浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

バルグーティよ、お前もか

2005年12月29日 | Weblog
 与党アル・ファタハからの分派宣言をしていたグループが28日、前言を撤回して来月に予定されている議会選挙に挙党一致体制で取り組むと発表しました。
 既報の通り、ファタハの若手指導層がイスラエルの獄中にある有力指導者、マルワン・バルグーティ氏を担ぎ上げて新党設立を宣言してからというもの、アッバース大統領は懐柔策に奔走、「バルグーティ・グループ」にこれまでにない妥協を提示して党の分裂の回避に努めました。
 後になって「長老グループ」から発表された候補者リストからは、長老の名前の多くが削られていましたからこれだけを見れば、バルグーティ派の要求が通ったことになります。
 しかし、この日、ガザではアッバース体制に不満な武装グループが、警官隊と銃撃戦を行なっています。このような妥協が後に禍根を残さないかと心配する声が今、パレスチナ各地で上がっています。
 それにしても、バルグーティという指導者、どうも一貫性に欠ける気がします。丁度一年前にも、アラファト亡き後の大統領選挙の際、獄中から突如立候補を表明した後、その舌の根も乾かないうちに大統領選から脱落しています。パレスチナでは、そんな移り気なバルグーティ氏に失望する声も出始めています。
 
 

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