浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

レバノン新首相に親シリア派

2005年04月16日 | Weblog
 レバノンのカラミ首相がひと月半の間に2回目の辞職をしたのを受けて、ラフード大統領は15日、ミカティ氏を後任に選びました。
 ハリーリ前首相の暗殺を契機に激しい動きを見せるレバノン情勢ですが、国連や欧米の関与もあり、20年近くに亘って居座り続けたシリア軍が完全撤退することになり、落ち着くかに見えました。ただし、カラミ氏というシリアの息のかかった政治家では事態を収拾できるはずもなく、2度目の首相就任も組閣すらもできない状況で辞任に追い込まれました。
 ただ、ミカティ氏と聞いて、多少のレバノン通であれば疑問に思わぬ人はいないでしょう。カラミ氏ほどの強い関わりはないにせよ、親シリア派であることには間違いはなく、今後の舵取りも隣国シリアのご機嫌伺いをする内、改革の芽をつぶしてしまう可能性が大きいと思われます。
 15年の内戦から奇跡的な復興を遂げたレバノンですが、ハリーリという牽引車を失って迷走状態に入ったようです。こういう事態を早く脱しないと、その内武装勢力を抱える実力者達がまたぞろ暗躍することになってしまいます。

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