そうなのよ~。バレンタインっていうのは、男の人が好きな女の人に、お花をあげる日なのよ~。パパは日本人だからわからないのかな~。教えてあげたら?」と密かにそそのかしていたのだけれど、やはり14年続いた日本式バレンタイン、そんなことで急に変わるわけもなく…。

夕方、帰宅した娘の手には、花など一本もなく…。
まあ、まだ小さいものね。ママが同じクラスの男の子だったら、真っ先にお花をあげるんだけどなあ。
そういえば日本の小学校でも、バレンタインデーは、男の子にとっては結構シビアな一日だった。
自分は男に生まれなくてよかったと思ったものだったわ。

「今日、クラスで誰か、お花もらっていた?」
 「うん。ルナがもらってた。」
「誰からもらったの?」
 「ハーヴィー。」
「あれ?ハーヴィーはあなたと結婚するんじゃなかったっけ?」
 「うん…。」
「ハーヴィーは、ルナのことが好きなんだ…」
 「うん。でも、私のことが好きなんだよ。」
「え?」
 ハーヴィーは、ルナのことよりも、私のことの方が、もっと好きなの!」

ご飯を食べながらテーブルに身を乗り出して、母に力説した娘…。うーん、でもきっと敗れたね、この恋は…。
まあ、でもまだまだ先は長い。小さな学校で、学年一クラスしかなくて、男の子が10人もいないけれど、誰かがきっと、あなたの良さをわかってくれる日が来るといいね。きっと来る!

そういう私も、誰からも、カードももらえず…。
まあ既婚者だからね…。でも、そうか、もうすぐ40歳。

40歳を過ぎてもきれいな人は相当努力しているものだと夫に言われた。
努力します…。

自分のことはさておき、
来年はもっときれいなお花をたくさん生けてバレンタインを迎えたいな。
ちょっとお仕事が恋しい産休バレンタインデーでした。


お花が終わったら、ベースに使ったリースだけを壁にかけてみた。甘すぎかな?でもバレンタインだからね!





Scarlet & Violet 

2010-10-22 11:31:25 | flower

ロンドンに花屋は多いけれど、大好きな花屋というのは数えるほどしかない。
この夏まで働いていた、今は無きDaylesfordで学んだことはいろいろあったけれど、
アンティークの花器に花を生けるおもしろさも、その一つ。
こういう、古いものに気軽に触れられるのは、ロンドンの花屋で働く醍醐味ではないかと思う。

さて、今回ぜひ紹介したいのは、ロンドン中心部からちょっと北に位置する
Kensal Riseにある花屋さん、Scarlet & Violet
この店には色とりどりの花が所狭しと並べられているのだけれど、
これでもかというほど、様々なアンティークの花器に挿してあって、
実に見事に調和している。


撮らせてくれたらいいなあと、ちょっと半分ドキドキしながら、カメラを見せて聞いてみたら、
~Ofcourse you can!~と快く撮影を許してくれた感じの良い店員さん。よかった~!
まずは大好きな白い花から…。


秋色の紫陽花は種類も豊富に揃っていた。
秋の紫陽花は長持ちするところも好き。リースにしても素敵かな。


作りたてのアレンジメント。スモーキーで微妙な色合わせ、さすがです。
バラが全然甘過ぎない。


日本人が敬遠しがちな菊の花も、こんな風にすると全く違う雰囲気。


撮りたいスポットが多すぎて困るほど。
買う人にも、上手に飾る参考になりそう。



ああ、こういう、世界のある花屋さん、好き好き!
ちょっと不便な場所だけど、固定ファンが多そうだった。
マーケットなどでこういう花器を探そうと思うのだけど、
大体そんなに頻繁に行けるわけでもないし、
行ったからといって必ず出会うわけでもない。
ここには、欲しいものがいくつかあって、売ってくれないかと聞いてみたけれど、
残念ながら、一点ものはすべてDisplayに使うので売れないとのこと。
それはそうよね。一つ一つ、きっと集めるのも一苦労だもの。
この素敵な花器に生けられた花に、時々また会いに来よう。

素敵だなと思う店が、どうか無くなりませんように。



さよなら The Garden

2010-10-21 23:38:38 | flower

7月の終わり、産休に入る前日、最後に作ったブーケ。
同じ会社の(フード部門)同僚の為のウエディングブーケ。
うちの店の花は、常に白い花のみで、それに様々なグリーンやハーブなどを添えてあることが多く
まさにこれぞ、"The Daylesford"という感じのブーケ。

最後の日に、心を込めてこのブーケを作らせてもらえたこと、本当に光栄だった。
今まで、星の数ほど(大袈裟?)のブーケを作ってきたけれど、
その中でも、いくつか忘れられないブーケというものがあるものだ。

そしてこれは、私のDaylesdordでの、本当に最後のブーケとなってしまった。
というのも、8月に店自体が閉店し、ついに幻の店となってしまったから。

そもそも、7月の終わりには産休に入ることにになっていたし
1年後に復帰するつもりはあまりなかったのだけれど、
それでも、産休に入る1週間前に、突然閉店の知らせを受けて、正直とても寂しくなってしまった。



この店を初めて訪れた時、一目で惚れ込んでしまい、思わず「働きたいんですけど、空きはないですか?」とその場で聞いてしまった私。私も私だけど、それを聞いて、特に募集もしていなかったのに、私の話を熱心に聞いてくれて、ポートフォリオを送ったその日に、インタビューの約束をしてくれた当時のマネージャーJ氏。

そして、その最初のインタビューで、かなりの時間をかけて、店の話をしてくれたJ氏。
この店で、これから何をしたいのか、何故この店が好きなのか、それにはどんな人が必要なのか…。
仕事のインタビューに行って、そんな話を1時間以上も延々されたことは初めてだった。
そんな彼女の情熱に私もつい熱くなり、興奮気味で、うんうん、と頷いて、夢を膨らませていった。
娘の学校の迎えの時間が来なかったら、きっと何時まででもそんな話をしていたに違いない。
それくらい、店のコンセプトへの共感は強かった。

だから、トライアルデー(一日実際に働いてみて、スタッフとして正式に雇われるかどうかが決まる。言わばテストのようなもの)に無事にパスして、この仕事が決まった時は、最初の店の仕事が決まった時と、同じくらいうれしかったものだ。



この店のスタッフはとにかく細かい。
とにかく、美しくないものは、店で使ってはならない。
例えば花がオランダや国内の市場から運ばれてくる時、プラスチックのバケツや箱に入っているものなのだが、そういうものは、数分たりとも店頭に置いておく事は許されない。
「物を置く時には、常にどうしたら一番美しく見えるか考えて…」店員全員の口癖だった。
これは、花を美しく生ける云々以前の問題。
だけど、こういったことすべてが、創るものの美しさにも反映する。



それと、もうひとつ、私が他の店と違うと思ったことは、
花材、プランツ、すべてのものを、大切に、大切に扱っていること。
もちろんどこの店にもそういう人はいると思うけれど…。
花を売り物として扱うだけでなく、生き物として扱っている、そんな店だった。



そもそも、うちの会社はオーガニックの食材や食品を売るのがメイン。
あくまでも、オーガニックフードの会社。
Gloucestershireの田舎で、最初は自分の家族の為に安全な食品を作ることから始めた農場、そこからビジネスを拡大していって、今の、何でも揃うオーガニックショップに発展していったのだった。
そしてそのオーガニックライフを、都会のロンドンの暮らしにも…ということで、
まずは食品の店舗がオープンして、その後に、花やプランツ、長く使えるクオリティーの高い雑貨を扱う"The Garden"がオープンする運びとなったらしい。
店全体は、カントリー風のようで、それでいて、田舎を歩いて探してもどこにもないような、徹底したテイストで統一されている。~風、というのは好きではないし、そんな風に括ってしまうと陳腐になってしまうから、そもそもそんな定義をするのはおかしいのだけれど…。



だから、私も、店に置かれているアンティークの家具や雑貨ひとつひとつにもとても思い入れがあり、毎日掃除をして、並べているうちに、自分の物のように錯覚してしまうくらいのものもあったくらいだ。
それでも、もともとあまり細かくない性格の私は、ちょっとしたことで同僚によく注意されたものだったけれど…。言われ続けた割には、まだまだ全然ダメな私…。性格的な問題なのか…。つくづく、花の仕事には向いていないのだなあ…と落ち込むこともあったけれど、それでも、続けてこられたのは、そんな直向で徹底した完璧主義の同僚に、少しでも近づきたい、私もいつか、あんな風になりたいな、という思いがあったから。
そんな風に思わせてくれた同僚、特にM氏には、本当に感謝している。彼と仕事をしながら、花の話をすると、いつも盛り上がって止まらなくなるのだった。(でも彼はテキパキと次々に仕事をこなす、その辺が私と違うんだなあ…)


これがM氏。真剣な眼差し。

店を閉めるに当たって、本当に多くのお客さんが惜しんでくれて、中には泣き出すような人もいた。
実際うちの店は、わざわざ見る為に遠くからやってくる人も少なくなく、かなりの人に、この上ないお褒めの言葉を頂いた。でも、実際に店として続けていけるかというと、それは全く別な話…。
私が好きだなと思うものは、大体あまりお金にならない、ビジネスとしては大成しないことばかり…。
何故なんだろう…。経済などに全く疎い私にとって、その問いはいくら考えても答えは出ず…
それでも、まあいいか…なるようになる!と大雑把に考えてしまう、楽観的な性格の私…。

心を込めて、人の為に美しい花を作る、そんな仕事を続けていくことができたら、それで良い。
そんな思いは、大好きなDaylesfordがなくなっても、この店を通して私の中刻まれた、大切な思い。

この仕事を通じて出会ったすべての人々に、感謝して…。
ありがとう。さようなら。