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DAZN観戦 2020年J2リーグ第15節 ヴァンフォーレ甲府vs栃木SC

2020-09-02 17:10:06 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(12節・徳島戦)
※前回の栃木の記事はこちら(10節・山口戦)

豪雨の影響で、J3・13節では2試合が中止となったこの週末。
こと甲府でも嵐が巻き起こっていました。
但しそれは、「ストーミング」スタイルを貫く栃木のサッカーによる人為的なものであり、当然天候には何の影響も無く。

前節・山形戦は9試合ぶりの敗戦(1-3)という事で、甲府は1週間空いたにも拘らずスタメンを大きく入れ換え。
5連戦の結果を受けて序列が入れ替わったのか、1・3・5戦目(2分1敗)でスタメンを張っていたメンバーはGK岡西・今津・新井・内田の4名のみで、ディフェンス陣が中心。
反対に勝利した2・4戦目でのメンバーを軸に、中盤より前のスタメンを組んできました。
結果を出した選手達を昇格させる判り易い成果主義の下、モチベーションをチーム力に変えようという舵取りを見せた伊藤彰監督。

しかしいざ試合が始まると、栃木のJリーグでは中々レアなスタイルのサッカーに呑まれてしまいます。
栃木のミドルパス・ロングパスをどんどん敵陣奥に放り込み、そこからセカンドボールを拾う、ないしはプレスを掛けて高い位置で奪いにかかるサッカーに大苦戦。
攻撃機会を重ねていく栃木に成す術無く、前半15分までの時間を圧倒されてしまう甲府。

象徴的なのが15分の栃木、GK岡西のキックを明本がブロックし、こぼれ球を森が拾って絶好の位置から攻撃開始。
そのまま森はエリア内に進入し、甲府・今津にこぼされるものの西谷がすかさずクロスを上げ、これをエスクデロ競飛王がヘディングシュートに持っていきました。(GK岡西キャッチ)
ストーミングの威力を存分に見せ付けた栃木の立ち上がり。

立て直したい甲府、18~19分にポゼッションでの攻めを展開。
まずは左サイドを使って泉澤が仕掛けるも戻され、その後最終ラインから右に展開し、こちらサイドから攻めると見せかけて今津がサイドチェンジ。
しかし再びボールは最終ラインに戻され、今津の右への長いパスを小林が受け、今度こそ右サイドで攻撃を仕掛け山田の縦パスを泉澤がポストプレイで再び小林へ。
と思いきや、小林の戻しを受けた今津のサイドチェンジでまたも左に移り、そして左に移動してきて受けた泉澤が今度は右へサイドチェンジ……という具合に忙しく移動。(最後は右サイドで小林が奪われて終了)
ボールを回しつつ隙を伺う攻撃を見せ、とりあえずは栃木からペースを剥がす事には成功しました。
しかし21分、コーナーキックからのこぼれ球を小林がボレーシュートにいく好機が生まれかけましたが、このシュートはミスキックになりスカッと終われず。

その後飲水タイムを挟み、小競り合いののち先にシュートを放ったのは栃木。
28分、センターバック・田代の出足の良いパスカットからボールが繋がり、森がエリア内左に持ち込んでシュート。(ブロック)
再び栃木のペースか、と思った後の30分、甲府は中塩の縦パスから好機。
ラファエルに入るもこぼれ球となり、中村が反応して右へ繋ぎ、受けた太田がドリブルでエリア内に入ってシュート。(GK川田セーブ)

両者シュートシーンが生まれた後、一進一退の様相となる前半の終盤。
しかし甲府が栃木の堅い守りを崩せずにシュートまで行けないという内容に終わる一方、栃木は何度も甲府ゴールを脅かしていきます。
45分には決定的なチャンス、明本のディフェンスからボールを繋ぎ、その明本からのパスがエリア内左へ。
これを森が折り返すと、中央でエスクデロがダイレクトでシュートを放ちますが、GK岡西のナイスセーブに阻まれて先制ならず。

0-0で前半を終えたものの、自分達のサッカーを存分に発揮した事で自身に満ち溢れた様相に見えた栃木。
それは見事に後半に引き継がれる事となります。
いきなりGK川田がキックミスを披露してしまいどうかと思わされた入りでしたが、その後は甲府を押し込んでいき再び自分達のペースへ。
コーナーキックも2本奪い、そのCKでは前半から一貫して、ショートコーナーをエリア内へ→受け手がキッカーに返す→クロスという形を採っていた栃木。
変化を加える事の重要さを、この試合で学んだのでしょうか。

そんな地道な努力が報われた瞬間は6分でした。
CKがクリアされた後、佐藤の右サイドへのロングパス、一旦跳ね返されるも森が拾って攻撃続行。
右サイドでのパスワークからエスクデロが身体を張ってキープしたのち奥へと送り、走り込んだ溝渕のクロスが中央へ上がると、頭で合わせたのは西谷。
後方から走り込んでのヘディングシュートに甲府ディフェンスは成す術無く、ゴール右へと突き刺さる先制弾となりました。

先制に成功した栃木ですが、9分にアクシデントが。
エスクデロが足を痛めて続行不可能となり、すぐさま矢野と交代。
同時に甲府サイドはラファエル・泉澤→金園・宮崎と2枚替えを敢行し、同点への士気を高めんとします。

しかし前半(シュートは1本のみ)同様、ボールは支配するもののシュートにいけない攻撃が続きます。
3-4-2-1のフォーメーションから、新井が一列前に上がる4バックへと変形してのビルドアップを試みるものの、どうしても栃木の守備を崩せず。
ようやくCKからの二次攻撃で、2本目のシュート(内田の右サイド遠目からのシュート、枠外)を放ったのは22分の事でした。
飲水タイムを挟み、27分に今度は小林がロングシュート。(枠外)
放ってはみたものの、遠目から無理矢理という感が拭えないシーンしか作れず。

33分にようやく、金園がエリア内でシュートを放つ(ブロック)場面を作った甲府。
しかし依然としてエンジンが掛からず、その後はロングボールの蹴り合いに陥ってしまう(35~39分辺り)など、完全に栃木のサッカーに付き合う形になってしまいます。
らちが明かなくなった甲府、40分過ぎから今津をFWに上げ、パワープレイでなりふり構わずという体制へ。
それでも有効打にはならず、時間を浪費していくだけの展開を変える事は出来ません。
逆に焦りから、金園や新井が警告を受けるシーンで悪目立ちしてしまいます。(金園のは異議だっただけに特に)

かくしてストームを起こしてリードを奪った後に、悠々と逃げ切り体制に入る、という自分達のペースに巻き込む事に成功した栃木。
まさに嵐が過ぎ去った後のようであり、こうして今季は「ウノゼロ」の勝利をもぎ取り続けてきたのでしょう。
得点(9)・失点(10)ともにリーグ最少という両極端にも程がある成績を残している現状、その特殊性は飛び抜けています。

常時ハードワークを強いられるサッカーで、かつ夏場で過密日程と、その網が緩まる要素がてんこ盛りな環境。
それにも拘らず、この日も終盤になっても堅守は維持され、集中力が切れかかる状況になったのは相手の方でした。
前年は最終節まで残留争いを強いられてきたチームが、オフを挟んで一体どれだけ鍛え上げてきたのか。

反面、この日は交代枠を3枚しか使わず。
自身の表われなのか、手駒が少ない故なのかは傍らからでは判別出来ません。
しかし中断期間中に大黒が契約解除で退団(今季選手登録はされていなかった)した辺り、この特異なサッカーへ適合する者は限られてきそうです。
そうだとすれば、もっとシーズンが進んだ際に弱点が露呈してしまいそうですが、ここまで巧く勝ち点を稼いでいるのは幸いでしょう。(まあ今年は降格が無いのですが)

アディショナルタイムに入り、定番化している柳の投入(明本と交代)による5バック化を敢行する栃木。
逃げ切り体制を崩さず、そのまま無事に試合終了の笛を聴く事となりました。

得点数が示す通り攻撃力にはまだまだ課題が残りますが、この日はシュート数で甲府を圧倒(14対5)する内容と、もっと点を獲れる下地はありそうです。
「ストーミング」の名の通りに攻撃力を発揮するにはまだ時間が要りそうですが、逆にそうなる事で攻守のバランスが崩れてしまう懸念もあり。
チーム成績が良好(この日で7位にアップ)な今、現状を維持しつつ様子を見るのが最適と言えるかもしれません。

コメント
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