LONDON DIARY

ロンドン在住フローリスト、asuka のブログ。

パリのレストラン

2012-02-11 01:40:01 | food



こんな、薄く花びらのような野菜が散りばめられた、美しい一皿を頂いたのは、何年ぶりだろう…。

パリ、マレ地区にあるclaude colliotというレストラン。
正直、子ども2人も一緒で、こんなレストランには絶対に行けないだろうと思っていた。

展示会のオープニングの為、一日早くパリに着いていた主人が、前日夜に主催者に連れて行ってもらったというお店。

外観はとてもシンプル。そんなに堅苦しい感じではないが、明らかに大人な雰囲気。ドアを開けると、感じの良いウエイターが迎えてくれた。子どももOK!

ここのマダムはとても気さくな感じで、子どもたちが飽きないようにと気遣ってくれて、おもちゃやバゲットの端など、さり気なく、タイミング良く持ってきてくれた。そのおもちゃがまた趣味が良く、布でできた野菜がバスケットに入っているものや、動物の家など、どれも素敵で、この店に馴染んでいて、素敵だった。こだわりのある店のセンスは、そんなところにも光るものだ。


食いしん坊の息子、特別に持ってきてもらった、バゲットの端をガジガジ。



私が前菜に頼んだかぼちゃのスープ。かぼちゃのスープは良く作るけれど、こんなのは初めての味!半分は息子のものに。トリュフの香りがした。



主人の前菜、卵の火の入り具合が絶妙。



私のメインの皿、「本日のお魚」



お魚と一緒に出てきた副菜、マッシュポテト。マッシュポテトの上に、カプチーノのような泡状のクリーム。メレンゲのような感じもした。この組み合わせは◎!もう一つの副菜は、和食の白煮を思わせるような一品。玉葱の甘みが引き立つ、繊細な良いお味。



主人のデザート、サクッとしたビスケットのチョコレートソース絡め。添えられたイチジクも美味。



私はデザートに、マスカルポーネとリンゴの一皿を。じっくりと引き出されたリンゴ本来の甘みと、マスカルポーネ。真似をしてみよう!と思ったけれど、きっと同じ味にはならないかな?これは本物の花びら付き。



美しく上品な盛り付けで、そんなに量が多く見えなかったのに、すべて頂いてみると、結構な量だ。でも、味付けが全体に繊細で、さっぱりしているので、後にもたれるようなことはなかった。素材の味を最大限に生かしつつ、素材のみではけして引き出せない味、そして目にもおいしい美しさ、という二重の愉しみ。

我々がデザートを堪能している頃、店のシェフ、Claude Colliotさんが出てきた。隣の席に座って、何やら真剣に話をしている。話し相手は、最初にあのマダムと話をしていた若い青年、どうやら仕事の面接をしている様子。フランス語で、何を言っているのか全然わからなかったが、このシェフの仕事に対する情熱が、私たちにまで伝わってきた。後から知ったのだが、彼はパリの様々なレストランで、次々と人気レシピを生み出した、フランス料理界の新星、とのこと。キラリと鋭い目が印象的な、素敵なシェフだった。

ため息の出るような、この上なくおいしいランチ、ご馳走様!

claude colliot
40 Rue Blancs Manteaux, 75004 Paris
+33 (0)1 42 71 55 45 ‎



続いて、2軒目は、日本人シェフのフランス料理店、Kigawa。





土曜日のディナー。当日の昼頃、電話で予約したが、9時半までに席を空けるという条件で、何とか予約が取れた。

ドアを開けると、日本人のスラリとした女性2人が迎えてくれた。日本人の心配りは素晴らしい!ベビーカーや買い物袋など、小さな店にはとても迷惑な大荷物で出かけてしまった私たちに、とても快く対応してくれた。入り口正面に飾られた白いカンパニュラの花が目に留まる。
小さな店だが、隅々まで手が行き届いている感のあるお店。

私と夫は、セットメニューから、前菜、メイン、デザートと3皿ずつ、友人は前菜、メイン。子どもたちは、娘がシーフードのリゾット、1歳の息子はスープをオーダーした。

前菜は、いわしのマリネ、ネギとシソ添え。ネギの甘みがグッと凝縮されて、いわしととても良く合う。

息子のスープはコンソメベースのシンプルながらコクのある一品。卵白のムースのようなものがプカプカ浮いていて、いかにもフレンチ。一歳児にはちょっと贅沢かもしれないけれど、かなりおいしかった様子。

私のメインは、本日のお魚。鱈のムニエルに、トロトロの茄子が添えてあった。お魚もおいしかったけれど、この茄子が絶品。
主人のメイン、牛タンのロースト、マッシュポテト添え。牛タンは、お箸で切れそうなくらいホロホロだった。

私のデザート、レモンクリームのベリーフルーツ添え。下に敷いてあるカリカリのクランブルの食感がこれまた良い。

在仏日本人の間で話題の新しい店、と聞いていたが、周りを見渡すと現地の人の方が多かった。
厨房は一人なのだろうか。世界に名立たるフランス料理の本場、パリで経験を積み、現地で店を構え、現地の人に立派に支持されている日本人のシェフ。

店の奥の厨房から、時々そのシェフが顔を覗かせて、客の食事の進行の具合を伺っていた。
こうして一皿一皿丹念に作られたお料理。どれもその心が伝わってくるようで、温かでおいしかった。親切な客の対応をしていた二人の女性のうちの一人は、シェフの奥様で、デザートを担当するパティシエらしい。昨年オープンしたばかりというこの店。若いお二人の料理への情熱が詰まった店。好きだなー、こんな店。

もっと写真を撮りたかったけれど、何となく撮りにくい気がして、外から一枚のみ。

Kigawa
186 Rue Chateau、Paris
+33 (0)1 43 35 31 61



そしてこちらは、レストランではないけれど、Sadaharu Aoki。
唯一カフェスペースのあるセギュ-ル店。
有名だけど、こちらもパリの日本人。

パリが本店のSadaharu Aoki、ロンドン在住の私だが、東京ミッドタウン店にしか行ったことがなかった。東京の店でぜひお茶が飲みたかったのだが、小さな娘を長蛇の列に並ばせることはできず断念、持ち帰り用に焼き菓子等を買ったのみだった。でもそのお菓子の一つ一つが驚くほどおいしくて!
パリに行くたびに、必ずここのお菓子をおみやげに買ってきてくれるCちゃん。何と今回偶然にも同時期にパリにいるということが判明。CちゃんとSadaharu Aokiでケーキを食べる!という夢が、とうとう叶ったのだった。東京では信じられないほど空いている店内。ゆっくりと静かな空間で頂くと、味も違うに違いない。せっかくのパリ、日本でも行ける店にわざわざ行かなくても、と思うかもしれないが、やはりパリ本店に行く価値大!





娘が一番欲しがった、カラフルなチョコレート。店でも頂き、買って帰った。
こんなチョコレートは、ありそうでなかなかない。





モンブラン。



ホワイトチョコと抹茶、ゴマのケーキ。



カウンターの後ろの壁に掛けてあった、植物、苔。
苔って本当に面白い。
日本の庭の美が凝縮されているような…。



テーブルの可憐な花。



ケーキの味はもちろん極上。こんなもの、絶対に自分では作れない。
お茶は南部鉄器の急須で出された。
良い午後でした。

Sadaharu Aoki
25, rue Perignon, 75015 Paris


private記事更新のお知らせ

2012-02-04 04:11:53 | password


皆様こんにちは。


Paris報告第二弾は、子どもたちのパリ。
子どもたちの旅日記と、ちょっとマイナーな、子ども連れの方へのお勧めスポット情報を兼ねて、まとめてみました。


「子どもたちのパリ」(2012.2.1)


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「新しい年、新しいこと」

我が家の2011年(2012.1.9)

10月の海 (2011.10.4)

初めまして (2010.11.10)

秋、ハイドパーク (2010.11.4)

10月の海 (2011.10.4)

Paris (2010.10.8)

ロンドンより海へ (2010.6.2)

子ども動物園 (2010.5.31)

さよなら2009

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ナーサリー (2008.7.5)

里帰り (2008.6.20)

ミラノサローネ 番外編 (2008.5.17)

ミラノサローネ2008 (2008.5.10)

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 (2007.11.16)

イギリス 秋の味 アップルチャツネ (2007.11.5)

カズ数え (2007.9.29)

サーペンタインギャラリー (2007.8.24)

木製ミニチュアバギー (2007.7.13)


パリの花屋

2012-02-01 00:47:08 | flower

前回行った時は、8月のバカンスで、その多くが閉まっていたパリの花屋。
今回パリ行きが決まった時、真っ先に行きたいアドレス候補に挙がった3軒。

花屋の仕事の多くは、店の奥の見えないところで行われていることが多く、
店に行ったからといって、そんなに作品が見られるわけではない。
それでも、やはり店のあちらこちらに、その店の雰囲気というか、こだわりというか、魂のようなものが滲み出ているものだ。だから、店先だけでも、どうしても訪れてみたかった3軒。

一軒目は、Stephane Chapelle。
パレ・ロワイヤルに程近い店は、けして大きくはないけれど、狭さを感じさせないのは、枝物などで高さを出したディスプレイのせいか。
まず目に留まったのが、上の写真の赤いバラ。壁の金色は、煌びやかながら、けして派手すぎず、花の美しさを効果的に演出していた。この赤と、黄金の色、そして背の高いブラッサムの枝、艶やか。


レジの番人?ふくろう。


Cyperusの葉。こんなに背の高いものは珍しい。
大きなアレンジに映えそう。


店のロゴの入ったリボン。

実は、この店は、ロンドンで出会った西間木恵さんがかつて働いていた店。優しそうな笑顔で迎えてくれた、店主ステファンさん。大きな体で、包み込むような温かさを感じさせる人。本人の写真は、ブログ掲載の許可をもらわなかったので載せないけれど、「Bonjour Megumi!」とさっと紙に書いて手に持って、カメラに笑顔を向けてくれた。

恵さんは、現在仙台に戻り、今年1月にLabo1113という、”花との対話”の空間をオープンしたばかり。ステファンの店、そして日本での豊富な経験を生かした、恵さんならではのユニークな創作活動を見せてくれるはず。今後が益々楽しみなフローリストだ。

2軒目は、Eric Chauvinの店。

”花の貴公子”と呼ばれるEric Chauvin氏の第一号店。エッフェル塔のあるパリ7区、高級住宅地の小さな路地にある。


これは2010年8月。閉まっていて残念だったけれど、店の外にあった高く伸びたジャスミンが素敵で、それだけで来た甲斐があった。そう思うと同時に、今度は中を見てみたい!という願望は益々強くなり…。


「こちらは閉まっていますが2号店は開いています」という、丁寧なお知らせがドアに貼ってあり、2号店の住所が窓辺に添えられていた。こんなさり気ない心遣いまでもが美しく素敵だった。


さて、こちらは今回。念願叶って店内へ。入って正面に迎えてくれたのは、こんなピンクの花たち。エリックの得意な色とのこと。それぞれ質感の違う壺型の花器とバラとのバランス、高低差も完璧!


白い花々。古いレンガの壁に映えて…。





やわらかいピンク色のバラには、こんな優しく上品なグレイの流木。この高さがまたダイナミック。後ろの壁にはめ込んである大きな灰色の石も、トータルコーディネート。


店の外の台の上には小さな鉢植えの植物が。アマリリス、ヘラボラス。

女性の店員さん、一人だけだったが、とても感じよく対応してくれた。

そして3軒目は、Odorantes。

シックな色合いの、外灯、鳥籠や、蝶、額ぶちなどを効果的に用いた、ユニークなディスプレイは、他のどの店とも違っていて、最初に雑誌で見たときから、とても気になっていた店。場所は、サンジェルマン、リュクサンブール公園の近く。

写真は外からのみOKだったので、この一枚のみ。


小さなこの店は、全体がまるで、抽象画のようだ。グレイの壁に、くっきりと影のように黒いオブジェが点在し、花の配置も、無駄がない。花はほとんどがバラだった。


「大人だな~」というのが、3軒回って、一番強く感じたこと。
その華やかさは、宮殿やオートクチュールの華やぎに相応しく、美麗の極み。
建物や壁、花器など、古いものならではの重厚感、大胆な枝物使い。それが、甘く平凡になりかねないバラの花を、甘すぎない、洗練された花に見せている。そして、色彩の魔術とも言うべき、絶妙な色使い。これは簡単に真似できるものではない。パリの花屋には、パリジャンが長年培ってきた独特の美意識が染み付いている。そんな印象を受けた。

やはり花の都でした、パリは。

Stephane Chapelle
29, rue de Richelieu -75001 PARIS
TEL 01 42 60 65 66

Eric Chauvin
22, rue Jean Nicot -75007 PARIS
TEL 01 45 50 43 54

Odorantes
9, rue Madame -75006 PARIS
TEL 01 42 22 82 31