※前回の水戸の記事はこちら(18節・磐田戦)
※前回の群馬の記事はこちら(19節・ヴェルディ戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(2節)
磐田戦のスコアレスドロー以降、沖縄や関門海峡に遠征と忙しい日程となった水戸。
そのおかげかスコアも出入りが激しく、3戦で9得点5失点(2勝1敗)と殴り合いのような感じに。
そんな不安定な状況を受けてか、大ベテランのGK・本間が久々のスタメンを張り、これが実に2018年の6月2日(岐阜戦)以来の出場。
今季は村上の移籍でGKの層が薄くなり、松井のコンディション如何では出番がありそうな状況だっただけに、本人の準備も万全のようでした。
前回対戦では中断明けの2節だった事もあり、「出たとこ勝負」感が露骨に現れ、J2慣れしていなかった群馬はあえなく完敗。(1-3)
一巡したのちの後半戦の始まりという、再びの節目に組まれたこのカード。
群馬にとっては、昔日からどれだけチームとして成長を果たせたかが試される事でしょう。
攻撃に関しては上位クラブに匹敵する結果を出している水戸、この日も序盤から果敢にゴールを狙います。
前半3分、右サイドからのスローインで形を作り、松崎が果敢にサイドからシュートを放つ(右サイドネット)という具合にシュートへの意識は一級品。
6分には河野の裏へのロングパスを村田が抜け出して受け、エリア内に進入してシュートしますが、GK松原のセーブに阻まれます。
いきなり相手に主導権を譲る格好となった群馬ですが、その直後(6分)に宮坂がミドルシュートを放って(枠外)からは、ペースを握り返します。
2センターバックとドイスボランチでしっかりとビルドアップしてからの攻撃、前回対戦時と比べても大分洗練されてきたようで、攻撃権を支配していきます。
そして前線での守備が嵌ってのショートカウンターでも好機を作り、水戸ゴールを脅かし。
しかし立ちはだかったのがGK本間で、10分、深めの位置でボールを奪った林のエリア手前からのシュートをセーブ。
14分には右サイドで攻撃を作る群馬、岩上のスルーパスに走り込んだ飯野からグラウンダーでクロスが入り、白石が走り込むも寸前でボールを抑える本間。
その後白石と激突し(キーパーチャージ)苦悶の表情を見せたものの、気丈に振る舞います。
群馬の攻撃を凌いだ水戸、15分過ぎから再びペースを奪還、ボールを繋いで攻撃。
こちらは2CBに、ボランチ1人が降りる「丁の字型」でのビルドアップを敢行。
群馬のプレスに対し最終ラインを多めにし、木村・松崎が降りるという対応で前進を図ります。
20分、安藤が右にパスを振り、受けた岸田がスルーパス。
村田はオフサイドポジションに居たためボールを流し、それにパスを出した岸田が走り込んで奥で拾うという珍妙な絵図で好機となりクロスが上がります。
中央でアレフ・ピットブルが跳ぶもその上を越え、ファーサイドで木村のボレーシュートが生まれましたが、これもサイドネット。
以降は再び群馬が攻撃を仕掛け、24分にはコーナーキックで、大前のショートコーナーから宮坂がミドルシュートを狙います(GK本間セーブ)。
主導権が激しく入れ替わる、という展開となった所で飲水タイムへ。
明けて最初のチャンスは水戸が掴み、29分に住吉ジェラニレショーン縦パス→安東→木村と繋がり、木村が再び縦パス。
これが群馬DFに当たってエリア内に入り、松崎が抜け出して受ける絶好機となりましたが、シュートはゴール右に外れてしまい先制ならず。
これを逃した影響か、以降は群馬に攻撃権が移る事に。
水戸はビルドアップが思うようにいかなくなり、相手に決定的なシュートこそ許さなかったものの、押し込まれるシーンの連続。
攻撃権を得た群馬、得意のサイド攻撃を軸にしつつ、小島のロングスローも交えてエリア内へチャンスボールを送ります。
しかし水戸の守備も堅く、決め手を欠いたまま時間を浪費。
最終盤には再度水戸にペースが移り、44分に木村がシュート(枠外)、アディショナルタイムには岸田がミドルシュート(ブロック)と攻め立てますがゴールは生まれず。
前回対戦とは打って変わった好ゲームながら、スコアレスで折り返します。
後半開始の前に、両チームともに選手交代。
群馬は白石→進へ、水戸は村田・松崎→奥田・森へと交代。
一気に2枚替えと動いてきた水戸。
前半は村田・松崎の2人が、右サイドでポジションを入れ替えつつ(登録上は村田FW・松崎右サイドハーフ)攻撃の形を作る場面が目立ちましたが、時間が経つにつれ対応されてペースを失っていたとの判断でしょうか。
それとも過密日程を考慮しての、45分単位での切り替えだったのか。
そして後半はビルドアップの方法も変えてきた水戸。
群馬と同様に、2CB+ドイスボランチでのボックス型を主として攻撃を組み立てにいきました。
群馬のプレスに難儀する場面が多かったですが、群馬の2トップがベテラン(大前・林)というのを考慮し、後半プレスが緩くなるのを読んだのでしょうか。
立ち上がりは両者激しくチャージする場面が目立ち反則が続出、その影響で中々攻撃の流れが生まれません。
後半4分、最初に好機を作ったのは群馬で、大前縦パス→林ポストプレイ→田中エリアライン際で切り返しからシュート。
ブロックされるも田中が拾い直して戻し、宮坂がミドルシュートを狙いましたがGK本間がキャッチ。
しかし6分、水戸がボールを握って長い攻撃を展開。
ショートパスの連続で両サイドを揺さぶったのち、最終ラインに戻されてから左での攻撃を選択。
河野の中央へ縦パスをピットブルが受け、またも左へ展開して森が奥へ進入、群馬・飯野との対峙を切り返しの連続で交わしてクロス。
この低いボールに中央でピットブルが頭で跳び込み、ヘディングシュートを炸裂させてゴール。
最後列の枚数を削った効果か、巧みにボールを回しつつ得たチャンスを見事に得点に繋げました。
反撃に出たい群馬、前半鳴りを潜めていた大前にチャンスボールが回ります。
8分、左サイドで小島が進・林とのパス交換で前進、エリア内左奥からマイナスのクロス。
入った先に大前が合わせましたが、シュートは浮いてしまい枠外に。
19分にも、進の左サイドからのグラウンダーのクロスをニアサイドで合わせた大前、しかしここもゴール左に外れてしまいモノに出来ず。
この間にも積極的に攻勢に出た群馬、同点にしたい時間帯でしたがそれは叶わず。
逆に22分、水戸が右サイドのスローイン、木村が素早いスローで奥の岸田へと渡ってグラウンダーでクロス。
中でピットブルがフリーで合わせてシュート、GK松原のセーブも及ばずゴールイン。
群馬にとって一瞬の隙を突かれた格好で、相手の速い動きに全く対応出来ずという失点となってしまいました。
この直後に飲水タイムへ。
2点差となりとにかく攻めるしか無くなった群馬。
飲水タイム明けこそペースを握ったものの、直ぐに息切れ。
水戸はボールキープを重視し、マイボールになると無理に攻め上がらないという場面も目立ち始めます。
手詰まりになりつつあった群馬、30分に飯野→高瀬へと交代。(小島が左サイドバック→右SBへとシフトし、左SBへ入る)
軸としたいサイド攻撃に運動量の補填を図ります。
その後は田中が森のユニフォームを引っ張って反則・警告を貰ったり、ピットブルが足を攣らせて退いたり(深堀と交代・32分)と、中々リズムを掴み辛い展開に。
しかし35分、交代が奏功した形で群馬が1点を挙げます。
岩上が左へとロングパスを出すと、受けた高瀬が手前からクロス。
これが山なりのボールで中央の青木(林と交代で出場・20分)の足にピタリと合い、ゴールに入れるのみとなった青木のシュートで得点。
ついに1点を返した群馬。
尚もサイドチェンジを駆使しつつ、水戸を揺さぶって攻めていく群馬。
41分には渡辺・宮坂→舩津・磐瀬へと2枚替えを敢行し、後方の運動量を高めに掛かるベンチワークを見せます。
全軍前掛かりに、と言わんばかりの姿勢で圧力を強める群馬。
しかし最後はそれが命取りとなったか。
44分、CKからの攻撃が途切れ、バックパスをエリア外で受け取ったGK松原。
前方にキックしたものの水戸・奥田にブロックされ奪われてしまうと、そのままガラ空きのゴールにシュートを許してしまい、無情にもゴールイン。
再び2点差となり、これで勝負が決してしまいました。
その後は群馬にシュートが生まれる事は無く。
逆に水戸は、新戦力の鈴木(FC東京から育成型レンタル)を交代で起用・試運転(山田と交代・45分)する余裕を見せるなど無事に逃げ切り。
前回とは打って変わっての好試合ながら、同じスコアで勝利する事に成功しました。
内容的には前回からの成長は十分感じられた群馬ですが、これまでの他クラブとの戦いと同様、「内容は悪くないが勝ち点には届かず」という結果に終わりました。
成績的にも敗戦が込んでおり、引き分けが僅か1という数字は見た目上良くない。
負け試合を引き分けに出来る、内容・形の良し悪し以上の、後一歩を埋める粘り強さが求められる時かもしれません。