陶芸工房 朝

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美しきもの 檀・まゆみ

2021年11月29日 | 日記・エッセイ・コラム

11月も終わりになりました。12月にバトンタッチをするように、ヤマボウシもヒメシャラもエゴの木も、みんな一斉に裸になりました。そんな中、マユミ〈檀)の木だけが、燃えたつような赤色に輝やいています・・。

 

初秋の頃には若緑色だった実が、冬の気配を感じぱっと赤色に変身する、何という巧みな、何という鮮やかな変身でしょう。日本人の美の本質は、こうした自然の中から育てられた「美意識」のように思えます。

 

「バーナード・リーチの日本絵日記」を読んでいたら、にこんな文章がありました。

「私がいなかったこの18年の間に日本に起こった事柄について、私は絶えず考えさせられている。善であり、真であり、美であった多くのものが消えうせ、今やその反対のものが存在している。混在は大規模に行われ、変遷は非常な速さで進み、風雅な趣などが珍しくなってしまった。外から見た大都市は醜く喧騒で碑俗だ。

しかし、その内側には、素晴らしくゆかしい古い生活を潜めている。そして、田舎は都市とは比較にならないほど美しい。旅で、信じられぬほど我慢強い畑地と農夫たちに出会い、ひたむきな愛情と苦労に色取られた激しい手仕事に出会い、私は驚嘆する。日本は真の芸術の国だ。それは血液にも時間にも、室内にもある。この感受性、魂を養う五官を通じての感得、味わい、色彩、秘められた魅力、それは長い洗練の歴史を通じて生み出されたものであり、ここでは芸術が生活の一部として適切な位置に存在している。」

これは、リーチが昭和9年の訪日以来19年ぶりに来日し(昭和28年~29年)日本各地を旅した時の日記の一部です。が、何だか現代の日本のようでもあり、考えさせられます。