楽前日の渋谷はうだるような暑さで、それなのにいつも変わらない人の多さに田舎者の私はげんなり。
二度目のコクーンは、平場席B列(前から6列目?)の上手側(コクーンでも、上手って言っていいのかな?)。
以前の2階席よりとはまったく違った感覚で、私も舞台の一部に溶け込んでいるようで楽しめた。
ただ、どんな風に座ってもお尻から背中にかけてぎしぎしと痛くなるのはどうにかして欲しい…。
あちこちのサイトを覗いていて、どんどん演出が変わっていくんだなぁとは思っていたけれど、ずいぶんすっきりとしていて良かった。
吉田家のお家騒動がぐっと分かりやすくなっていて、その分桜姫たちの苦悩が浮かび上がった。
特に、ちょっと煩わしく感じられた口上役のあさひ7オユキさんが馴染んでいて、安定したみたい。
弥十郎さん&扇弱さんの残月・長浦コンビはますますパワーアップしてた。
でも、岩淵庵室の場での清玄殺しは最初に観たときの方が生々しくて残酷で、多様な人間性が感じられた。
勘太郎さん&七之助さんの悪五郎・粟津七郎コンビは変わらず新鮮で面白い。
今回の席では、私の前列から勘太郎さんが出て来る演出があったんだけど、真剣な表情で権助のいる舞台へ向かう勘太郎さん、かっこよかったなぁ。
席の端に潜んでいるときは、まったく気配を感じなかったのに(私が鈍いだけ?)ライトが当たった瞬間、凄いエネルギーとパワーを感じた。
さて、桜姫。
権助住家の場が格段に好かった。
風鈴お姫になった桜姫のおかしな言葉遣いが素敵に可愛らしい!
権助とのやり取りから、女郎になってさえも権助を愛しちゃってるのね~、と思わされてまた可愛い。
そして、権助の正体を知ってしまってからの桜姫の苦悩。。
まるで自分自身を殺すように権助を刺す桜姫は痛々しくて哀れでお姫様じゃなくひとりの女の姿に見えてしまう。
う~ん、やっぱり好きだなぁ福助さん。ときどきに見せる表情とか仕草がすっごく色っぽい。
さてさて清玄&権助。
岩淵庵室での狂ってしまった清玄がなんともリアルでやるせなかった。
思えば稲瀬川で世間に放り出されてから少しずつタガが抜けていっていたのね。
一方の権助は、あまり「悪の魅力」みたいなものが感じられなかった。なんでだろ?
キャラクターが芝居にしっくり合っていないような。。権助の在り様がどこか宙ぶらりんに揺れていたような印象が拭いきれない…。
そして、ラスト。
舞台に咲く満開の桜はすべてを圧倒していた。
あんなに見事な満開の桜の下では、それは狂わずにはいられない。
ん?あの桜は桜姫が咲かせたのかな?
清順シネマに出て来るあの桜の木を想像させる妖しく美しい桜。
その桜の下で舞う桜姫もまた美しく狂わせられていて、ストーリーなんてどうでもよくなってしまった…。
ところで、珍しく歌舞伎づいた6月。
7月はおとなしく、8月もそこそこにと思っていたら、なんと9月は吉右衛門さんの勧進帳!
富十郎さんの富樫に福助さんの義経だなんて!!
あぁ、松竹さんの興行手腕に上手く踊らされている気がする