
神奈川縣藤澤市の遊行寺寶物館の特別展「江の島」で、遊行寺と江ノ島との縁、そして靈異などを狩野興也の繪巻物ほかで通覧してから、久しぶりに江ノ島へ渡る。

参道から石段を上って江島辯財天より江島神社を経て岩屋へ向かふのは毎度のことなので、今回は初めて島の東側へまわり、「聖天島」の跡を訪ねる。

(※古冩真より。江ノ島の左端に浮く小山が往年の聖天島)
聖天島とは、かつて江ノ島とわずかに海を隔てて隣り合ってゐた小島で、遊行寺寶物館に展示されてゐる古繪図にも、その姿がはっきりと描かれてゐる。
しかし、大正十二年(1923年)九月一日の関東大震災による海底隆起で江ノ島と地續きになり、

(※地續きとなった往年の聖天島)
さらに昭和三十九年(1964年)の東京オリンピックでヨット競技の會場となるにあたって周囲は完全に埋め立てられ、岩山の頂きを残して陸地の一部となりにける。

その周囲は現在は公園となり、

江ノ島觀光の人々の休憩所、またバイク乗りたちの溜まり場ともなりにける。
せっかく初めて来た江ノ島の東側、まう少し足を伸ばさんと、
せっかく初めて来た江ノ島の東側、まう少し足を伸ばさんと、

断崖に沿って奥へと進み、突き当たり防波堤にのぼり湘南の海にしばし見惚るる。

初めて逢った、江ノ島からの眺め。
知ってゐる場所でも新たな發見があれば、
それは新たな“旅”となる。

さうなると、
私の行きたい場所はさらに多くなるのである。