浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

アッバースが就任演説

2005年01月16日 | Weblog
 先に行なわれた自治政府議長選の当選を受け、ラマッラの議長府(ムカータ)で15日、就任式が行なわれ、アッバース議長はその席で就任演説を行ないました。
 アッバース氏は演説の中で、イスラエルとパレスチナ双方が和平に向けて停戦するよう強く呼びかけています。ただ、演説を行なうアッバース氏に選挙戦で見せた元気は見られなかったとの事です。恐らく前日、イスラエルのシャロン首相が、アッバース体制が具体的な「テロリスト対策」をしない限り接触を一切絶つと表明した事が頭痛の種になっていたのでしょうが、こんなに弱気ではとてもタフな交渉で知られるシャロン首相とは渡り合えないでしょうね。
 そのくせ、「内弁慶」の典型のアッバース氏は、就任早々言論統制に着手していると私の情報提供者は伝えてきています。就任式で、PLC(パレスチナ議会)議長が「報道の自由」の大切さを強調したのは皮肉に聞こえますね。また、選挙戦でのアッバース陣営の他候補への嫌がらせの実態が明らかになってきています。投票所においても、アッバース支持者たちを使って選管スタッフに圧力をかけてきたとも言われています。その情報はまず間違いないでしょう。昨日になって数十名の選管役員がアッバース新体制に対して選挙中様々な圧力をかけてきたとして辞任したとの情報が入ってきました。

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