金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【日経平均が最高値を更新】 ところで「朝が高くてジリジリ下がる」傾向が強いのはなぜ⁉

2024-07-12 00:56:11 | 金融マーケット

 日経平均株価が好調であります。

 7月11日(木)の朝には、42,426円77銭の史上最高値をつけ、まさに活況の様相を見せております。このblogでも申し上げてきたとおり、今の日本の資本市場は、1990年代の北米の資本市場の状況に酷似しており、30年遅れで「資本市場の革新」が起きようとしていますこのあたりの詳細は、2023年9月16日の当blogをお読み下さい!

 

 掻い摘んで言いますと、1990年代に入って、北米企業の経営者たちは、特に株価を意識して、以下の方向へ舵を切りました

①資本の効率性に拘る。売上や経常利益ではなく、ROE重視の経営に転換する。

②事業別のROEに着目して、M&Aの積極活用によって有望な事業に資本を集中。これによりコングロマリット・ディスカウントを解消する。また自社株購入も積極的に活用する。

③市場からの成長期待であるPERを強く意識。PBR1倍以下など以ての外で早期脱出を図る。

④米国市民にIRA(個人年金勘定)と企業型DC制度が定着した時期。全国民による資産形成=定時定額投資が本格化する。

 

 これと全く同じことが今の日本でスタートしつつあります。すなわち、ここ3~4年で若返った日本の企業経営者たちが上記①~③に本気で取組み始めたということ。さらに④については、政府官邸が主導した新NISA制度の導入によって、日本国民全体に定時定額投資による資産形成活動が一気に広がったということ。

 

 状況が酷似しているでしょう?

 欧米や中東の機関投資家は、上記状況に加えて、日本企業のガバナンス改革が本格したと判断。昨年夏から大幅に日本株のポジションを増やし始めていて、その傾向は現在でも止まっていません。恐らくは全資産の5~7%くらいになるまでは買い続けると思われますとはいえ、このテーマは、昨年の9月、今年の2月にも同様のお話をしているので、ここまでにしておきます。

 

 今日の本題はここから

 今、好調と言われている日本の株価ですが、奇妙な特徴があります。それは「朝がギュンと高くなって、そのあとはジリジリ下がる傾向にあること」。なぜなのでしょうか?

 理由はけっこう簡単で、朝の買い圧力は「海外投資家が買っているから」そのあとでジリジリ下がるのは「日本の個人投資家が売っているから」

 

 日本の個人投資家は、日本株の長期投資での成功体験に乏しいため、「BOX相場」の連想から、「下がると買い、上がると売り」を繰り返すクセが強いのです。したがって、今回の上昇相場でも、短期売買を繰り返すだけで、大きな利益は得られていません

 前述した「構造変化」によって「日本の資本市場が革新する」と信じた海外投資家だけが、じっくり日本株のポジションを上げ続け、この上昇相場の恩恵をフルに受けているということ。

 

 いまさら、ネット取引で短期売買を繰り返す日本の若い投資家たちに「売買を我慢して、長期投資に徹しなさい」と諭しても、恐らくは聞く耳を持たないでしょう。彼らは半分、趣味で売買を繰り返していますから、彼らから「楽しみ」を奪うことは出来ません

 むしろ、新NISAの投資枠で、95~98%程度が「北米株」に流れている現状を変えていかないといけません。せめて20~30%程度は、国内株へ投資してもらえるように促すことで、上記の「構造変化」の利益を日本人にこそ還元していかなければ

 

 「朝が高くて、そのあとジリジリ落ちていく日本の株価」を見るにつけ、そんな思いが募る今日この頃であります。

 


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