Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

至福の声

2005-06-30 23:10:11 | diary
ビールと焼酎でオヤジのように酔って帰ったら、家人の部屋から聞こえる声。
本日のTOKYO FMはスカパラ欽ちゃんの代わりにハナレグミ
話す言葉も笑い声も話の間さえも素敵過ぎて、うっとり。
こんないい声で口説かれたら、たちまちオチテシマウ…。
今日はもう、音楽は要らない。
永積さんの声で、眠りにおちよう

『比類なきジーヴス』 P.G.ウッドハウス

2005-06-30 01:02:08 | book
図書館の新刊コーナーでみつけてなんとなく読んでみたら、面白かった。
滅多に読まないイギリスの小説。
著者のウッドハウスは1881年生まれで、1975年に亡くなるまで60年以上執筆活動をされていたそうだ(訳者あとがきより)。
大雑把に数えて50年から100年前の小説ってことになるんだけど、この小説の可笑しさは今でも十分通用するセンスを持っている。

主人公はバーティーというロンドンのアッパークラスの青年(20代半ば?)なんだけど、このバーティーはほとんど何もしない。
毎朝、執事のジーヴスが用意してくれる完璧な紅茶をベッドで啜り、お気に入りの洋服に着替えるとハイドパークへお散歩に行き、たまにはクラブに顔を出し、またジーヴスが待つ穏やかなフラットへ帰る。
たまに彼自身がしでかすことといったら、紫色の靴下やブルーのスパッツを身に付けて、ジーヴスから白い視線を送られるくらい。しかも、そのすべてがちょっとした事件によってことごとく手放さなければならないハメに陥る。そのくだりの面白さったらない。
何もしない主人公・バーティーの代わりに、彼の隣人達は粒揃いのトラベルメーカーで、その隣人達によりバーティーは事件に巻き込まれる。
バーティーの同級生・ビンゴは出会う女の子すべてに恋しては破れる。
バーティーの従兄弟(?)・双子のクロードとユースタスは傍若無人でエキセントリックなことばかりやってのける。
その事件を冷静に解決するのは、ロンドン一優秀な執事・ジーヴス。
ジーヴスの解決方法はときに主人であるバーティーを蔑ろにするものであったりするんだけど、そこに階級社会への風刺みたいなものはあまり感じない。
数々の難事件をさらっと明快に片付けるジーヴスは偉大で、でもいつもやっつけられてしまうバーティーもとてもキュートで、ビンゴや双子ともども憎めない。
もう、すべてが可笑しくてくすくす笑いを隠せなかった。
だって、いい大人が牧師さんの説教時間の長さをめぐって真剣に賭けをするんだよ。
しかも、それだけじゃ飽き足らず、小さな村の運動会でもなお一層の情熱で賭けをする。
そのために、不正をしてまで勝ちに行くイギリス人って、とってもアホで可愛いわ。

続いて発刊された『よしきた、ジーヴス』とこれから発刊予定の『それゆけ、ジーヴス』も非常に楽しみ。

『ばらいろポップ』 SINGER SONGER

2005-06-28 21:34:08 | music
夕方に突然振り出した雨は、思いがけず涼しい夜を運んでくれた。
私にしては珍しく、発売日前日にCDショップへ寄った。
もちろん、『ばらいろポップ』を買うために。

すべてが自由で強くて優しくて、嬉し涙が流れるよ。
Coccoの声は相変わらず空の向こうへ飛んでいってしまいそうに透明で心地よい。
『サングローズ』のきりきりとした痛みは無くなり、とても無防備に楽しんでいて可愛い。
10曲中9曲をCoccoが作っているのはちょっと意外だったけど、岸田くんが1曲だけ書いている「雨のララバイ」がまた懐かしくていいね。
いいの、おバカでも。いいの、弱くても。明日の居場所なんて分からなくても構わないの。
そんなことをCoccoが真正面から歌ってくれるなんて思ってもみなかったから、ほんとに嬉しい。
あんまり嬉しすぎて、ひとりで踊ってしまったよ…
シングルカットされるのは2曲目の「ロマンチックモード」かな?とてもポップでどうしよーもなく可愛いよ。
ね、Coccoが「ロマンチックモード」ってちょっと信じられないでしょ?

凄いぞ、SINGER SONGER。凄いぞ、岸田。
内ジャケ写真の岸田君のブサイクさも凄いんだけど。。

ROCK IN JAPAN FES 2005 出場決定!!
ってミニチラシが入ってるけど、結局6日(土)は行けない…。
8月にウエディングパーティーだなんて……。
仕方ないから、ウェブアンケートでプレゼントを貰おう

*追記*
アンケートに答えよう!とSSサイトをよく見たら、シングルカットは「オアシス」のようですね。
「初夏凛々」と「オアシス」は7/4までフル試聴できるので、ぜひお試しを。
特に、「初夏凛々」のMVは絶対最後まで見てくださいな
入り口はコチラ

コクーン歌舞伎『桜姫』2

2005-06-25 23:59:59 | kabuki
楽前日の渋谷はうだるような暑さで、それなのにいつも変わらない人の多さに田舎者の私はげんなり。

二度目のコクーンは、平場席B列(前から6列目?)の上手側(コクーンでも、上手って言っていいのかな?)。
以前の2階席よりとはまったく違った感覚で、私も舞台の一部に溶け込んでいるようで楽しめた。
ただ、どんな風に座ってもお尻から背中にかけてぎしぎしと痛くなるのはどうにかして欲しい…。

あちこちのサイトを覗いていて、どんどん演出が変わっていくんだなぁとは思っていたけれど、ずいぶんすっきりとしていて良かった。
吉田家のお家騒動がぐっと分かりやすくなっていて、その分桜姫たちの苦悩が浮かび上がった。
特に、ちょっと煩わしく感じられた口上役のあさひ7オユキさんが馴染んでいて、安定したみたい。
弥十郎さん&扇弱さんの残月・長浦コンビはますますパワーアップしてた。
でも、岩淵庵室の場での清玄殺しは最初に観たときの方が生々しくて残酷で、多様な人間性が感じられた。
勘太郎さん&七之助さんの悪五郎・粟津七郎コンビは変わらず新鮮で面白い。
今回の席では、私の前列から勘太郎さんが出て来る演出があったんだけど、真剣な表情で権助のいる舞台へ向かう勘太郎さん、かっこよかったなぁ。
席の端に潜んでいるときは、まったく気配を感じなかったのに(私が鈍いだけ?)ライトが当たった瞬間、凄いエネルギーとパワーを感じた。

さて、桜姫。
権助住家の場が格段に好かった。
風鈴お姫になった桜姫のおかしな言葉遣いが素敵に可愛らしい!
権助とのやり取りから、女郎になってさえも権助を愛しちゃってるのね~、と思わされてまた可愛い。
そして、権助の正体を知ってしまってからの桜姫の苦悩。。
まるで自分自身を殺すように権助を刺す桜姫は痛々しくて哀れでお姫様じゃなくひとりの女の姿に見えてしまう。
う~ん、やっぱり好きだなぁ福助さん。ときどきに見せる表情とか仕草がすっごく色っぽい。

さてさて清玄&権助。
岩淵庵室での狂ってしまった清玄がなんともリアルでやるせなかった。
思えば稲瀬川で世間に放り出されてから少しずつタガが抜けていっていたのね。
一方の権助は、あまり「悪の魅力」みたいなものが感じられなかった。なんでだろ?
キャラクターが芝居にしっくり合っていないような。。権助の在り様がどこか宙ぶらりんに揺れていたような印象が拭いきれない…。

そして、ラスト。
舞台に咲く満開の桜はすべてを圧倒していた。
あんなに見事な満開の桜の下では、それは狂わずにはいられない。
ん?あの桜は桜姫が咲かせたのかな?
清順シネマに出て来るあの桜の木を想像させる妖しく美しい桜。
その桜の下で舞う桜姫もまた美しく狂わせられていて、ストーリーなんてどうでもよくなってしまった…。


ところで、珍しく歌舞伎づいた6月。
7月はおとなしく、8月もそこそこにと思っていたら、なんと9月は吉右衛門さんの勧進帳!
富十郎さんの富樫に福助さんの義経だなんて!!
あぁ、松竹さんの興行手腕に上手く踊らされている気がする

キヨシロー ラブ、かも。

2005-06-24 00:51:44 | music
NHK「音楽夢くらぶ」を観る。お目当てはハナレグミ。
メインは忌野清志郎さん。

キヨシローさんは、ずっと前に水戸で行われたゆるい野外ライブで見かけたきり。
「冬の十字架」でポリドールとトラブっていた頃だから、1999年のことかな?
TVでは、「雨あがりの夜空に」で登場。お花柄のスーツにイエローグリーンのシャツと靴が素敵だわ。
トークでは、長嶋さんのモノマネ(「ん~、どうでしょう~」あまり似てない…)を連発。
困ったときの私の口癖と一緒ってのが、ツボ。

続いては、ハナレグミと二人弾き語りで「君が僕を知ってる」と「サヨナラCOLOR」。
「君が僕を知ってる」はRCの1980年の曲らしいけど、イイ!!
超・ハデハデな衣装と声に隠れて気付かなかったけど、実は凄い歌を歌っているのかも。
オヤジの歌うカラオケ「雨あがりの夜空に」のイメージが強すぎて、見過ごしていたけれど。
そして、「サヨナラCOLOR」。
永積さんとキヨシローさんの声ってどうなの?って思っていたけれど、いいじゃん!!
真っ直ぐな永積さんの声に絡むキヨシローさんの声、より深く沁み込むよ。
涙、止まらないよ。
昨日の憂鬱なんて、もういいよ。

 サヨナラから始まることが たくさんあるんだよ
 本当のことが見えてるなら その思いを捨てないで

続いてのキヨシローさんは白いスーツ(お花付き)に編み上げブーツ姿!
「ROCK ME BABY」

ラストの「仕草」はグリーンのシャツと水色プリントのパンツ姿。
この「仕草」も好かった。とても自然に大切なことを歌っていたみたい。
聴かず嫌いだったキヨシロー、実は好きかも。

無気力

2005-06-23 22:34:07 | diary
六月も半ばを過ぎ、今年も半分が終わろうとしている。
ちょっと取り散らかった生活が平穏になろうかと思っていた矢先のデキゴトに、くらくらしてしまう。
今年の夏を予感したコトガラが、がらがらと妄想に変わっていった昨日…。
映像も文章も音楽さえも空白を埋めることはできず、改めて私のチキンっぷりに嫌になる。
悲しみの処方箋・写真集を求めて本屋を彷徨ったけれど、田舎のチェーン店には求める本は見つからない。

七月になったら、旅に出よう。
行き先なんてまるで決まってないけれど、北でも南でもかまわない。
美味しい空気と澄んだ水があればいい。
できれば、新鮮な海の幸と心ごととろけるような温泉があったらな。
さて、旅の計画を立てないと!
そろそろきちんと一人で生きていく覚悟をしないとね。

音いろいろ

2005-06-21 23:59:59 | music
気が付けば、夏至だった。
今日は一年でいちばん夜が短い日。
明日から、どんどん昼が短くなるのかと思うと、すこし寂しい。
感覚的には8月の夜がいちばん短いように思えるけれど、違うのね。

ちょこっと目を離した隙に(笑)、あちこちで気になるオトが

「THEかまどうま」フジロックに出演!
THEかまどうま:一寸の虫にも五分の魂を信条とする謎の二人組(岸田くん&堀江さん)って、めちゃめちゃ気になるよ!それにしても、遠いよフジロック…。

CKB 7thアルバム「ソウルパンチ」07/06発売
「♪俺の俺の俺の魂(ソウル)を聴けえええええええ!」って、タイガー&ドラゴン(ドラマ)もそろそろお終い。毎週金曜日に剣さんの声が聞こえなくなるのは寂しいと思っていましたが、アルバム発売!
試聴したところ、ビッグバンド風、ヒップホップ風、レゲエ風とさすがは東洋一のサウンドマシーン!!

『サヨナラCOLOR~映画のためのうたと音楽』08/06発売
「サヨナラCOLOR feat. 忌野清志郎」って!!!
ハナレグミ、ナタリー・ワイズ、クラムボンによるインストの楽曲、聴きたいなぁ。
映画はユーロスペースとMOVIX本牧でしか公開されないのかしら?


『キャラバン』

2005-06-20 21:23:40 | cinema
映画『キャラバン』を観ました。
ネパールの厳しい自然を描いたドキュメンタリーだと勝手に思っていたんだけど、全然違いました

生活のためにヤクに塩を積み、厳しい山を越えて麦に交換するために進むキャラバン。
村の長老・ツィンレが息子を山で失い、その葬祭から映画は始まります。
青い青い空に高く飛ぶ鷲(鷹?)は、鋭い嘴で息子を葬ります。
その映像は美しく、これがネパールの自然であり社会であるんだと印象付けられる。

山は厳しく、そこに挑むキャラバンは美しい。
山に生きる人々は逞しく、やはり美しい。
雪山に響く音楽もとても心地よく、地味ながらもきらりと光る良い映画でした。

六月大歌舞伎

2005-06-19 21:38:09 | kabuki
行ってまいりました、歌舞伎座へ。六月大歌舞伎夜の部を拝見に。
しかも、久々の一等席。4列目ほぼ中央というこれまでにない良席で、ドキドキ

「盟三五大切」
待ってました!吉右衛門さん&仁左衛門さん。
吉右衛門さんの源五兵衛が楽しみだったんですが、まずは時蔵さんの小万&仁左衛門さんの三五郎の美男美女っぷりにうっとり。
この二人、悪いのよねぇ。源五兵衛の100両をお芝居を打って巻き上げちゃう。その悪っぽさがなんとも魅力的。
一方の吉右衛門さん、二軒茶屋の場でまんまと騙されて100両を失い、おじの助右衛門からも見放され、すべてを無くしての引っ込み、怖かったぁ。。
白塗りの顔はますます白く、静かな狂気にこちらまで息を殺してしまう。
この引っ込みがあってのその後の五人切り、小万殺し…。物凄い力でねじ伏せられてしまうような説得力でした。
それにしても、鶴屋南北って面白い。あり得ない人間関係はちょっとこじ付け臭いところもあるけど、グロテスクでリアルな愛憎劇は現代にも通じるもんねぇ。

「良寛と子守」
う~ん、愛子ちゃん元気に舞台を走り回っていて可愛かった

「教草吉原雀」
梅玉さんと魁春さんの鳥売りはすっきりと素敵に面白く、浅黄色の衣装からぶっかえっての雀の精は可愛かった。
夜の部の最後にとても綺麗な踊りを観られて、うきうきとした心持ちで帰宅しました。

コクーン歌舞伎『桜姫』

2005-06-17 22:38:00 | kabuki
渋谷に行ったのは先週の土曜日だから、大分日が経ってしまったのだけれど、うまく感想が書けなくて放っておいた。
とりあえず、メモとして残しておきます。

初めてのコクーン歌舞伎。まず、舞台がいつもの横長じゃなくて縦長だってことが意表を突かれた。
2階最後列(一般的に考えたら、3階席かなぁ)からでもそれなりに全体が観られるんだけど、やっぱり距離がありますね。
席に着いたときに感じたのが、ああ、ここはシアターコクーンなんだってことで、コクーン歌舞伎っていうひとつのカテゴリみたいなものがあるんだなって、思わせられました。
その分、舞台への違和感みたいなものは無かったみたい。

まず面白かったのは見世物小屋風のセット。
桜姫の小屋、局たちの小屋、僧侶たちの小屋、とそれぞれの枠の中でお芝居が始まるんだけど、この枠を壊す(扇雀さんは実際に壊してる…)ことで、後半に繋がるだろうな。
そのセットを動かす魑魅魍魎(って言っていいのかな?)たちの存在も、気持ち悪くてよい。小屋から出た桜姫たちは、魑魅魍魎蠢く世界に放り出されるのね。
ちょっと物足りなかったのは、桜姫と権助の濡れ場。桜姫の帯を使った横長の図が観たかった…。リアルといえばリアルなんだろうけど、ならちょっと卑猥な絵なんかでごまかすっていうのもどうなのかなぁ。

続く稲瀬川の場では、舞台が二階層に分かれるんだけどちょっと観辛かった。
ここでは、たちの生々しさが際立っていて、そこに投げ出された桜姫がとても痛々しい。
清玄と桜姫との別れの場は切々とした思いが伝わってくるようでよかったな。

岩淵庵室の場は、ぐるぐる回る地蔵堂が楽しい。
それを動かすのは、やっぱり魑魅魍魎たちなのね。
暗くくすんだ舞台に長浦の小袖を着た桜姫がひときわ鮮やかだった。
そして、清玄殺し。残月と長浦の心持ちが実にリアル。
なんかねぇ、人間の薄っぺらさ加減がよく見えた。

そして権助住家の場から衝撃の(笑)ラストへ!
風鈴お鈴となった桜姫はちょっとはすっぱで、それでもやっぱりお姫様なのね。でも、それ以上に権助を愛してしまったのよね。
「桜姫」はその本質がお姫様で、愛を知ったお姫様とわが子を愛する母親の心情、そしてお姫様であるが故の苦しみからの展開は切なくて美しかった。

初めてのコクーン歌舞伎は舞台にばかり気を取られて、役者さんがよく見えなかった…。
来週はよく観ましょう