浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

韓国人人質殺害か?

2007年07月26日 | Weblog
韓国人人質問題で、案の定、情報が錯綜している。

 アフガン・イスラミック・プレス(AIP)は昨夜、タリバーンは、韓国及びアフガニスタン政府と行なっていた人質解放交渉の失敗を宣言したと、タリバーン報道官の言葉を引用して報じた。


 タリバーンのアマディ報道官は「釈放を要求する拘束中の仲間8人の名簿を送ったが、まだ何の返事もない。アフガニスタンと韓国の政府の態度に誠実さが見られない」と交渉相手を非難した。


 同報道官は「タリバーンはこれ以上待てないと判断し、交渉失敗を宣言した。人質の韓国人のうち一部が、本日午後2時(現地時間)までに処刑されるかもしれない」と主張した。

 その報道と前後して、韓国人23人のうち8人が解放され、安全な場所に向け移動しているとの情報も飛び込んできた。8人全員が女性だという。その情報では8人は現在、ガズニ州近くの米軍部隊に移動中と思われるとある。だが、その後、その情報の続きはもたらされていない。

 一方、解放の情報とほぼ同時刻に、人質のうち男性1人が殺害されたと報じられた。アフガン政府が誘拐実行グループの要求を聞き入れなかったため人質1人を銃で撃ち殺害したというのだ。今後も要求に応じなければ追加で人質を殺害していくと警告したという。これに対しアフガニスタン政府は、事実と確認したと発表した。

 一部報道では、人質の一人と思われる男性の遺体が、拘束場所と推定されている地域で発見されたとのことだ。遺体には複数の弾痕があるという。


 だが、これらの情報もどれが真正のものかは判断が難しい。拉致グループのみならず、政府側も交渉を有利に導くため虚虚実実、様々な種類の情報を流すからだ。

 昨日釈放された「ドイツ人ジャーナリスト」も、実はデンマーク人ジャーナリストの間違いで、それもアフガニスタン系であった。これを見ても分かるように、この種の情報は、「下駄を履くまでは分からない」というのが、事情をよく知る者たちの“常識”となっている。

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