Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

さようなら、植木等。

2007-03-27 23:55:14 | news
つい今、植木等さんが亡くなったというニュースを聞いて、ショックを受けています。
タイミングにC調に無責任がいちばん大事、と教えてくれた昭和のナイスガイ・植木等。
もちろんリアルタイムでは知らなくて、でも底抜けに明るくていい加減なのに歌もルックスも最高ってところが大好きだった。
何かの拍子にクレイジーキャッツにハマったちょっと変わった中学時代。周りの友達には話せずに(話したところで誰も知らなかったしね)、でも当時覚えたクレイジーキャッツは、就職してからのカラオケタイムでお役立ちでしたよ。

80歳だったんだ、と改めて植木等さんの若さに驚きました。
老いてもぜんぜん枯れなくて、でも若いころと変わらない飄々とした植木等はかっこよかったなぁ。
安らかにお眠りください。

世界フィギュアにはまる。

2007-03-26 23:07:37 | news
面白かった!!
年末の日本選手権から興味を持ったフィギュアスケート。
ミーハーな私は、真央ちゃんとミキティの二人に注目していましたが、世界は想像をはるかに超えて凄かった。

女子も美しいし面白いんだけど、インタビューで見せる彼女たちの幼さと、それをあざとく見せ付けるマスコミに辟易してしまったのね。
ま、何が面白かったかって、男子なんですけどね。ええ、思いっきりミーハーですとも!

織田くん・高橋くんも素敵だったけど、パフォーマンスとしての面白さはやっぱりヨーロッパ勢ですね。
ジュベール(フランス)、ランビエール(スイス)、ベルネル(チェコ)が最高!決して、外見だけで最高な訳ではないですよ…。
中でも、ランビエール!!!
ジャンプ時の着氷の滑らかさとか高速スピンの美しさとか、素人目にも凄いよ。そして、観客の心を掴むパフォーマンスにノックアウトされてしまいました。
キャンデロロ以来の(憶えてます?フランスの「氷上のジゴロ」ですよ。懐かしいなぁ。)トキメキでしたよランビエール。

フィギュアのお楽しみは来シーズンまでお預けですが、真央ちゃん・キムヨナちゃんの日韓同い年対決とともに、ランビエールの益々冴え渡るであろうスケートもまた楽しみです。
個人的に、織田くんのパジャマはもう止めた方がいいと思うよ。


美姫、情熱の「女性美」で逆転金!歓喜の号泣(サンケイスポーツ) - goo ニュース

おおはた雄一/ふたつの朝

2007-03-24 00:10:13 | music
気付いている方は気付いてるでしょうが、ブログタイトルの上にはなんとなくその時々の気に入っていることば達をこっそりと載せています。こっそりじゃないかしらね?まぁ、気分は「こっそり」なんですよ。
この頃はおおはた雄一さんの「ふたつの朝」からこっそり(これこそお断りもしていないから「こっそり」なんですけど…)いただいています。

おおはたさんを知ったのはクラムボンのカヴァーアルバムだったんですが、今月に入ってようやくアルバムを購入しました。それが「ふたつの朝」が入っている3rdアルバム「ふたつの朝」なんですが。
このアルバム、やわらかくておだやかであたたかくて、すごくすごく素敵です。

おおはたさんの声はとても普通に優しくて、ポロンポロンと鳴るギターは心地よくて、ゲストミュージシャンたちの紡ぎ出す音が見事に絡み合っています。どこまでも続く線路をのんびりと歩いていくような、お散歩感がたまらなく素敵です。
言葉も声もゆったりと普通に流れているんだけど、でも何か欠けているものを求めているような心に引っかかる心地よいざわめきがあって、ちょっと久々にいい音楽に出会ってしまいましたよ。
持田香織さんも参加されていて、ELTを全く聴かない私には彼女のふんわりと優しい声も新鮮でした。
スガさんからトゲトゲを抜いて、ハナレグミを大人にして、まさやんをうんととぼけさせた感じと言ったら伝わるかしら?
聴けば聴くほどに新しい発見(心地よいツボが次々に湧いてきますよ)があって、すっかりするめCDとなっています。

つじあやのさんとライブをされるみたいですが、とてもいいライブになるんだろうなぁ。想像するだけで楽しくなりますよ。
行ってみたいけど、平日なんですよね…。あーん、4月以降の予定が立てられない悲しいサラリーウーマン。。

試聴はコチラからどうぞ~♪

おおはた雄一 official site

古河の桃まつり

2007-03-21 23:16:40 | ibaraki
本当は、お花見の予定でした。しかし桜の蕾はまだまだ固く、梅はほぼ散ってしまいました。
とりあえず、花を見ようってことで桃の花を見てきました。
訪れたのは、古河の桃まつり

公園への道のりは、大渋滞。先にお昼をいただくことにしました。
ナビを駆使して裏道を抜け、古河文学館の2階にあるレストラン唐草へ。こちらはカジュアルなイタリアンでしたが、官公庁の食堂にありがちな薄っぺらい味のお店ではなく、国産野菜(にんにく以外)を使うちゃんと美味しいレストランでした。パスタコースをいただきましたが、かなりボリュームがあり、デザートまでいただくとお腹がいっぱいになりました。

腹ごなしに公園まで歩こう、とてくてく古河のお散歩。
古河文学館の目の前には無料の駐車場があるので、天気がよければ歩いて行くのがオススメです。
文学館の近くには、鷹見泉石記念館古河歴史博物館があるので、ぶらりと立ち寄ってみるのも楽しいかも。鷹見泉石記念館をちょこっと見学しましたが、落ち着いて趣のある日本家屋と庭がいい雰囲気でした。

道に迷いながらてくてくと30分ほど歩くと、古河総合公園に着きます。
公園の裏側から入って行ったのですが、側道の道端にはオオイヌノフグリがブルーに染めていました。↓分かりづらいですね…。



古河総合公園には約2000本の花桃が咲き誇り、その濃いピンクがとても愛らしくて素敵でした。

 

桃の花はふくふくとまぁるくて、とっても可愛い!梅や桜とは違った、グラマーなお花だと思いませんか?

 

公園には、今年初めて見る鯉のぼりもいました。風を受けて泳ぐ鯉たち、気持ち良さそうでしたよ。



公園は出店や歌謡ショーがあり、かなりの人で賑わっていました。
中には、「加納の時間」というパフォーマンス(?)もあり、黒山の人だかりになっていました。よく見えなかったので通りすぎてしまったんですが、サイトを見たらちょっと気になりました。チェックしとけばよかったかな。。

公園からの帰り道、白い花を付けた木がありました。杏かな?桃の一種かな?



桃まつりは、4月5日まで開催されているそうです。たまには桃でお花見、っていうのもいいかもしれません

はるかぜ

2007-03-20 22:00:01 | diary
春、風邪をひくのが恒例みたい。
「夏風邪」はちゃんと変換できるのに、「春風邪」は無いんだなぁとふと気付く。
春の風邪はとりたてて名付けるまでもないのかな?

風邪をひくとすごく弱気になってしまう。
マイナス思考を払拭しようとお酒を飲むから、よけいに具合悪くなる。
ばかみたい。

弱気になったついでに、勘違いしてもいいかなと思った。
一晩寝たら、やっぱりただの友情だった。
春風邪のせいで弱気な私のヒトリゴト。

オヤスミナサイ。

茨城散歩-青春18きっぷの旅-

2007-03-18 21:32:06 | trip
久しぶりに、青春18きっぷを購入しました。2007年4月1日でJRグループ発足20周年を迎えるそうで、8,000円で販売しています。
いつもならクルマで出かけてしまうところですが、この切符を使ってちょこっと茨城散歩。



電車の旅の必需品は音楽と本。先日買ったthe bird and the beeをiPodに詰めました。
エレクトリックに心地よくて、浮遊感の漂うこのアルバムは旅行に最適。-ちょっと不思議な小旅行-ってキャッチがぴったりですよ。試聴は上のリンクからどうぞ~♪


さて、よい音楽にはよい本を。
鞄に詰めたのは、川上弘美さんの『ざらざら』。雑誌[クウネル]に連載されていたいろんな形の恋愛を綴った短編集。
どの恋愛も心がざわめいてしまう。ときにうっとりと、ときにじりじりと。



車窓から光を浴びて、とろとろと音楽を流し込みながら本を読んだりうたたねしたり。水戸で降りる筈でしたが、あんまり心地よいのでもう少し電車に揺られることにしました。
水戸から少し北へ向かって、学生時代によくお世話になったラーメン屋さんへ。
お店のおじさん・おばさんは、少しお年を召したようだったけれど変わらず元気な様子。
当時よく食べていた「皿うどん(やわらか)」を。美味しいんだけど、量が多いんですよねぇ。やっぱり少し残してしまった。ごめんなさい。



お腹を満たしたところで、再び電車に乗り込んで水戸へ。
この日の目的は茨城県立近代美術館で開催されている加山又造展
馬や鹿をモチーフにしたルソーに影響を受けたらしい初期の作品、大和絵や琳派の手法を用いた造形美(「千羽鶴」は圧巻の一言!)、水墨画を描きながらもいきいきした息づかいが感じられる自然や街、「桜島」の力強さ。
次々と展開する作品に圧倒されながら進んでいくと、満開の桜がありました。数点の桜の絵の中で、特に「おぼろ」という屏風絵が凄かった。
霞がかった月の下の満開の桜は美しいばかりじゃない妖艶さと神秘性があり、それでも心が落ち着く非常に魅惑的な絵でした。



美術館を出て、駅へと向かう川沿いの桜は、まだ蕾を固く閉じていました。



再び電車に乗り、最終目的地へ。久しぶりの友人達とのお食事会。
がははと笑い、もりもり食べて、お酒も少しいただいて、また電車に揺られて帰りました。

さて、次の電車の旅はどこの街へ行きましょうか?

JR発足20周年・青春18きっぷ

シャガール、その愛のかけら

2007-03-17 10:07:40 | art
マルク・シャガールは、1887年7月7日にロシアのヴィテブスク(現ベラルーシ)に生まれたそうです。七夕生まれっていうのが、なんともシャガールっぽいなぁとにんまり嬉しくなります。
あ、違う。注目すべきは誕生年。1887年生まれってことで、今年はシャガール生誕120周年なんだそうです。
宇都宮美術館で開催されている展覧会「宇都宮美術館開館10周年記念 シャガール、その愛のかけら」に行って来ました。

シャガールでイメージするのは、恋人達やサーカスやエッフェル塔やバイオリン弾きや花束などといった明るく自由で夢のような世界だけど、展覧会ではロシア(ヴィテブスク)時代の作品から始まっていました。「村の祭り」というその作品は、小さな棺を運ぶ人や母親らしい女性、悲しむ人が描かれたとても暗い色調の油彩でした。
ヴィテブスクのユダヤ人街で生まれたシャガールは、生れ落ちて直ぐに火事のためベッドごと村はずれに運ばれたようです。このことは『我が生涯』というエッチングに描かれていますが、この火事はユダヤ人街に放たれた迫害の火であり、シャガールの人生に付いて回るユダヤ人画家としての根底に流れるものだったようです。
というのは、たまたま参加することができたギャラリートークで学芸員さんがおっしゃっていたことですが、「今日は人数が少ないから、絵を見ながらお話しましょう」と言って1時間程かけてじっくりとシャガールの人生と作品を伺うことができたのは、非常に楽しいひと時でした。

展覧会は、いくつかのエッチングとリトグラフが紹介されていて、その中に『ダフニスとクロエ』からの数点がありました。以前、名前も分からずに気に入って飾っていたポストカードがこの詩情豊かなリトグラフだったんでした。
展示されていた中では特に「つばめ」という一枚が明るくのどかで素敵です。どこからかドビュッシーの旋律が聴こえてきそうですよ。

『ダフニスとクロエ』の他に大好きな『サーカス』もありました。
幼かった私が初めて行った展覧会で心を奪われたのがシャガールで、その中でも『サーカス』の赤や青や緑や黄色の原色の作り出す夢のような不思議な世界に引き込まれました。子供の私には、おっぱいを出した裸の女性に絡むピエロやヴァイオリン弾き、牛や鳥などは恥ずかしさと楽しさが混ぜこぜの奇妙に魅力的な世界でした。

ギャラリー・トークで伺ったお話は、『わが生涯』『聖書』『出エジプト記』などの一見地味に感じられるエッチングとリトグラフについてのもので、その背景にはシャガールのユダヤ教徒としての側面が現れているそうです。
『聖書』の中で、シャガールは「神から石版を授かるモーセ」を描いていますが、ユダヤ教の戒律を破り絵を描きながらも神の姿を描くことはできずに、黒い雲のような中から白い手だけの「神」を描いています。
他の絵の中でも、神そのものを描くことができなかったシャガールは、それでも神の存在を現したくて神の座る「椅子」をあるときは絵の片隅に、あるときは絵の真ん中に描いていて、それはこの展覧会でもあちこちに見ることができます。
そんなにまでして神を描くことのなかったシャガールが、『出エジプト記』において初めてタブーを冒し「神は神自らの手で契約を書き記した二つの石版をモーセに授けた。」というリトグラフに神の姿を描いています。人と獣との顔を持ち、生贄の鶏とともに空を飛ぶ神の姿ですが、このことはシャガールにとっては「ついに、描いてしまった!!」という非常に大きな意味を持つことだったそうです。

さて、この展覧会で私がもっとも気に入ったのは「青い恋人たち」という絵です。
アメリカで最愛の妻ベラを亡くしたシャガールはしばらくの間絵を描けなかったそうですが、その後に描いたのがこのちょっとロマンティックな「青い恋人たち」です。
美しく穏やかな顔でどこかへ向かおうとする女を、愛おしくも悲しげな表情で抱く男。男の手は、女のおっぱいに伸び、よく見ると指でつまんでいます。
ずっとベラを描いてきたシャガールの、どこまでも彼女を愛し続ける姿を想像すると、涙がじわりと浮かんできます。

 

もう一枚、会場のいちばん最後にあった「緑、青、赤の恋人たち(街の上で)」というシャガール晩年近くの絵もとても素敵でした。
恋人たち、音楽家、パリの街、故郷ヴィテブスクの村、月と太陽、鶏、花束などが明るい色彩で描かれ、そこには彷徨えるユダヤ人もいます。
ヴィテブスク、パリ、アメリカ、南フランスと、戦争によって故郷を失い老年になって漸く暖かな安堵の地を得たユダヤ人画家としての幸福な一枚なんだと思います。

「宇都宮美術館開館10周年記念展 シャガール、その愛のかけら」は4月8日まで。会期中、東欧系ユダヤの音楽クレズマーのコンサートも開催されるようです。もう一度、「青い恋人たち」に会いに行こうかな。

宇都宮美術館HP

*追記*
シャガール展は、4月14日から6月3日まで三重県立美術館に、その後6月9日から7月29日まで千葉市美術館に巡回されるようです。
フライヤーもとても素敵なので、どこかでぜひ入手してくださいね!


春眠

2007-03-14 23:21:43 | diary
このところ、眠たくて眠たくてあくびばかりしています。
一日三眠したいくらい。朝寝して昼寝して夕寝して。

ご飯をいただいては眠り、電車に乗っては眠り、本を読んではまた眠り、と寝ても寝ても眠り足りない。
もうすっかり春なのかなぁ?と思っていたところ、先日発表された気象庁の桜の開花予想には入力ミスがあったとか。お花見会場の桜を見に行ったところ、まだ蕾は固かったのでおかしいなとは思ったのよね。

春と言えば、今年は春のお味をたくさんいただいた。
ふきのとう、うど、からし菜。
この1週間、うどの酢味噌和えばかり食べている。むしゃむしゃむしゃ。
春の野菜は独特の苦味があるのが好き。
どの野菜も、いくらでもお腹に収まってしまってしまう。
来週はお彼岸。草もちもいただけるかな?

春の眠りの合間には、美術館に映画館に歌舞伎座に、とざくざく歩き回っています。
象を飲み込んだうわばみのように、それぞれかぷっといただいたものの、なかなかこなれなくてお腹がぱんぱんしているよ。

さて、明日には下書きのままの記事を完成させよう。
おやすみなさい

「狂言鑑賞会」atつくばカピオ

2007-03-11 23:29:25 | 
2年ぶりに狂言を観ました。大蔵流若手狂言SHINによる狂言鑑賞会。
難しいことはさっぱり分かりませんが、ほのぼのと大らかに「はーはっはっはっはっ…」と笑える楽しい曲でした。

大蔵千太郎さんによる「狂言のお話」があり、集狂言「酢薑(すはじかみ)」の後、休憩を挟んで大名狂言「靭猿」。

「酢薑」は、酢売り(大蔵基誠さん)と薑(生姜、古くは山椒。大蔵教義さん)の商売の威信を掛けて駄洒落合戦をする、というお話。それぞれに「ス」と「カラ」の付く言葉を織り込んだ駄洒落を競い合い、結局は互いに笑いあって目出度くお終いになるけれど、どうしょうもなくくだらないことを競い合う二人の物売りがとっても可笑しくてかわいい。

「靭猿」は、太郎冠者(吉田信海さん)と狩りに出た大名(大蔵千太郎さん)が猿曳き(大蔵彌太郎さん)に出会い、小猿(大蔵彩乃ちゃん)の皮を所望する、というちょっと可愛そうなお話。ま、最後は楽しくシャンシャンとなるけれど。
大名は子供っぽくワガママなんだけど、なんとなく憎めない。猿曳きはなんとか小猿を守ろうと必死になり、二人の間に挟まれた太郎冠者はおろおろ…。
その3人の葛藤を知らずに、小猿はゴロゴロ横に転がったり、でんぐり返ししたり、足をさすったりと、舞台の真ん中でずーっと遊んでいるのね。それが可愛くて可愛くて、会場中からくすくす笑いが起こっていました。もう、小猿がすべてを持っていってましたね。
命が助かって、芸を披露するのもとてもキュート!赤いチャンチャンコを着て烏帽子を被っておめかしします。猿にチャンチャンコっていうのはいつの世も変わらないものなのかな?猿曳きに操られて、片足立ちで待ったり、扇をかざして月に見立てたり。大名は、次々に猿に刀や衣類を与え、猿に近づいて真似をしますが、その大名を小猿は威嚇します。「きゃーきゃっきゃっきゃっきゃっ」と大名に立ち向かう小猿の可愛いこと可愛いこと。
小猿は子方が演じるということで、千太郎さんのお子さんの彩乃ちゃんが初役で演じてらっしゃいました。小猿の面を付け、舞台上でずっとぐるぐる動き回るのは大変でしょうね。40分もの間、緊張を保っているのはさすが狂言師の子、でしょうか。
曲が終わって面を外したお顔は幼く可愛い女の子でした。会場中から大きな拍手を浴びてましたよ。

今から700年前に生まれたという狂言は、少しとぼけていて理屈抜きにカラッと笑える楽しい芸能でした。また、どこかで出会えたらいいな。

『DREAM GIRLS』に思う。

2007-03-09 23:57:13 | cinema
今さらながら突然ですが、このブログは私の日常のアブクを綴る日記として始めました。アブクとは、歌舞伎や音楽や映画や本などといった、生活していく上で絶対的に必要ではないけれどあった方が楽しい他者から見たら余分なモノなのかもしれないけれど私にとっては大事なモノたちを指します。
それで、このブログのタイトルは”Daily Bubble(日々の泡)”と付けました。このタイトルは割と気に入っていて、その後変更することもなく2年以上に渡り使っています。

ブログについてはどうでもいいんですが、私にとっての歌舞伎や音楽はアブクであり、つまりはくぷくぷと生まれては消えていく目には見えない他愛のないモノ達だった訳なんですが、先日”DREAM GIRLS”を観て少しというか結構真剣にそれらのアブクについて考えさせられました。
”DREAM GIRL”は、主人公ディーナ(ビヨンセ)とエフィ(ジェニファー・ハドソン)という2人のシンガーの葛藤、ショウビジネス界でのし上がっていくカーティス(ジェイミー・フォックス)、時代の波に乗れず不慮の死を遂げるジミー(エディ・マーフィー)といったショウビジネス界の表と裏を華やかな衣装や音楽で彩ったエンターテインメントミュージカルムービーで、ゴールデン・グローブ賞アとカデミー賞で助演女優賞を取ったジェニファー・ハドソンのパワフルなヴォーカルが注目されていたようですね。
ジェニファー・ハドソンの声は圧倒的で、多くの人は魂を揺すぶられるだろうけど、映画の中では大衆は美しくソフィスティケートされたディーナ(ビヨンセ)を支持します。それは、ジミーとC.C.(エフィの兄で作曲家。キース・ロビンソン)においても同様で、ソウルに溢れた彼らの楽曲をカーティスは認めず、ソウルを奪われたジミーは死んでいく。カーティスは大衆の代理人であるから、ジミーは大衆に殺されるのね。エフィは最後までソウルを捨てずに自らの音楽を貫くけれど、実際のエフィはひっそりと消えていったようです。
この、ジミーとC.C.、エフィがどうしても守りたかったソウルというものは、恐らく私が今までに体現したことのないもので、それなしでは生きていかれないほどの感性をジミーたちは持っていたんだなぁ、となぜかそのことが非常に私の中でわだかまり、おこがましくもどうにもならない才能というものに嫉妬しました。

私にとってアブクであるところの音楽が、いちばん大事なものなんだよ。音楽が生きていくことのすべてなんだよ。
それを理解することはできても、自分の感覚として捉えることのできない無感性な私は、ひどく退屈で詰まらない人間なんだってことを思い知らされ、そのことばかりをじくじくと考えてしまいます。

音楽じゃなくてもいいんです。
死んでも守り抜きたい何か、を今の私は持ちません。
さすらったり彷徨ったりすることが相応しい年齢をとうに過ぎても、神様は一粒の光の種も与えてくれなかった。

でもまぁ、いいんです。私のじくじくした痛みなんて、二晩も眠ったら忘れてしまう。だって、世の中は私の憂さなんて簡単に吹き飛ばしてくれる素敵な音楽たちで溢れているんだから。
才能なんてものは、均等じゃ面白くない。神様はそれを承知して才能を割り振っているんだわ。
そんな訳で、これからも私はアブクたちを探して歩いていくぞ。