<鳥栖スタメン> 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK 朴一圭
RCB 島川 CCB エドゥアルド LCB 大畑
RWB 飯野 DH 松岡 LWB 中野嘉大
IH 樋口 IH 仙頭
FW 小屋松 FW 酒井
<C大阪スタメン> 4-4-2
GK キムジンヒョン
RSB 松田陸 CB チアゴ CB 西尾 LSB 丸橋
RSH 坂元 DH 奥埜 DH 原川 LSH 清武
FW 大久保 FW 加藤
ACLから帰ってきたクラブは、中断期間も休む暇は少なく。
それに付き合う形で残りのクラブの一部も試合を行わざるを得ないという、変則的な真夏の季節。
ACLでグループJを戦ってきたセレッソは、無敗(4勝2分)という見事な成績で無事にノックアウトステージに進出。
一方リーグ戦では、そのACLを挟んで8戦未勝利、最後の勝利が4月18日(10節・浦和戦、1-0)という遠い出来事となりつつあります。
過密日程でメンバーを入れ替えながら戦い、為田・鳥海・喜田・山田といった面々の起用で層は厚くなったようですが、リーグ戦に戻るとそれは終焉を告げ。
再びレヴィー・クルピ監督の十八番であるスタメン固定起用(20→21節の為田→加藤への入れ替えを除く)が幅を利かせ、2戦連続引き分けを経て迎えた中断前最後の試合。
前節・FC東京戦は3-3と、守備が崩壊気味なセレッソはこの日も開始時から不安定ぶりを露呈。
鳥栖の最初の攻撃、エドゥアルドのクリア気味のロングパスを右サイドで小屋松が収め、中へ流れる姿勢から中央へとスルーパス。
酒井がこれを受けてエリア内に進入、ゴール右へシュートを放つと早くもセレッソゴールが揺れる事に。
開始僅か1分での先制ゴールとなりました。
以降も鳥栖が組織力豊かな攻撃を見せ付ける展開。
中2日のセレッソに対し、エネルギッシュに攻め続けてゴールを脅かし。
鳥栖は監督の金明輝(キンミョンヒ)氏が、練習中の行き過ぎた指導によりベンチ入り資格停止というイレギュラーな事態を強いられており、代行的に指揮を執っているのはヘッドコーチの片渕浩一郎氏。
これが2試合目との事で、前節・名古屋戦ではそれを物ともしない快勝(3-1)を果たし、この日も上昇機運そのままの立ち上がりを見せていました。流石は新潟で3度監督代行を務めた男
そして8分、最終ラインからボランチ(厳密にはボランチの位置へ降りて来る仙頭)経由で左へと展開、スルーパスを受けた中野嘉からグラウンダーでクロス。
クリアされるも大畑が拾い、エリア内左へ切り込んでからシュートとも思われる軌道でファーサイドへ送ると、抜け出した小屋松が合わせシュート。
セレッソサイドはシュートと見誤ったかのように足が止まり、綺麗にゴールネットに突き刺した小屋松。
早くも2点リードを奪い、試合を有利に進めます。
その後は早めにやり返したいセレッソが、鳥栖のビルドアップに対してハイプレスを掛けるという攻防に。
12分にGK朴にまで詰めていった加藤、朴のキックミスを誘ってコーナーキックを奪います。(そのCKで西尾がヘディングシュートもGK朴キャッチ)
対する鳥栖は14分、最終ライン~1列前で長めのパスを多用してサイドを振っての攻撃から、左サイドで中野嘉と仙頭が長いパス交換。
そこから受けた小屋松が樋口とのワンツーでエリア内左を急襲、そのままシュートを放つもブロックされCKに。(こちらもCKからエドゥアルドがヘディングシュート・枠外)
そんな勝負を経て迎えた18分、相手の攻撃を切って最終ラインから攻撃開始しようとする鳥栖に対し、セレッソは右サイドで持つ大畑に対し坂元がプレッシング。
そして大畑の蹴り出しをブロックすると、ボールはエリア内にこぼれて加藤が拾う大チャンスへと一転。
躊躇わずにシュートを放った加藤、ブロックに当たりコースが変わったのも幸いしゴールイン。
ややラッキーではありましたが、早い段階で1点を返したセレッソ。
その後も敵陣深めでボール奪取するシーンを続けたのち、前半の飲水タイムが挟まれます。(25分)
プレスに難儀していた鳥栖ですが、ブレイクを挟んだ事で微調整を実行し、再びペースを掴み。
仙頭がボランチの位置に降りて来て2-2の形を採る基本形から、さらに仙頭が下がり気味になる事により、疑似的な後ろ3枚へとシフト。
これで再び最終ラインから組み立てる攻撃が冴え渡り、セレッソサイドは容易にプレッシングにいけなくなりました。
センターバックのエドゥアルドを起点にした、ビルドアップからの攻撃を悉く好機に繋げていく鳥栖。
それをセレッソが何とか凌ぐというシーンの連続で、一方的な展開となって終盤に突入。
42分には一転して、飯野が右サイド手前からクロスを入れるという変化を付け、ニアサイドで酒井が合わせボレーシュートを放つもGKキムジンヒョンがセーブ。
決壊は近そうな予感を見せたのち、迎えたアディショナルタイム。
セレッソの中途半端なパス出しからエドゥアルドがパスカットして攻守交替、樋口が右ハーフレーンをドリブルで疾走。
そしてそのままミドルシュートを放つと、ライナーの軌道で左サイドネットへと突き刺さり。
組織で相手守備を振り回したのち、最後に決めたのは個人技といった得点で鳥栖の時間帯は締めくくられました。
再び2点差となり前半を終え、ハーフタイムにセレッソは選手交代。
大久保→高木へと交代し、清武をトップ下とした4-2-3-1のフォーメーションへとシフトします。(高木が左サイドハーフに入る)
ACLでは4-2-3-1が基本形であり、その形を踏襲して後半に臨みました。
その立ち上がり、狙いが的中した事を証明するかのように攻め上がるセレッソ。
後半1分の最初の攻撃では、左サイドでのパスワークに清武が絡みつつ、ワンツーで前進してエリア内に進入。
そしてそのままシュートを放つ(ゴール右へ外れる)という具合に、トップ下に移った清武を中心とした攻撃を展開。
しかしそれが剥がされると脆いのは、過密日程故の苦しさか。
8分に鳥栖が右サイドから樋口→飯野と立て続けのドリブル突破の攻撃、カットインでエリア内右へと進入した飯野がそのまま切り込み、角度の無い所からシュート。(右サイドネット)
セレッソの流れは以降切れてしまい、鳥栖が左CKを得たのが11分。
キッカー仙頭の中央へのクロス、跳んだ酒井を越えた奥でエドゥアルドが収め、そのままシュートを放ち。
ディフェンスに当たるもゴールネットに突き刺さり大きな追加点、と鳥栖サイドがひとしきり喜びの感情を表す中、主審はVAR確認へ。
そしてOFRへと移行したのち、クロスを収めたエドゥアルドの腕にボールが当たっていたとされ、ハンドの反則でノーゴール。
既にキックオフの体制へと戻っていたボールは、セレッソエリア内へと戻される事となり鳥栖側はぬか喜びに。
一方命拾いの形となったセレッソ、その後はGKキムジンヒョンからのショートパスによるビルドアップを多用。
何とか同点・逆転への糸口を探るような攻撃を見せますが、以降も鳥栖の攻撃の脅威にさらされます。
19分、酒井のパスがズレたのち最終ラインから作り直し、GK朴から縦パス攻勢。
そして中野嘉からのエリア内へのスルーパスが小屋松に渡り、シュートを放つもGKキムジンヒョンが身体でセーブ。
直後に中野嘉がセレッソ・松田陸に倒され(松田陸に警告)てフリーキックを得ると、左サイドからキッカー仙頭がクロス。
これが合わず、再びファーサイドで拾ったエドゥアルドがバックパスを送ると、島川のシュートがゴールを襲うもライン手前でセレッソ・チアゴがブロックで防ぎ。
間一髪の所での凌ぎを強いられます。
しかし21分、相手クリアを拾おうとした西尾が鳥栖・酒井に倒されて反則・FKと、今度はセレッソに試合を動かすチャンスが。(蹴る前に鳥栖は小屋松→福井に交代)
中央・エリアからやや手前という絶好の位置で、キッカー原川は直接シュート、これがゴールを襲うもバーを直撃して跳ね返り。
尚もエリア内中央で拾った高木、左へ流れてシュートを放ちますが、ライン寸前で鳥栖・仙頭がブロック。
今度は間一髪で防いだのは鳥栖、そう思った刹那、まだセレッソの攻撃は継続し左サイドへ流れたボールを拾った清武がクロス。
ファーサイドに上がり、跳んで抑えたGK朴が着地の際にボールをこぼし、すかさず抑えにかかるも坂元が拾い。
そしてこぼれた所を加藤が拾いシュート、3度目の正直でゴール上部に突き刺し。
GK朴への坂元の反則の疑いで、またもVARチェックが入ったものの、今度はゴールとなりセレッソ反撃の狼煙の1点が入ります。
再び仕切り直しの如く、主体的な攻撃を行う鳥栖。
29分にロングボールを福井が収め、相手ディフェンスに入られるも拾った中野嘉からエリア内右へスルーパスが送られ、走り込んだ酒井が中央へ横パス。
しかしズレてしまい、尚も繋いで仙頭のミドルシュートにまで持っていきましたが、ブロックされるとセレッソのカウンターに。
坂元がドリブルで進撃し、敵陣で中央へ流れたのちミドルシュートを放つも、ミートしなかったのか(あるいは加藤へのスルーパスだったか)威力無くGK朴がキャッチ。
鳥栖の攻撃に対しセレッソがすかさず応戦姿勢を見せた事で、試合は乱戦模様となります。
直後の31分、再び鳥栖に決定機。
敵陣で左→中央→右へのパスワークから、飯野がエリア内右へスルーパス、受けた樋口が斜め45度からのシュート。
巧く対角線を突いたものの、左ゴールポストを直撃してしまい跳ね返り。(再度樋口がシュートするもブロック)
リードしている鳥栖、片渕氏のHTの「追加点を取りにいく」とのコメント通りに、逃げ切りに入ってもいい時間帯でも攻め続けます。
そして再びセレッソがカウンター気味に好機(34分)、左サイドを高木がドリブルで持ち上がるも、エリア手前でペースダウンし右へ展開。
受けた松田陸がクロス気味にシュートを狙うと、GK朴が際どくセーブする惜しいシーンとなります。(直後のCKも、加藤が中央でボレーシュートを放つもGK朴キャッチ)
35分、セレッソは2度目の選手交代に踏み切り丸橋・加藤→喜田・山田へ交代。
続く37分にはチアゴ→鳥海へ交代と、ACLで場数を踏んだ戦力を投入します。
喜田や山田が推進力を見せて攻撃機会を得ていくセレッソ。
同点への架け橋が見えて来た所で、40分に両サイド選手交代。
セレッソは清武→松田力、鳥栖は酒井→ドゥンガ。
セレッソサイドは松田力・山田の2トップにシフトし、最終局面へ。
その刹那の41分でした。
左サイドでの高木がパスカットして中央へミドルパス、受けた坂元がそのままエリア内右へと切り込み。
鳥栖・仙頭との競り合いを剥がして前進すると、倒れた仙頭に引っ掛かるような形で坂元が倒れ、主審の笛が鳴り響き反則。
既にエリア内に進入しており、当然ながらセレッソのPKとなります。
これを坂元自ら蹴りにいき、放たれたシュートは中央のコースに思い切りよく蹴り込まれ。
無事ネットに突き刺さり、2点差を跳ね返し同点としたセレッソ。
ここまで来るとスタミナの残量は関係無い、と言わんばかりに逆転を狙いにいくセレッソ。
キックオフ直後の43分にはボールを奪ったのち、山田のスルーパスが高木に渡ってエリア内左を突き、グラウンダーのクロスに奥埜が合わせシュート。
逆転かと思われましたが、鳥栖・エドゥアルドの軸足でのブロックで辛うじて防ぎます。
45分には坂元が右サイドから個人技でエリア内右まで切り込み、原川とのパス交換ののち中央からシュート。
ブロックされるも喜田が拾い、ミドルシュートを放ちますがGK朴のセーブに阻まれ。
尚もエリア内から原川がシュート(ブロック)と波状攻撃を掛けるも、ゴールには辿り着けず終わります。
VARもあり6分というATに入る直前、鳥栖は仙頭→オフォエドゥへと交代。
助っ人同士の2トップへと変遷し、劣勢の流れを跳ね返しに掛かったAT。
これがリーグ初出場となったオフォエドゥ。
ロングボールのターゲット役として孤立しがちだったドゥンガを支え、もう一つの攻撃の橋頭堡となります。
再び鳥栖ペースが蘇り、樋口が2本シュートを放つも得点出来ず。
そして最後に攻撃権を得た鳥栖、ロングボールをドゥンガが収めたのちエリア内へとパスを繋ぎ、受けたのはオフォエドゥ。
ゴール右隅へ狙いすましたシュートを放ったものの、惜しくも外れてしまい勝ち越しならず。
直後にゴールキックが蹴られたのち、試合終了の笛が鳴り響き。
3-3という壮絶な打ち合いで、セレッソサイドは2戦連続での3失点。
鳥栖にしても3失点は今季初の出来事となり、普段のリーグ戦とは何処か異なった雰囲気が結果に表れたような試合に。
五輪と平行されて行われた試合(そういや鳥栖は林、セレッソは瀬古が代表で離脱中でしたね)、たまにはこうした派手な試合も素直に受け入れて楽しむべき、と納得するしか無いでしょう。