ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第18節 ツエーゲン金沢vsFC町田ゼルビア

2020-09-11 18:47:07 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の金沢の記事はこちら(15節・山口戦)
※前回の町田の記事はこちら(13節・磐田戦)

大橋に続いて下川まで故障離脱してしまい、ボランチのやり繰りが苦しい状況となっている金沢。
そんな中、前節は不動のレギュラーだった藤村を休養させて首位・長崎との一戦を迎えました。
本塚とドイスボランチを組んだのは、普段はサイドハーフの島津。
初スタメンのホドルフォが左SHに入る等、不安定感が滲み出る中盤で挑み、結果は1-1の引き分けと善戦。

そしてこの日は最善の中盤で臨みましたが、ベンチに金子が復帰。
故障者続出な中、一匙の光明を得たような(成績的には中位をキープしているのですが)状況となりつつあります。

そんなやり繰りとは無縁なのが、現在の町田。
過密日程にも拘らず、スタメンを殆ど弄らずにチーム運営している、とは前回述べた通り。
しかも今回の5連戦は全くスタメン変更を行っておらず、4戦目のこの日も不動。
しかしここに来て成績的には4連勝と好調で、ランコ・ポポヴィッチ監督の下、シーズン前や中断期間でのトレーニングで極限まで体力面を鍛え込んだのでしょうか。
(中断明け直前のトレーニングマッチでも、J1・浦和に勝利したりしていましたし)

共に4-4-2で(但し町田は平戸が下がり目の4-4-1-1気味な布陣)、しかも両者ポゼッションサッカーとは無縁なチーム。
ミラーマッチ故の、マーカーがピタリと合った状態で試合が始まりました。

そうなるとマンマーク基調である金沢の守備が活きる筈。
しかし立ち上がりは町田がシュートに結び付ける攻撃を見せます。
前半4分、安藤が倒されながらもボールを繋いだのち、左サイドから平戸→佐野→吉尾→奥山と中央へ繋がり、奥山がミドルシュート。(枠外)
9分には右サイドから吉尾がドリブルで中央へ向かいつつ前進し、ミドルシュート。(枠外)

ミドル2本を浴びせた後の11分、今度は近めから撃ちます。
一旦は吉尾→安藤のパスがカットされるも、奪い返した安藤がドリブルののち、パスを受けた平戸がエリア内左へ進入してシュート。
GK白井のセーブに阻まれますが、徐々に得点の可能性が高まる良い流れ。

しかし、以降は金沢のマークが嵌ってきたかペースダウン。
金沢の攻撃は、12分に左サイド奥で加藤がキープ→本塚→加藤エリア手前左からシュート。(ブロック)
15分には高安のボール奪取から、本塚がミドルシュート。(枠外)
押し返しを見せた金沢ですが、こちらも以降ペースが落ちていきます。

町田サイドは金沢のマンマークの前に、中々ボールを回せない状況に陥ります。
そうなると金沢の攻撃になる訳ですが、町田の守備も硬く。
金沢ほどしつこく追い回しては来ないものの、リトリートの速さで中央を固め、ロングボールは悉く跳ね返す。
ポゼッションスタイルとは程遠い金沢を、「ボールを持たされている」状況に追い込む事に成功します。
こうして、普段緻密なビルドアップはあまり行わない金沢が、最終ラインからのパス回しを余儀なくされる展開に。

その金沢のビルドアップですが、2センターバック(作田・石尾)とドイスボランチ(藤村・本塚)のボックス型が基本。
しかしそこからの可変に乏しく、せいぜいサイドに送ってからの攻撃が精一杯となり、「ポゼッション力に乏しいチームのポゼッション」という形を強いられていきます。

ボール支配率はいつもより高くなったものの、有効打を撃てない金沢。
そんな金沢を尻目にワンチャンスをモノにしたい町田でしたが、逆に33分。
敵陣エリア手前で細かくパスを繋ぎ、右サイドで小田・吉尾・高江のトライアングルを作ったものの、奪われてカウンターを浴びる展開に。
杉浦恭平の縦パスを受けた加藤にシュートを撃たれてしまうも、ここは枠外に。

町田も敵陣では細かくパスを繋ぐスタイルを見せ、ここら辺はポポヴィッチ監督の理想が表れる形に。
しかし相手のボール支配を逆手に取っての攻撃は中々出来ず。
それでも40分、敵陣で奥山がボールを奪い左サイドで形作り。
その中で奥山はパス回しに絡んだのち、高江のスルーパスに抜け出してエリア内左からシュート。
GK白井の股を抜いてネットに突き刺し、自身のディフェンスを自身で先制点に繋げる事に成功しました。
この1点リードを保ったまま前半を終えます。

ハーフタイムでの選手交代は無く後半開始。
ここまで4連勝の全てで複数得点を記録している町田、この試合も追加点を奪う算段だったのでしょう。
頭から攻勢に出て、後半3分には右からの佐野のクロスが、DFに当たりつつも中央へこぼれた所安藤ポストプレイ→平戸シュートと繋がるもブロックに阻まれます。
その後クリアボールを深津が跳ね返し、安藤が落とすと吉尾の戻しを受けて自らシュート(ブロック)と、果敢にシュートを放っていくスタイルに持ち込みます。

5分ぐらいまで町田ペースは続き、その後は反撃に出たい金沢がボールを握ります。
しかし前半同様硬直気味の攻撃に終始。
シュートは10分、ロングボールの跳ね返しを本塚が拾ってミドルシュート(枠外)という場面ぐらい。
手詰まり感が漂い始める中、14分に高安→窪田へと交代します。

そしてこれが当たり、15分に藤村ロングパス→加藤ポストプレイ→杉浦恭→加藤右へ展開とボールが回り、受けた窪田がドリブルで右サイドを突破してクロス。
ファーサイドに落ちるこのボールを、島津が跳び込んで胸で合わせる、執念溢れるシュートをネットに突き刺しゴール。
流れの悪さを振り払うかのような同点弾を奪いました。

その後はお互い停滞するなか、22分に町田がエリアすぐ手前で直接フリーキックを得ます。
キッカーは吉尾、壁を超すシュートを放ったものの、惜しくもボールは落ち切らず上に外れます。

飲水タイムを経て、25分に金沢は島津→金子へ、町田は吉尾→中島へ交代(平戸が右SHへ)と両者動きます。

そんな中、金沢は28分左からのスローインからチャンス。
左サイドで組み立て、戻しからの縦パスも絡めつつ、金子の戻すパスに藤村が走り込んでミドルシュート。
地を這うボールが金沢ゴールを襲いましたが、僅かにゴール左へと外れ。
町田は31分、安藤のヒールパスを受けた平戸が持ち込み、果敢にミドルシュートを放ったものの枠外に。
38分にはCKから、安藤がヘディングシュートを放つもゴール左へ逸れて得点ならず。

双方好機を作ったものの、以降は停滞し、金沢は前半同様にボールを持たされる展開。
町田は敵陣でボールを握る場面を作っても崩しに欠け、ポポヴィッチ監督の「キープ!」の掛け声が空しく響くなど、首脳陣の理想とピッチの現実との乖離が感じられました。

それは交代策にも現れ、金沢は38分に杉浦恭→杉浦力斗。
町田は35分に岡田→森村(平戸が左SHへ)、38分に深津→酒井と1人ずつの交代に終始し、両ベンチとも2枠を余らせる結果となります。
バランスを崩したくない、という思惑が露骨で、以降シュートは町田・平戸の無理目なロングシュートの1本だけ。
お互いの思考が噛み合った結果、最終結果もこのまま1-1の引き分けに終わりました。

そんな中、町田は途中から投入された中島。
既にベテランの域に入ったストライカーですが、この日は中央に張ってのポストプレイヤーの役目に終始。
それでも殆ど目立つ事は無く、アディショナルタイムに、中盤でボールを収めた所金沢・藤村に足を掛けられ反則を受けた場面ぐらい(藤村に警告)。
前年までの特異なサッカー、つまり前監督・相馬直樹氏による「ワンサイドアタック」との決別を強いられる中、もがいているかのように映りました。

2度目の5連戦も出口に差し掛かり、金沢は2勝2分、町田は3勝1分と調子を維持。
この両者の直接対決は硬直感が目立つ結果となりましたが、最後の5戦目は引きずる事無く、スカッと終われるでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第18節 栃木SCvs徳島ヴォルティス

2020-09-10 18:34:46 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の栃木の記事はこちら(15節・甲府戦)
※前回の徳島の記事はこちら(14節・千葉戦)

ウノゼロでの逃げ切りで味を出していた栃木ですが、過去2試合はいずれも複数得点。
しかし16節・北九州戦では、2-0とリードしたものの守り切る事が出来ずに引き分け。
不穏な空気を抱えて迎えた前節は水戸との「北関東ダービー」。
前半に先制を許す展開となり、常に追い掛ける状況ながら後半に2得点しての逆転勝利。
ラストプレーで柳がヘディングシュートを突き刺しての劇的な勝利で、機運を上げて迎えたこの日の試合。

結果は納得なものの、いずれの試合も勝ちパターンから外れてしまった事には変わり無く。
この日は強豪・徳島との一戦で、パターンから外れた場合のイレギュラーは許してくれなさそうな相手。

前節・群馬戦ではロングボールも交えつつ、相手のプレスをいなし続け2-0出の快勝。
ポゼッション一辺倒とはならない試合巧者ぶりも見せ付けた徳島。
この日もプレスの激しい栃木相手に、序盤からロングボールを交えての攻撃を見せます。

立ち上がりにフリーキックを得、そこからコーナーキックも2本得た徳島ですが、それが済んでしまうと栃木のターンに。
持ち味の「ストーミング」ぶりはこの日も発揮され、相手を押し込んで敵陣奥でのスローインを多数獲得。
そこから、普通に投げて組み立ててからクロス・ロングスローで直接エリア内へという二択ともいえる攻撃を繰り広げてペースを掴みます。
前半10分には左サイド奥でのスローインから組み立て、瀬川のグラウンダーでのクロスを明本が受け、角度の無い所からシュートを放つもGK上福元がキャッチ。
以降も積極的にシュートに結び付けるも、徳島ディフェンスのブロックに阻まれます
しかしこの特殊な戦術に次第に徳島も慣れ、再び徳島ペースの絵図に。

攻撃するもシュートまではいけなかった徳島ですが、飲水タイム後から本領発揮。
25分は右からのCK、岩尾がエリア中央遠目へとクロスを入れ、ドゥシャンの落としを岩尾がボレーシュートに持っていったもののGK川田がセーブ。
31分には左サイドで組み立て、渡井の真横へのカットインからのパスを受けた小西がミドルシュート。(枠外)
前半の後半からは、従来のポゼッション重視の攻撃も巧くいくようになり、攻撃権を支配していきます。
しかしこれ以降双方シュートは生まれず、勝負は後半という思惑を醸し出しつつの前半終了となります。

後半頭から、徳島は藤田→岸本へと交代。
この2人をワンセットで右ウイングバックで起用している徳島、この日は半分ずつ分け合う事に。

後半、先に仕掛けたのは栃木。
キックオフからの攻撃をチャンスに繋げ、右サイド奥で森が徳島・田向に倒され反則・FKに。
キッカー明本がニアサイドにクロスを上げると、田代が綺麗に合わせてヘディングシュート。
前年の残留争いを思い出すかのような田代のシュートでしたが、ボールはバーを直撃して惜しくも先制とはいかずに終わります。
結果的にこの決定機逸が高くつく形となりました。

その後も勢いを持ち前から仕掛ける栃木。
GK上福元のパスをエリア内でカット(後半5分)する場面も作りましたが、精度を欠き得点する事が出来ず。
すると逆に、6分にCKを得た徳島。
渡井が長めのショートコーナーで変化を付けると、小西が遠目から果敢に、クロスと見間違うようなシュート。
これが弧を描いてゴール左上に突き刺さるゴラッソとなり、押され気味な中で徳島が先制。
栃木サイドから見ると、キッカー役の藤田が交代した後の初のセットプレーで、誰が蹴るのかという部分で少し混乱していた感があったでしょうか。(通常岩尾が蹴るのだがここで違いを出していた)

上位2チーム(長崎・北九州)を一歩後から追い掛ける立場の徳島。
負けられない試合が続く中で襲い掛かる過密日程は、他チームよりも悩ましい要素となっています。

前節で岩尾を温存(後半頭から出場)し、前半に流れの悪さを招いたもののそれでも勝利。
今季初の2トップ(垣田・河田)の布陣でスタートするなど、奥深さを見せつつオプションを増やさんとした試合となりました。

そんな中、この日は自身とは真逆のサッカーを繰り広げている栃木との対戦。
成績も上位に喰い込まんとしている相手で、その「ストーミング」に呑み込まれない戦いを繰り広げるのは昇格に向けての試練の一つとなる。
そういった事を勝手に考えていましたが、苦しみながらも無事にスコアで先手を取る事に成功しました。

ビハインドとなった栃木は、徳島のビルドアップに対し更なるプレスを敢行します。
後半8分、GK上福元から回していく徳島に対してハイプレス。
しかし徳島は逃げに逃げ、渡井が降りて来るのも交えつつ、最後は小西の左→右へのサイドチェンジで脱出。

このプレーで勢いに乗る徳島。
直後の9分、エリア手前で岸本が受けた所栃木・佐藤祥に倒されて反則。
良い位置でFKを得たと思ったその刹那、岩尾がクイックリスタートで渡井に渡し、エリア内右からシュート。
ブロックされて右CKとなりショートコーナーから岩尾がクロス、これをニアサイドで垣田がフリックの後、中央に居たドゥシャンがシュートするもGK川田がセーブ。
連続のCKとなり、今度は左から岩尾が素直にクロス……と思いきやエリア外へのクロスを選択。
トラップした西谷和希がそのままシュートするも、GK川田がキャッチ。
余裕が生まれたのか変化の連続を見せ、しかもそれが悉くシュートに繋がりました。

しかし栃木も持ち味を出し、15分頃からペースを握り返します。
特に徳島側が、渡井や杉森がドリブルで中盤突破を試みても、3人がかりで囲まれて手詰まりで奪われるというシーンが何度も見られます。
この守備を攻撃に結び付けたい所でしたが、21分に右サイドから攻撃。
溝渕のクロスがGK上福元にパンチングで跳ね返された後も継続し、西谷優希(西谷和の双子の兄)がパスを散らしつつエリア手前右まで進み、ミドルシュートを放つもゴール右へ外れてしまいました。
尚も攻めかからんと、24分に3枚替えを敢行。
佐藤祥・山本・大島→禹相皓(ウサンホ)・有馬・矢野に交代します。(明本がFW→右サイドハーフ、森が右SH→左SH)

25分には矢野がロングボールを頭で受けて収めた所、徳島・ドゥシャンのチャージを受けて反則。
これで得たエリアやや手前からのFKを、禹が直接狙いますが壁に当たってモノに出来ず。
直後に徳島が逆に、GK川田のヘッドでのクリアを自陣で拾った杉森が、そのままロングシュートを狙います。
これが無人のゴールに向かいまさか、と思った刹那ボールはバーを叩いて惜しくもゴールならず。
29分には再び栃木のFK、今度は左サイド遠目から瀬川がクロスを入れ、こぼれた所を高杉がボレーシュートにいきましたが枠の外。

乱戦模様になって来た所で遅めの飲水タイムに入り、徳島は杉森→鈴木へと交代。
攻撃的な杉森を下げ、ボランチも出来る鈴木が入った事でゲームを落ち着かせにかかる徳島。
その後はCKを得ても、ショートコーナーを経て最後尾まで戻す(39分)シーンも見られるなど、無理な攻めは行わず。
突破力豊かな西谷和も、時には戻りながらのドリブルを見せる(32分)事でボールキープに貢献。

リズムを失いつつあった栃木、41分に西谷優→黒崎へと交代。
空いたボランチには明本が入ったものの、これでバランスが崩れてしまったか、以降は徳島のドリブル突破に難儀する事となります。

42分、ゴールキックを直接収めた西谷和が中央突破、エリア手前で栃木・田代のスライディングを受けて倒されます。(アドバンテージの後クロスがクリアされCKへ)
その後徳島のCKが2本続き、時間を使われてアディショナルタイムへ。
そこでも徳島・渡井にドリブルを敢行されると止められず、エリア手前の際どい所で黒崎がバックチャージして反則・警告。
完全に「PKじゃなくて良かった」という場面となって冷や汗。
結局以降はペースを掴めないまま試合終了と相成りました。

苦しい時間帯も多かった徳島ですが、上位の貫禄を見せ付けてた形。
後半、特に飲水タイム以降の試合運びは盤石で、最後はATまで取っておいた交代枠を使って無事に逃げ切り勝利。

上位3チームは長崎が敗れた事で混戦となり、北九州が念願の首位に立ったといえど、1試合で逆転の可能性がある状況に持ち込まれました。(勝ち点:北九州38・長崎37・徳島36)
秋が目前に迫ったといえど、まだ半分にも満たないイレギュラーなシーズン。
どんな結果を弾き出すでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第14節 湘南ベルマーレvsヴィッセル神戸

2020-09-09 17:08:47 | サッカー視聴記(2020年以前)

前年紙一重で残留を果たした湘南。
しかしことJ1においては、こうした瀬戸際のクラブは次のシーズンも低迷・J2降格への道を歩んでしまうのは良くある話です。(最近では磐田とか)
最も、降格が無いというのが今季の特殊なレギュレーションですが。

何せ12試合消化して勝ち点は僅か4であり、このままのペースだと二桁に乗るかどうか、という次元。
もっと言えば、前年にイレギュラーな監督交代が起こってから2勝しか挙げていない有様で、完全に前年の低迷の流れを引きずってしまっている現状です。
それでもスコア的には僅差での敗戦が多く、清水・仙台のような大量失点での大敗は意外と少ない。(前半だけで4失点した10節・横浜FC戦ぐらいか)
それが低迷ぶりを覆い隠しているという節がありますが、ピッチレベルで何が起こっているのかを観たいと思いました。

一方過密日程に苦しんでいる神戸。
他クラブでは思わぬ試合中止が見られている今季でも、それを被る事無く試合運営を行えているのは果たして良い事か悪い事か。(湘南は前節中止)
故障者も続出し、チームの象徴的存在といえるアンドレス・イニエスタは離脱中。
ただ、それを境に初瀬や小田・菊池といった若手の面々がスタメン起用される試合が増えているのが怪我の功名でしょうか。
この日も左ウイングバックに初瀬、FW(登録上3トップなのでそれに従う事にする)に小田を起用して臨みました。

キックオフとなり、立ち上がりは神戸が攻撃を仕掛けますが、そのジャブを凌いだ湘南が以降攻勢に。
前半9分にファーストシュートを放つ(中盤からのフリーキック、ロングボールのこぼれ球を岩崎ミドルシュート、枠外)と、13分に神戸ゴールを揺らします。
石原直樹が中央をドリブルし、そのままミドルシュートを放ち、GK前川にセーブされるも追加攻撃。
エリア内左にこぼれたボールをすかさず松田が中に入れ、岩崎が合わせてゴール、と思いきやオフサイド。
最初に詰めにいった反動で前に出てしまっていた岩崎、オフサイドポジションから戻り切れず、といった場面でした。

神戸もこの間に攻撃。
11分、右サイドで酒井が山口とワンツーで前進、中央に送り藤本のポストプレイから小田に渡る好機。
小田はエリア内右からシュートを放つも、惜しくもゴール左に外れてしまいました。
ともにチャンスを逃した序盤の戦い。

しかしその後は湘南はペースを失い、神戸が一方的に攻撃を仕掛けていきます。
イニエスタ不在でも、クオリティあるパス回しでポゼッションを高めていき、湘南は中々守備でリズムを掴めない展開に。

飲水タイムの後、28分は右サイドで形を作ったのち古橋がエリア手前でカットイン、そのままシュートを放ちますがゴール左に外れ。
以降もボール支配からの攻めを崩さず、41分には後方のパスワークからセルジ・サンペールがロングパスを通します。
その後クロス→クリアもセカンドボールを拾う事2度、渡部が切り込んだのち、戻しをサンペールがミドルシュート。
しかしGK谷にセーブされて実らず。

この日は初瀬がセットプレーのキッカーを担当した神戸。
前年福岡でその姿を観ただけに違和感はありませんでしたが、それから1年が経ち、J1の舞台でもキッカーを任されるようになった初瀬。
このまま主戦力に収まるのを願うばかりです。

一方押されっぱなしの湘南は、アディショナルタイムにようやくその状態から脱出。
敵陣で齊藤のボール奪取から、石原広教のミドルシュートが生まれるもGK前川がセーブ。
しかしこの一発で流れは変わり前半ラストのCK、キッカー松田のクロスをニアサイドで石原直がフリック、そして大野がヘディングシュート。
ボールは右ゴールポストを直撃し、惜しくもゴールならずと同時に前半終了の笛が鳴りました。

後半が始まり、ここでも立ち上がりは神戸が攻勢。
しかも今度はジャブでは無く、後半2分に酒井がシュート。(GK谷キャッチ)
その直後には藤本のエリア手前からのシュートがゴールポストを掠めるという具合に、湘南ゴールが脅かされていきました。
ここで目立ったのが最初の攻撃シーン、3センターバックの一角だったトーマス・フェルマーレンが、一列上がって攻撃参加を見せたのが始まりでした。
前半の神戸はCBのラインを崩す事無く、パス回しに邁進していましたが、ここに来てのこのシーンは「後半はもっと押し込んでやる」というメッセージの表われか。

湘南はこの神戸の圧力をいなしつつ、前半最後の良い流れを引き継げるかどうか。
そんな思いが、普段ポイントでしか演奏されない「ラピュタ」のチャント(主に後半の終盤に流れる)が、このタイミングでリモート応援で流れてきたのに繋がったのかは不明でしょうが、その直後にスコアが動く事に。(5分)
右CB・大岩が、自陣でボール奪取した後そのままドリブルで前進して好機。
そして石原直→松田→金子→石原広とスピーディーにボールが回り、石原広はエリア内左からダイレクトでクロスを上げ、これを頭で捉えたのは大岩。
自身が作ったチャンスをヘディングシュートで締めた大岩、結果はゴールというこれ以上ないものとなり、湘南が先制に成功します。

その後7分にも石原直がエリア手前からシュート(DFに当たりGK前川キャッチ)と、攻めの姿勢を崩さない湘南。
しかし今度はそれが拙かったか。
直後にGK前川のロングフィードが直接敵陣で古橋に収まり、エリア内からシュート(湘南・坂がブロック)。
これで一気に神戸サイドに針が振れたのか、直後(8分)の右サイドでのスローインからサンペール→古橋→酒井とパスが繋がり、酒井がカットインでエリア内に進入してシュート。
ライナーで巻くシュートを綺麗にサイドネットに突き刺し、素早く同点に追い付きました。

以降はスマートで優雅な神戸と、泥臭く粗い湘南という図式の内容に。
湘南は攻勢を掛ける神戸に果敢に立ち向かうものの、それがラフプレーに繋がってしまうのが非常にハラハラさせる要素となります。
14分には神戸・初瀬が湘南・岡本のスライディングを受け、倒れ込むシーンが。
しかし岡本が足を上げていたにも拘わらず、これで反則の笛は吹かれる事無く。(まあ先にタッチを割ったというジャッジかも知れませんが)
その後は神戸・酒井が湘南・石原直にチャージされると、両者一触即発の言い合いになるシーンも。

プレイ以外の要素でも非常に難しいゲームへと様相が変わる中、飲水タイムが明けた後は神戸がネジの巻き直しを図ります。
それは後半頭にチラリと見せたフェルマーレンの攻撃参加で、26分には流れの中での攻撃から山口がエリア内へロビングを上げた先には、いつの間にかフェルマーレンが居りヘディングシュートを放ちます。(ゴール上へ外れる)
28分にも、パスワークに加わったのち最前線へと上がる動きを見せたフェルマーレン。

そんなフェルマーレンの姿を見て神戸も落ち着きを取り戻したか、31分に絶好機。
敵陣で安井(サンペールと交代で出場・25分)のドリブルで中央突破、そしてエリア内左でラストパスを受けた小川(小田と交代で出場・25分)がシュートを放つもGK谷のセーブに阻まれます。
しかし直後のCKから湘南がカウンターを展開、これはシュートに結び付かず終わったものの、これで湘南もペースを幾ばくか取り戻し。
33分には左サイドを石原広・岩崎が突破し、石原広のクロスを石原直がボレーシュートするも神戸・フェルマーレンがブロックで防ぎます。

再び両チームが攻め合う展開となる中、湘南は松田が足を痛めて交代(平松が出場・22分)、石原広が足を攣らせて交代(田中聡が出場・43分)と被害が拡大。
終盤の決定機も、45分の湘南は古林(岡本と交代で出場・22分)の右サイドからの低いクロスに、岩崎がボレーシュートにいくもミートせず。
神戸はATに右サイドから酒井が低いクロス、小川が合わせにいくも撃てず、こぼれ球を古橋がシュートするも枠を捉えられず。
双方満身創痍ぶりが滲み出たようなシーンを作ってしまい、結局勝ち越しゴールは生まれず。
1-1で引き分けという結果に終わりました。

連敗は止まったものの、当然勝ち点を1積み上げただけでは状況は変わらず。
神戸のようなクオリティ重視のチームと相対した事で、湘南の現状が浮き彫りになった感がありました。
必死に喰らい付かないと試合にならず、その分ラフプレーや終盤の息切れも目立つ事となってしまう。
その結果善戦はするも、最後は負けてしまうの繰り返し。
この日は引き分けだったものの、神戸がベストメンバーで挑めていたら果たしてどうだったか……という懸念は拭えず。
そろそろ「湘南スタイル」に代わる、新しい要素が必要な時期なのかもしれません。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第17節 東京ヴェルディvs愛媛FC

2020-09-08 18:41:43 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回のヴェルディの記事はこちら(11節・福岡戦)
※前回の愛媛の記事はこちら(15節・水戸戦)

共にポゼッションスタイルを浸透させつつあるチーム同士の戦い。
試合前の想像としては、ボールの握り合いを主体にした、ノーガードの攻め合いか。
あるいは様子見パスの連続による決め手に欠く凡戦か。
しかし実際に行われた内容はそのどちらでもありませんでした。

ヴェルディは大ベテラン・大久保が復帰してきて、これがスタメン3試合目。
この大久保含め、過去3試合全てスタメンを張っている選手が8人と、この連戦ではやや固定化(前の5連戦もそんな節がありましたが)傾向に。
当然目指すサッカーの追求と、そのためのコンビネーションを深めるのが第一という思惑が感じ取れます。
大久保がセンターフォワードを務める、1節以来の布陣を敷いているだけに尚更でしょう。

試合が始まると、愛媛はいつものポゼッションスタイル……では無く、明らかにロングボールを多くしての攻撃。
対するヴェルディは普段通り……といきたかったのでしょうが、愛媛の守備に対してボールを運ぶのに難儀するシーンが続発します。

それもそのはずで、この日はこれまでとは一変した「相手に合わせた守備的なサッカー」を取り入れてきた愛媛。
しかもマンツーマンを軸に、しっかりとヴェルディ選手をチェックする戦略を採ってきました。
いつもの3-4-2-1のフォーメーションも、相手に合わせているためか、守備時には4バックのように見えなくも無い陣形に。
これに度肝を抜かされたのか、ヴェルディ側も序盤はパスを繋ぐ事が出来ず。

一応序盤は攻め合いの形になるも、ヴェルディの方は相手の愛媛のミスに付け込んでのものが多く、おまけにシュートは皆無と主体性は今一つ。
そんな流れに乗れないヴェルディの隙を突く愛媛。
前半17分、自陣でこぼれたボールを森谷が繋ぎ、清川が右サイド奥へロングパス。
これが走り込んだ西岡大志に渡り、彼の戻しを受けた森谷のクロスを、エリア内で丹羽がボレーシュート。
GKマテウスは一歩も動けずという、豪快なシュートがゴールに叩き込まれて愛媛が先制に成功します。
直後の18分にも、川村が敵陣でのボール奪取から丹羽がシュートを放ち(GKマテウスキャッチ)、流れは愛媛に傾いたかに見えました。

しかしここからヴェルディが反撃に出ます。
攻めの形を作れない中、序盤からロングパス・スルーパス主体への切り替えが見られていましたが、中盤に差し掛かり板に付いた模様。
23分、高橋の右サイドへのロングパスに小池が走り込み、そのままクロスが上がると大久保がヘディングシュート。(GK加藤セーブ)

期待を持たせて飲水タイムに突入しますが、明けた後は愛媛のマンマークに苦難するシーンが多く。
特にセンターフォワード(から若干下がり気味?)の大久保は、ボールを受けにいった所を潰される場面が目立ち(まあ当然の対応なのですが)、中々自分の色を発揮出来ず。
28分には井上の縦パスを受けた所を、愛媛・木暮に倒されボールロストするも反則は無し。
逆に31分は、自身が敵陣でボールをこぼし、拾おうとするも愛媛・西岡大暉ともつれ合って反則を取られてしまいます。
審判の笛も敵に回りつつある、という印象でした。

流れに乗れないヴェルディは39分。
ビルドアップする所に愛媛のプレスを受けるも、一旦GKマテウスまで戻したのち、マテウスの縦パスで一気に剥がす事に成功。
ここから森田→佐藤左へサイドチェンジ→井上中央へ→大久保エリア内へロングパス→小池折り返し、という攻撃を繰り出すもシュートには繋がらず。
しかしこれが契機となり、終盤はヴェルディペースに。
45分には藤田譲瑠チマのパスを井上がスルーし、走り込んだ大久保がシュート。(ブロック)
アディショナルタイムには敵陣での佐藤のカットから井上がミドルシュート(ブロック)と攻め立て、再び良い流れを持ちつつ前半終了を迎えます。

後半を迎えるに辺り両チームとも選手交代。
ヴェルディは森田→山下へ、愛媛は清川→山瀬へと代えてきました。
これでヴェルディは井上が中盤へとシフト……とは言っても、可変システムなうえ頻繁にポジションを動くので、ただ見ているだけでは解り辛くもありますが。

後半の序盤も攻守が入れ替わりつつの展開ですが、単調な攻撃に終始する愛媛を尻目に、ヴェルディが果敢に愛媛ゴールを脅かしていきます。
後半3分、交代で入った山下が敵陣で拾うと、ドリブルから佐藤とのワンツーで中央へと向かいそのままエリア手前からシュート(枠外)。
10分には平の縦パスから、山下が大久保とのパス交換でエリア内に入った後左へ展開し、福村がダイレクトで低いクロス。
ファーサイドで大久保が跳び込むも合わず、その奥で跳び込んでいた小池が合わせるも角度が無く枠外に。

愛媛は前半とは一変して守備で後手を踏み、相手を倒してしまう場面が続出しますが、この日はこれが悉くノーファールに。
逆に13分にヴェルディ・高橋が丹羽を後ろから倒して反則・警告を貰う(このジャッジ自体は妥当)など、ヴェルディサイドにフラストレーションが溜まりそうな内容となっていきます。
それでもペースを握り一方的な展開を描いていくヴェルディですが、以降飲水タイムまでは、コーナーキックからの平のヘディングシュート(ゴール右上へ外れる)ぐらい。
防戦一方となり運動量を補填したい愛媛は、11分に小暮→長沼。
そして24分には足を痛めた渡邊に代えて田中と、カードを切っていきます。

前節・町田戦は、ビルドアップでの決定的なミスにより試合を落とした(1-2)愛媛。
それに直接絡む事となった田中と、GK岡本をスタメンから外すという荒療治が敢行され、特に2年前から全試合出場を続けていた岡本の欠場は注目点の一つとなりました。

代わってGKを務めたのが加藤、これが初スタメンとなったものの、特に問題無くゴールを守ります。
足元のプレーも、ショートパスとロングキックを使い分けて巧みに危険を回避。
この日の「守備的に戦う」チームのモットーを体現する存在といえたでしょう。

それなりに巧くいったこの戦いぶりですが、これまでやって来た方向性とは真逆のスタイルなのは言うまでも無く。
今後はこの路線でいくとしても、相手に合わせたサッカーを続けていけば、主体性は当然薄れていく事となります。
かといって今までのサッカーでは成績が行き詰まっていたのも事実。
打開するには両者の中庸策が考えられる訳ですが、これも舵取りを間違えれば中途半端なものとなり、チームバランスを崩していく一因となってしまうでしょう。
これらの要素を考えつつ、どう折り合いをつけていくか。

愛媛が交代策を交えた事で、ヴェルディ一辺倒だった試合の流れも改善に向かいます。
それでも29分にヴェルディが決定機を迎え、GK加藤のパスをカットした小池が右サイドで切り込んで、エリア内右からマイナスのクロス。
これを井出(大久保と交代で出場・17分)が合わせたものの、シュートはゴールの僅か左へ逸れてしまいます。
ここに来てミスが生まれてしまいヒヤリとした愛媛、30分にはようやくシュートシーンが生まれたものの、長沼の遠目からのシュート(GKマテウスキャッチ)と可能性は薄く。

34分には両チームとも2枚替え。
ヴェルディは佐藤・小池→松橋・新井。
愛媛は川村・丹羽→横谷・有田へと交代。
これでヴェルディの方はCFに山下が入り、ウイングは右に新井・左に松橋という配置に。

この前後には攻撃機会を掴めずにいたヴェルディでしたが、38分にカウンターから好機。
チマのミドルパスを井上が受け、そのまま左ハーフレーンをドリブルで前進。
そしてエリア内へスルーパスを出し、走り込んだ松橋がシュートするもブロックに阻まれます。
しかしこれを切欠に、再びヴェルディのワンサイドな展開へ移行する事に。

40分には井上が敵陣でボールキープの後、エリア手前中央からミドルシュート。(GK加藤キャッチ)
同じく40分、井上のスルーパスをエリア内右で山下が受けて中央へ出し、新井がシュート。(ブロック)
42分は左サイドでパス回しの後中央へと戻され、チマ縦パス→井上ポストプレイ→井出と繋がった後井出がシュート(ブロック)と、ポゼッションも取り戻しての攻勢。
しかし割り切った愛媛の守備の前にゴールを奪えません。

愛媛サイドは、この時間は必死のクリアばかりが目立ち、攻撃どころかボールキープすらままならず。
それでもリードを保ったままATに突入します。
ようやく落ち着いたか、GK加藤のロングフィードの後敵陣で空中戦となり、田中の落としを受けた山瀬がスルーパス。
これを有田が受けてエリア内に進入するも、GKマテウスに抑えられて追加点はならず。
しかし一息付かせる攻撃を見せる事には成功しました。

その後もヴェルディは若狭のシュート(枠外)など攻め掛かるものの、最後まで得点が生まれる事は無く。
結局0-1のままタイムアップの笛が鳴り響きました。
結果的に愛媛の策が見事に奏功したゲームとなりました。

今後の方針に迷いを生む可能性も否定出来ませんが、逆に結果つまり勝ち点3がチームを成長させていくという側面もあるでしょう。
プロである以上内容よりも結果を選択するのは責められず。
果たしてこの日の割り切りは、以降も使われていくのでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第17節 アビスパ福岡vsレノファ山口FC

2020-09-07 18:41:17 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の福岡の記事はこちら(11節・ヴェルディ戦)
※前回の山口の記事はこちら(15節・金沢戦)

調子が全く上向かない、そんな状況を受けて前節・山形戦から3バックへとシフトした山口。
そしてその初戦はスコアレスドローで勝ち点1と、悪くない入りとなり今節も継続されました。

しかしこの3バック化の流れは完全に前年と同じなのが気掛かりな点。
前年も15節終了時点で勝ち点12と伸び悩み、翌節から3バックへと切り替えると好循環が生まれたシーズンとなりました。
それでも原動力となっていた瀬川(現栃木)の移籍で有耶無耶になり、再び4バックへと切り替えざるを得なくなり停滞したのですが……。

霜田正浩監督のコメントから察するに「守備の建て直し」を図っての方策で、確かに失点の多さも目立つチーム状態。
しかし、攻撃的なサッカーを目指している割には得点が少ない(16試合14得点)という点の方が、チームに迷いを齎しているのでは無いでしょうか。
そんな訳で今回の3バック化は「(前年の)夢をもう一度」という感じが拭えない、自分としてはそんな風に映っています。

展開力に欠けるヘニキと、能力は高いが新人故の経験不足が懸念の眞鍋をサポートするかの如く、センターバックの中央に入った楠本。
一方攻め手としてウイングバックには燻っていた田中パウロ淳一を再登用、さらに前節からリザーブに村田を置くなど、チーム力の総結集を図ろうとする意図が伺えます。

立ち上がりは、クロス数を重ねる山口と、シュート数を重ねる福岡のぶつかり合い。
しかしゴールへの近道はシュートなのは言うに及ばず。
遠野や石津・北島がエリア手前から積極的にシュートを放っていった福岡。
やはりフアンマ・デルガドという絶対的なポストプレイヤーが居る故、彼に注意を割かなければならない分他選手が撃ちやすくなる、解り易い攻撃の図を描きます。

しかし11分、一瞬の隙で山口が絶好機を得ます。
GKセランテスの、三國ケネディエブスへのパスを小松がカットに入ると、三國の伸ばした足が小松を倒してしまい審判の笛が。
エリア内であり当然PKとなり、急転直下で山口のチャンス。
初シュートがPKというラッキーな形となりましたが、キッカー・小松の右へのグラウンダーのシュートは読み切ったGKセランテスがキャッチ。
逆に初シュート故の硬さが感じられたキックとなってしまいました。

こうなると福岡の試合展開となり、以降もフアンマへのロングボールを軸にしつつの長短織り交ぜた攻撃で山口を押し込んでいきます。
昇格候補とされながらここまで17位と伸び悩んでいる福岡ですが、この日からボランチには待望の前が復帰。
彼の離脱を境に暗転したというチーム成績だったので、この日の福岡のサッカーの安定感は見違えるように映りました。

そして21分、左サイドでの前のカットから攻撃する福岡。
石津から北島経由で右サイドへ展開し、湯澤の手前からのクロスがニアサイドに入ると、遠野が頭から跳び込んでヘディングシュート。
ダイビングヘッドの形となると共に、ボールも豪快にゴールへと飛び込まれる見事な先制点でした。

ビハインドとなった山口、飲水タイム後に反撃。
29分に決定機を掴み、高の縦パスが入ると浮田ポストプレイ→池上→浮田→パウロと繋がり、左サイドからパウロのクロス。
クリアされるも小さく、エリア内右で田中陸が拾うと、そのまま奥に切り込んでシュート。
GKセランテスを抜いたものの、ゴール手前で輪湖がブロックしてゴールはならず。
これまでは縦パスの頻度が足りず、サイド一辺倒になりがちな攻撃で殆どチャンスらしいチャンスは生まれませんでしたが、ここは巧く縦パス→ポストプレイを交えた攻めで惜しいシーンを作りました。

その後30分頃から、山口はWB同士でポジション入れ替え。(パウロが右・田中陸が左にシフト)
しかしこの策はあまり有効とはいえず、以降一進一退の展開となりペースを掴めない山口。
前半終わり際には元のパウロ左・田中陸右へと戻っていました。

終盤は逆に福岡が好機の連続で、41分には山口のクリアミスからフアンマが前線で収め、彼のヒールパスを受けた鈴木がミドルシュート。(ゴール左へ逸れる)
アディショナルタイムには右サイドライン際でフアンマが残したボールを遠野が拾ってチャンス、右に張り出した石津が奥でゆっくりとカットインしたのちグラウンダーでクロス。
ニアサイドで遠野が合わせましたが、GK吉満がキャッチ。
追加点はなりませんでしたが、福岡が調子を維持したままで前半終了。

後半開始の前に、福岡は北島→増山へと交代。
ここまで本調子とは言えない成績を描いてきた福岡ですが、主力選手の離脱による怪我の功名という要素ながら、手駒は揃ってきたようで。
これ以降も交代策でリフレッシュを図れたのが、この日は好結果に繋がりました。

後半の入りは、ビハインドを跳ね返したい山口が先にシュート。
2分、ここも左サイドからのパウロのクロスが上がり、収めた小松から浮田を経由して戻され高井がエリア手前からシュート。
しかしゴール右へと外れ実らず。

9分という早い段階で山口ベンチは動き、この日はベンチに置き切り札としていたイウリを投入。(小松と交代)
しかしその思いとは裏腹に、いきなり(11分)福岡・篠原との交錯の後、ヒートアップして思わず篠原の頬を叩いて警告を受けてしまいます。(まあよく警告で済んだというべき場面でしたが)
それでも18分、眞鍋の縦パスをイウリがポストプレイで好機に繋げ、その後高の縦パスが高井に渡ります。
しかし高井から受けた浮田がシュートを放つもオフサイドの判定となり、攻め上がるもののリズムに乗れない山口。

直後(18~19分)に両ベンチが動きます。
福岡は石津→木戸に交代。
山口はパウロ・眞鍋→安在・河野と2枚替え、布陣も従来の4-2-3-1へとシフトする勝負手を打ってきました。

そして女神が微笑んだのは、動きが少なかった福岡の方でした。
直後の20分、中盤で受けた遠野がドリブルで前進し、エリア内まで持ち込んでキープ。
溜を作ったのち左へ送り、輪湖が低いクロスを入れ、フアンマが合わせにいったボールがこぼれると木戸の前方へ。
すかさず反応した木戸の放ったシュートがネットを揺らし、貴重な追加点。
木戸にとってはこの日のファーストタッチがゴールとなり、これが今季初ゴール。

采配的中という形となった福岡、以降は山口の攻撃を受けつつもカウンターを狙うスタイルを色濃くします。
焦る山口を余所に、25分にはコーナーキックから、キッカー鈴木のクロスが中央に入るとフアンマが合わせにいきます。
しかし再びこぼれ、三國がシュート体勢に入りましたが、空振りとなってしまい好機を生かせず。
またフアンマにとっては、自身が絡みチャンスを生み出し続けながらも、自身が得点出来ない事もあり若干フラストレーションを貯めているように映りました。(特に2点目のシーン)
このプレーの直前に、復帰の前はお役御免となり松本と交代。

山口は既に21分に、ベンチに置いていた村田を投入。(高井と交代)
これが実に4節(磐田戦)以来の出場となった村田、以降は彼が入った右サイド中心に攻撃を展開。
柏からレンタルという身分の村田、前年は福岡に在籍と勝手知ったるグラウンドで本来の力を……という訳では無いでしょうが、久々の出場で躍動を見せます。
これでクロスはどんどん上がるようになった山口ですが、29分にはその村田のクロスをファーサイドで浮田がヘディングシュートするも、あろう事か河野に当たってしまうなどやはり流れの悪さが目立つ事に。

そうこうしている内に、36分に福岡は試合を閉めに掛かります。
湯澤と遠野に代えて、エミル・サロモンソンと上島を投入。
FWを削ってDFを増やす、3バック(実質5バック)へとシフトという逃げ切り体制へ。

これにより山口はボール支配こそすれど、堅固な福岡守備陣を崩す可能性は限りなく低くなり。
以降全くシュートに持ち込めずに時間を浪費するしか無くなります。
40分に福岡・フアンマがイライラが募ったのか、池上に対しアフターチャージで警告を受ける(これで次節出場停止に)など、追い風にすべき要素もありましたが結局モノに出来ず。

そして攻め疲れからか、ATは逆に福岡に好機が。
田中陸のハンドで左サイドからのFKを得、キッカー鈴木のファーサイドへのクロスを三國が落とし、こぼれたボールをフアンマがバイシクルに。
しかしミート出来ず、さらにこぼれたボールを三國がトラップ、シュートに持ち込みますがブロックされゴールならず。
チーム不調の最中にはFW起用もされた三國ですが、この日は最後までCBで出場。(3バックになってからは右CB)
やはりあのジョーカー的起用は苦肉の策だった……と結論を出すにはまだ早いですが、自身の与PKもあった中とりあえず無失点で終われ、安堵感もあった事でしょう。

そのまま2-0で試合終了を迎え、浮上の切欠となる勝ち点3を得たのは福岡、というゲームになりました。
キーマンの復帰を勝利に繋げる事に成功し、後れを挽回しようという体制に入れたでしょうか。

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