Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

春を読む

2008-03-23 22:27:48 | book
春です。東京では桜がぽつぽつ咲き始めたとか。
先日も書いたように、春が近づくとむくむくと虫が騒ぎ出すのです。


テレビでJR東海のCM「そうだ 京都、行こう。」を見たときには、「京都!京都!!」とコールするのです。しかし桜の時期の京都旅行は、サラリーウーマンの身の上には無理な相談。
そこで活字で京都を味わうことにしました。


森見登美彦『有頂天家族』
ご存知・ハイパー京都小説家(?)森見さんによると、京都には人間だけじゃなく天狗と狸もたくさん暮らしているそうです。
そんな京都の糺ノ森に住む狸の下鴨一家の愛と勇気と阿呆の物語。
偉大な父を失った母と阿呆狸4兄弟を軸に、敵対する夷川家の阿呆兄弟金閣・銀閣、力を失った大天狗赤玉先生、人間ながら天狗化した弁天、忘年会には必ず狸鍋を食べる金曜倶楽部の人間達…。
どの人物(狸物)も濃くて可愛いキャラクターが、最高に可笑しい!タカラヅカ風「黒服の王子」に化けてビリヤードを楽しむ母狸、蛙に化けて井戸にいるうちに狸に戻れなくなった下鴨家の次男、訳も分からずに四文字熟語を愛する金閣・銀閣(「樋口一葉」を四文字熟語と思ってる)…。
キメ言葉「阿呆の血のしからしむるところ」のとおり、阿呆なことばかりしでかす狸たちにくぷくぷ笑わせられてしまいますが、その底には狸一家の深い家族愛がちゃんとあるのです。
第二部の連載も始まっているようで、非常に楽しみです♪


暖かくなると、なんとなく外に出たくなるもの。新しい自転車で、お花見にでも行きたいなっと暢気に考えています。
私が乗るのは所謂ママチャリですが、世の中には自転車ロードレースなんていう過酷な競技があるようです。


近藤史恵『サクリファイス』
近藤さんの小説は何作か読んでいますが(主に歌舞伎シリーズ)、これまでに読んだ小説とはまるで筆力が違う青春スポーツ小説。しかし、描かれているのはあくまでも人間なんですね。
ロードレースを全く知らずまたスポーツ組織にも疎い私ですが、純粋に肉体的疲労を伴うスポーツの面白さ、チームスポーツとしてのレースの駆け引き、そこから生まれる人間関係と感情の衝突といった様々な要素が明確に描かれていて、ずんずんと引き込まれてあっという間に読了。
機会があれば、ロードレースを見てみたいなぁと強く思いました。
あ、運動もしなくちゃね…。


ところで、4月は新しい年度の始まりです。別れと出会いに遭遇しては、ぼんやりと過去を振り返ったりもしてしまいます。


中野翠『本日、東京ロマンチカ』
『サンデー毎日』に連載されている中野さんのコラム一年分。
彼女のコラムは、大衆や世論とは一線を引いて冷静に(稀に、熱く)、常に中野目線で書かれています。彼女の意見は少数派なのかもしれないけれど、それでも半分くらいは「そうなんだよねー。そうだったよねー。」と頷いてしまいます。
タイトルになっている「東京ロマンチカ」の回は、飄々と明るくてすこし切ない絶品コラム。
さて、この1年を振り返ったときに、穏やかに微笑むことができるといいなぁ。


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