浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

欺瞞に満ちたアナン事務総長

2005年11月17日 | Weblog
 今週、北アフリカのチュニジアの首都チュニスで国連世界情報社会サミット(WSIS)が開かれていますが、そこに出席しているアナン事務総長の取り成しで、パレスチナ自治政府のアッバース大統領とイスラエルのシャローム外相が2度にわたって会談を行ないました。
 会談の内容は、このほど開かれたガザ地区南部の国境検問所のことなどですが、表立って出てくる情報を分析する限りでは、重要な課題は話し合われていません。恐らくこれは、アッバース氏が、チュニスに今も拠点を置いてその存在をパレスチナの人々にアピールする実力者、カドウミ(アブ・ロトフ)・ファタハ議長に対してあてつけで行なった会談でしょう。
 ところで、事務総長は、サミットの目的が貧しい国々のインターネットへのアクセスを確保することにあると記者団に語っていますが、アナンさん、あなたは本当にどこまでも演技をし続けるのですね。
 中東を知るジャーナリストならチュニジアがインターネットの規制では「先進国」というのは常識です。実際、今回のサミットに、「国境なき記者団」の代表が入国を拒否されたり、サミットを取材するジャーナリストが各所で警察官から暴行や妨害を受けています。こんな国で、このような主旨の会議を開くこと自体、その感覚を疑われます。

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