
今日に至り、やうやく祖父母のお墓参りに行くことが叶ふ。
毎夏さうであるやうに今回も早くに行くべきだったが、35℃の氣温が續くとやはり……。
しかし、まずは夏の恒例行事をひとつ済ませて安堵す。
そしてまうひとつの夏の恒例行事──デパートでの古本市を、池袋で覗く。

十年以上の昔に、町の古本屋で手に入れ損ねた一冊にめぐり逢ひ、百圓で手に入れる。
八十年以上昔の出版とは思へないほど状態の良いその美本のページをめくりながら、かういふ十年は長いものだと思ふ。
そして帰りに乗った電車が、なにかの不具合で途中から十分遅延し、イヤミのつもりかと眉間が曇る。