LONDON DIARY

ロンドン在住フローリスト、asuka のブログ。

Rose Bakery

2008-02-09 03:11:23 | food
メイフェアのDover Streetに、コム・デ・ギャルソンンの店、Dover Street Marketが出来た数年前…。その出会いは衝撃だった。

思わず通り過ぎてしまいそうなほど、控えめなグランドフロアの入り口を一歩踏み入れると、店の至る所に置かれている、鳥の剥製やアンティーク雑貨、突如現れる山小屋風のカウンター。明らかに、採算度外視しているとしか思えない。上の方の階で売られていた家具のディスプレーは、店というよりもギャラリーのように、見せるための美しい配置への心遣いが伺われた。商品を売る、それだけでは終わらない芸術性と独自性が感じられる豊かな空間。そしてその最上階には、まさしくそれにふさわしい、究極のカフェがあった。

決して広くはない、横長のカフェスペースは、何故かとても居心地が良さそうで、一目で座ってみたくなった。カウンターに並べられた、お惣菜やお菓子の数々も、手作り風(しかしプロの完璧さを兼ね備えている)でどれもおいしそう!
最初に食べたスコーンの感激は、今でも忘れられない。
もしかしたら、長年この国で散々試してきた中でも(我が家は大のお茶好き。午後のお茶のために、わざわざ田舎町まで車を飛ばす)1,2位を争うほどの出来。一杯の紅茶とスコーンで、しかもロンドンの真ん中で、こんなに幸せになれるなんて、そんな場所はそうそうない。
その後何度か訪れ、サラダやケーキなど、いくつか試してみたけれど、何を食べても、「ああロンドンに住んでいて良かった~。生きてて良かった~!」と思わせられる程のおいしさだった。

そのカフェは、Rose Bakeryと言って、パリにある店らしい。
そう知ったときから、いつかそのパリの店を訪れることが、私のささやかな夢となった。

実は今だにその夢を見続けているのだけれど、この間のクリスマスに、この愛しのRose Bakeryのレシピが載っている本を、夫からプレゼントされた。
白い紙に包まれ、紐の結び目には、木製ミニチュアのキッチン道具が。それ以来、この小さな飾りは、私の「料理の神様」としてキッチンの片隅に吊るされ、日々見守ってくれている。少しは料理の腕が上がるかな?

この本はレシピの味は然ることながら、写真もとても良くて、いくら見ていても飽きない。クリスマスに手にして以来、本当に、毎日暇さえあればこの本をめくり、次は何を作ろうかと考えに耽っていた私。あまりにもこの本の料理ばかりなので、夫に「もういい加減、別の本からも作って欲しい」と言われてしまったほど…。(自分でプレゼントしておいて…)

Rose Bakeryの主であるRoseさんは、フランス人のパートナーと共にこのカフェを営むイギリス人。料理を本格的に習ったことはないけれど、美味追求のこだわりは相当なものだったよう。良い素材の味を生かす、シンプルだけど、手間隙を惜しまず、丁寧に作り上げられる料理やお菓子は、とても温かみがあって、家庭で定番にしたいようなものばかり。特に、甘党ではない彼女の作る、お菓子の甘さ加減や、ヘルシー志向は、日本人にも受け入れられやすいのでは?

日本でもアマゾンで購入可能な様子。
イギリス料理も捨てたものではありません。
でも、これをおいしく作るには、フランスのバターと粉、それから塩が欠かせない。やっぱりフランスには叶わぬか…。



外はカリッ、中はしっとりのスコーン


アンティークのスコーン型。まだまだ現役。


キヌワのサラダ。サラダは全部試作済み。


ポテト・グリビッシュ。ローストした新ジャガ+ゆでたまごとガーキンス、ケイパーで大人の味。


ヒヨコ豆のスープ。クミンシードを少し効かせてカレー風味に。



イギリスを代表する魚?たらのトマト煮。凝縮されたトマトの味が美味。


甘さ控えめヘルシーなバナナケーキ。