とてもとても今さらながらのお話ですが、4月25日まで早稲田大学演劇博物館で開催されていた『六世中村歌右衛門展』に行ってまいりました。はい、都電に乗ったのはこのためでしたよ。
早稲田大学の構内を進んでいくと、チューダー様式らしきノーブルな建物が雨に濡れて佇んでいました。この建物がとても素敵でしたよ。
廊下や階段はどんなに静かに歩こうとしてもぎしぎしと懐かしい音を立てます。「そういえば、学校の廊下はこんなだったなぁ。」としみじみとかつての学び舎を思い出し、厳かな気分になりました。
さて、六世歌右衛門さんという人については、歌舞伎歴の浅い私でもその名の持つ重みを知る程の伝説的な俳優だったんでしょうね。歌舞伎について全く興味の無かった以前、歌右衛門さんについて書かれた中野翠さんのコラムを読んで、その強烈な個性と美を知り(彼女は歌右衛門さんの魅力について、「蠢く手だけで女を表現する名優だ」というようなことを書かれていた)、「いつか、歌右衛門さんという人の舞台を観てみたいなぁ」とぼんやりと思っていたけれど、私がぼんやりしている間に歌右衛門さんは亡くなられてしまいました。
今回の展覧会は、『京鹿子娘道成寺』をメインに展開されていました。
1,200回に渡り「娘道成寺」を演じられたという歌右衛門さんが歌舞伎界に与えた影響の大きさは、様々な文人たちの文章やブロマイド、役者絵などから見ることができ、彼の芸と人気が想像できないくらい高いものだったんだろうなぁと展示された数々の品から感じられました。
成駒屋の紋の入った小道具や衣装も素晴らしかったけれど、「娘道成寺」の舞台写真もまた素敵でした。
26歳くらいから10年間の歌右衛門さんが、まるで変わらず美しいんです。最初の頃はどことなく初々しくて可愛らしい姿だけど、それがどんどん艶っぽく大人の女の美しさを帯びてくるのね。
独特の鼻筋の通った横顔が素敵で、男なのにこんなに綺麗でいいんだろうかと写真の歌右衛門さんにどきどきしてしまいました。
演劇博物館は、多数の浮世絵も所蔵しているらしく、初代豊国、三世豊国などが描いた役者絵も見られました。
立役として活躍した初代歌右衛門さんや、二人道成寺を踊る團十郎さん(代数を忘れました…)などの役者絵が素敵でしたよ。
来年の展覧会も、また是非訪れてみたいと思いました。
ところで5月30日には、梅玉さんによる講演「父中村歌右衛門の淀君」とビデオ「沓手鳥孤城の落月」の上映が早稲田大学斧記念講堂であるようです。
昨年4月の歌舞伎座で芝翫さんの淀君を拝見しましたが、歌右衛門さんの淀君もまた観てみたいものです。とは言っても、平日だから厳しいな。
ところで、「沓手鳥孤城の落月」は坪内逍遥の作だったんですね。早稲田大学文学部の設立者でもある坪内逍遥の古希を記念して創設されたこの演劇博物館には、「逍遥記念館」もあり、エリザベス朝時代の意匠でしつらえた室内はとてもシックで素敵でした。
また、2階3階には日本の芸能や演劇を時代別に紹介した展示があり、こちらも面白く拝見しました。以前の歌舞伎のポスターを見ると、初日は低料金で見られるようになっていたんですね。なるほど、それなら台詞の入っていない役者さんやどたばたした舞台を「仕方ないね」と温かく見守れたのかも(笑)。
早稲田大学の構内を進んでいくと、チューダー様式らしきノーブルな建物が雨に濡れて佇んでいました。この建物がとても素敵でしたよ。
廊下や階段はどんなに静かに歩こうとしてもぎしぎしと懐かしい音を立てます。「そういえば、学校の廊下はこんなだったなぁ。」としみじみとかつての学び舎を思い出し、厳かな気分になりました。
さて、六世歌右衛門さんという人については、歌舞伎歴の浅い私でもその名の持つ重みを知る程の伝説的な俳優だったんでしょうね。歌舞伎について全く興味の無かった以前、歌右衛門さんについて書かれた中野翠さんのコラムを読んで、その強烈な個性と美を知り(彼女は歌右衛門さんの魅力について、「蠢く手だけで女を表現する名優だ」というようなことを書かれていた)、「いつか、歌右衛門さんという人の舞台を観てみたいなぁ」とぼんやりと思っていたけれど、私がぼんやりしている間に歌右衛門さんは亡くなられてしまいました。
今回の展覧会は、『京鹿子娘道成寺』をメインに展開されていました。
1,200回に渡り「娘道成寺」を演じられたという歌右衛門さんが歌舞伎界に与えた影響の大きさは、様々な文人たちの文章やブロマイド、役者絵などから見ることができ、彼の芸と人気が想像できないくらい高いものだったんだろうなぁと展示された数々の品から感じられました。
成駒屋の紋の入った小道具や衣装も素晴らしかったけれど、「娘道成寺」の舞台写真もまた素敵でした。
26歳くらいから10年間の歌右衛門さんが、まるで変わらず美しいんです。最初の頃はどことなく初々しくて可愛らしい姿だけど、それがどんどん艶っぽく大人の女の美しさを帯びてくるのね。
独特の鼻筋の通った横顔が素敵で、男なのにこんなに綺麗でいいんだろうかと写真の歌右衛門さんにどきどきしてしまいました。
演劇博物館は、多数の浮世絵も所蔵しているらしく、初代豊国、三世豊国などが描いた役者絵も見られました。
立役として活躍した初代歌右衛門さんや、二人道成寺を踊る團十郎さん(代数を忘れました…)などの役者絵が素敵でしたよ。
来年の展覧会も、また是非訪れてみたいと思いました。
ところで5月30日には、梅玉さんによる講演「父中村歌右衛門の淀君」とビデオ「沓手鳥孤城の落月」の上映が早稲田大学斧記念講堂であるようです。
昨年4月の歌舞伎座で芝翫さんの淀君を拝見しましたが、歌右衛門さんの淀君もまた観てみたいものです。とは言っても、平日だから厳しいな。
ところで、「沓手鳥孤城の落月」は坪内逍遥の作だったんですね。早稲田大学文学部の設立者でもある坪内逍遥の古希を記念して創設されたこの演劇博物館には、「逍遥記念館」もあり、エリザベス朝時代の意匠でしつらえた室内はとてもシックで素敵でした。
また、2階3階には日本の芸能や演劇を時代別に紹介した展示があり、こちらも面白く拝見しました。以前の歌舞伎のポスターを見ると、初日は低料金で見られるようになっていたんですね。なるほど、それなら台詞の入っていない役者さんやどたばたした舞台を「仕方ないね」と温かく見守れたのかも(笑)。