浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

第三次インティファーダ?

2006年11月26日 | Weblog
 ガザにおけるイスラエル軍とパレスチナ武装勢力による武力衝突は25日も続いた。

 ハマースの活動家が乗るワゴン車がイスラエルの戦闘機からのミサイルで攻撃され、5人が死傷した。また、イスラエルとの境界線にある検問所で、“不審者”が銃殺された。ただ、この事件についての詳細は今のところ分かっていない。そして、ガザ北部に侵略したイスラエル軍とパレスチナ武装勢力の間で銃撃戦が行なわれ、イスラエル軍の発表では、少なくとも一人のパレスチナ人が死亡した。

 一方、泥沼状態のパレスチナの政治状況を打開するためにエジプト政府が動き出している。パレスチナでは、アッバース大統領と選挙に勝ち政権を握ったハマースが対立、両者の間に生まれた溝を埋める方策が見出されぬままに、政治的空白が半ば放置された状態だ。

 だが、エジプトの仲介は今のところ順調な滑り出しとは言い難い状況だ。エジプト訪問中のハマースの政治的指導者、ハーレッド・メシャル氏はエジプト政府要人と会談した後記者会見を行い、打開策を発表するどころか、「第三次インティファーダ(民族蜂起)」の可能性を示唆している。見方によっては、こういった手法は中東では話し合いを有利に進めるためによく使われるやり方とも言えるが、いずれにしてもパレスチナ情勢には暗雲が立ち込めたままである。

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