浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

無法状態のガザ

2006年01月02日 | Weblog
 イスラエルが撤退した後のガザ地区からほぼ毎日、ロケット攻撃がイスラエルに対して加えられています。今のところ、イスラエルからの報復攻撃は限定されていますが、世論の高まりを待ってシャロン首相は大掛かりな作戦を行なうのではないかと心配です。それは、報復攻撃には、無実の市民がいつも巻き込まれるからです。その中に子供が含まれることは言うまでもありません。
 ガザは今、完全に無法地帯になってしまいました。これまでお伝えしているように、イラクの混乱がそのまま移動したかのような状況です。
 30日に英国人一家が釈放されたかと思ったら1日、今度は選挙監視活動にガザ入りしているイタリア人が誘拐されました。犯行グループは、「アル・アクサ旅団スンニグループ」を名乗り、故アラファト議長の死因の徹底解明と与党アル・ファタハの内部改革を要求したとのことです。
 自治政府は、今回は機敏な動きを見せ、同じ1日夜、隠れ家を急襲、人質を救出しました。その鮮やかさには私も驚きを隠せません。というか、「アラファト暗殺説」のことになると、アッバース大統領は人が変わったように際立った対処を見せます。
 1日には、ガザの「国連クラブ」が武装グループに襲われ、爆発されるという事件も起きました。幸い滞在者や訪問者おらず、ガードマンも縛られて他の場所に移されていたために被害者は出ていないようです。この施設は、国連が外国からのゲストを泊めたり、もてなしたりするところで、アルコールが振舞われたりすることもあります。もしかしたらそれを快く思わないグループが実行したかもしれません。

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