浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

クレイ首相 選挙不出馬

2005年12月25日 | Weblog
 パレスチナ自治政府のクレイ首相は24日、来る1月25日の議会選挙に立候補しないと明らかにしました。そして、さらに議会選挙の延期をすべきとの考えも私見として述べました。
 これは、イスラエルが自治政府に対して、ハマースの選挙参加阻止を要求したことに抗議してのものです。イスラエルの存在そのものを認めないハマースの国政参加を警戒するシャロン政権は、東エルサレム(アラブ人居住区)におけるパレスチナ人の投票を禁止するとまで公言しています。
 ただ、クレイ氏の発言を額面通りには受け取れません。それは、議会選挙の前哨戦である地方選挙で、ハマースが急速にその勢いを伸ばしているからです。ナブロスなどの大票田で、与党アル・ファタハはハマースに惨敗しています。このまま行けば、ハマースが議会選挙で政権を取る可能性も出てきます。
 クレイ氏の発言はその辺りを鑑みると、その勢いが止まるまでは、総選挙を避けたいとの与党アル・ファタハの考えが見え隠れします。

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