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迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

令和四年初音!

2022-03-13 18:37:00 | 浮世見聞記
午前中に鶯の聲が聞こえて、すぐに部屋の窓を開ける。確かに、今年最初の聲を聞く。それまでなんとなくつけてゐたラジオ放送の西洋古樂がにはかに五月蠅くなって、電源を切る。いつまでも冬ではない。春ちかしのこゑ。わが町に、令和四年も春告げ鳥が来てくれた。昼下がり、わが町に遺る古道を歩きながら、人災疫病禍元年の二年前にはよく散歩で通ったことを思ひ出す。現在以上に得体が知れず、とりあへず逼塞して . . . 本文を読む

主従不従情無情。

2022-03-13 09:30:00 | 浮世見聞記
ラジオで、喜多流の「雲雀山」を聴く。“中将姫傅説”を下敷きに、人の讒言に惑はされた主に姫を殺すやう命じられた家来は姫の乳母と共に姫を雲雀山に匿ひ、乳母は花を賣って生計をたてるうち、心を改めた主と再會し姫と共に奈良の都へ帰る──貴人界の噺らしく典雅な曲趣のなかに、乳母の姫への強い情を感じさせるところに、特色がある一曲。よく主従師弟の間は、親子以上の情でつながるものと聞くが、私にその経験はない。そもそ . . . 本文を読む