浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

入植地撤退計画国民投票案否決

2005年03月29日 | Weblog
 イスラエル国会は28日、ガザ地区撤退計画を含む2005年度政府予算案審議を開始しました。この審議では、先にシャロン政権から発表された、ガザからの軍の撤退及びガザ地区にある全ての入植地の撤退に関連する予算が話し合われます。
 同じ日、ガザ地区撤退計画に反対する右派勢力から提出されていた国民投票法案が賛成39、反対72の反対多数で否決されました。これで計画が事実上の承認を得たことになります。ただ、最新のイスラエルの世論調査によると、国民の6割以上は撤退計画に賛成しており、たとえ国民投票が行なわれたとしても、撤退計画そのものがご破算になる可能性はほとんどありませんでした。一部流血事件もあったりして、マスコミを賑わわせていましたが、右派による撤退計画への反対運動は、私の目には「猿芝居」にしか見えていませんでした。それは、「本戦」である西岸地区からの入植地撤退への予防線又は布石と見ていたからです。シャロン氏の筋書きからすれば「ガザでさえこんなに大変なんだ。俺は大きな反対を押し切って入植地から撤退をした。西岸地区となれば、この何百倍もの反対圧力が予想されるよ。アッバースさんよ、大きな譲歩をよろしくね」というところでしょう。
 この後、予算案そのものが審議され、今日中にも採決に入る見通しです。これによって、7月に予定されているガザ入植地撤去計画が確定します。

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