Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

未完成エントリー

2005-12-30 22:56:57 | diary
今年もいよいよあと二日。楽しいことも悲しいこともいろいろあったけど、なかなかいい一年だったんじゃないかしら。
日記はいつも三日坊主に終わるけれどブログはなぜか長続きしていて、読み返すと懐かしい。去年の今頃のエントリーを見ると、気取ってるね。イヤナヤツだよ。

過去の記事一覧を見たところ、草稿中の記事がちらほらありました。こそっとupしてみましょう。

ジェイムズ
家にやってくる猫くんです。
ハンサムくんではないけれど、けっこういいヤツ。ニャーって、甘えてくる。


プーシキン美術館展
「金魚」が観たいな、とそれだけで行ってみたプーシキン美術館展。
ロシアのプーシキン美術館が所蔵するシチューキンさんとモロゾフさんという二人のコレクターが集めた作品でした。
ビデオで紹介していた二人のおうちがまた凄くて、ピカソルームとか、マティスルームとかがあるの。おうちの中に、画家に絵を描かせたり。大富豪なんですねぇ。

ほんものの「金魚」は、とても大きくて明るい色に溢れ、気持ち良さそうに水槽の中でいきいきと泳いでいました。

人間ドック
生まれてはじめての人間ドック。私の職場では、30歳以上に助成があり10,000円弱で人間ドックが受けられます。
で、池袋へ行ってまいりました。なんで池袋かって、1泊2日でドックを受けつつ忘年会をしましょうと。

面白かったなぁ、人間ドック。みんなお揃いの検診服を着て言われるままにアチラコチラへ。ベルトコンベアに乗ったチョコレートバーになった気分。


そういえば、最近ジェイムズを見かけません。寒くなったから、どこかのおうちにもぐりこんだかな?

十二月大歌舞伎 夜の部

2005-12-29 23:47:31 | kabuki
26日に楽も迎え、すっかり冷めたエントリーなのですが、私自身の記憶に残すためにも書いておこうと思います。そんな訳なので、あっさりと。
12月23日(祝)、2階1列目下手側で拝見しました。2階席で観るのは初めてだったのですが、とても観やすいですね。舞台全体が見渡せて、役者さんとの距離もちょうどいい。

恋女房染分手綱 重の井
実は、これを観るために1等席にしたと言ってもいい「重の井」。福助さん児太郎くん親子の共演が楽しみだったのです。
昼の部の弁慶上使同様「子別れ」がテーマのお芝居ですが、福助さんの重の井はただひたすらにわが子を思う母であり、義太夫に乗りながらもとても現代的な母親を感じました。
児太郎くんもまた母を恋う子というお役を、ひたむきによく演じていました。子役というには大分大きくなり、三吉の複雑な内面を丁寧に表現する様子にもう一人前の歌舞伎役者なんだなぁと感心させられました。細く伸びた腕や足に馬子・三吉を感じたこともあるのでしょうけれど、重の井の打掛けに縋る姿がぴたりぴたりときれいなのにやっぱりリアルで、お父さん譲りだわ、とこっそり嬉しく思いました。
思い返せば、今年3月の勘三郎襲名の「盛綱陣屋」で福助さん親子(芝翫さんを含めた成駒屋さん三代ですね)に泣かされて児太郎くんを認識したんですけれど、あのときより一回り大きくなったみたい。
七之助くんの腰元若菜がはきはきと明るくて可愛かった。昨年の芝翫さんの「重の井」では橋之助さんが大柄で可笑しい若菜を演じるのを観ましたが、七之助くんの若菜は橋之助さんに負けない明るい強さがあって良かった。

船辨慶
チケットを取ったときは、新歌舞伎十八番の「船弁慶」と思っておりどんな後シテになるんだろう?と勝手にワクワクしていたんですけれど、玉三郎さん仕様の美しい「船辨慶」でした。
玉三郎さんの舞踊にはどこか独特の雰囲気が漂っていて、観る側も息をひそめてしまいます。あぁ、しかし能取り物は苦手です。前シテの静御前の踊りは、どうもよく分からず結局うつらうつらと船を漕いでしまいました。
ところが、知盛の霊になってからは面白かった。船頭の勘三郎さんが起こしてくれたってのもあるのでしょうけれど(笑)。知盛の霊の怨念の恐ろしさがじわじわと伝わってきて、この演出は私にはぴったり来ました。
衣装もまた素敵でした。静御前のお花がたくさん散りばめられた衣装もとても美しかったけれど、知盛の霊の衣装が好き!白地に金の大きな波が非常にモダンで、玉三郎さんによく合っていました。シンプルで大胆で美しい知盛の霊をそっくり表しているような衣装でした。

松浦の太鼓
今年の歌舞伎納めは、こちらでした。
これはもう、勘三郎さんに尽きます。舞台に出るだけで、声が聞こえるだけで、もうお客さんは喜んでるんですね。そこが、勘三郎さんの持つ愛嬌の強みであり場合によっては弱点になりかねないなぁ、と。
鎮信は、家来のお世辞に喜んだり大の女性好きだったりと人間臭い旗本で、勘三郎さんにぴったりの役どころ。家来たちも勘三郎さん(鎮信)にぐいぐいと引っ張られているよう。お縫をめぐる軽いやり取りなどはくすくすと(あるいはアハハハと)笑わせられてとても楽しい。
その後の「年の瀬や~」の源吾の付句から思案し討ち入りを知るくだりが、ハラハラと緊迫に満ちていてとても面白かったんですが、なぜか周りは爆笑なんですよね。あれあれ、私の感性が可笑しいのかな?とちょっと不思議な気持ちに。
その緊迫感が流れてしまうことで、松浦邸玄関先の場の源吾との別れが面白可笑しく消えていってしまう。うーん、残念。
橋之助さんの源吾は、どうもうかうかと腰が浮いているような軽さを感じてしまいました。
勘太郎さんのお縫!大きいですよぉ(笑)。可愛いんだけど、ひたすら大きい!松浦邸の場で煎茶のお手前を披露してくれて、こちらはなかなか綺麗な形でした。渡辺保さんによると、宗へん流でするのが正しいらしいけど。

勘三郎さん襲名に始まった今年の歌舞伎。来年は藤十郎さん襲名ですね(江戸では、ね)!昨日は船乗込み・お練りも行われて、賑やかだったようです。「山城屋!」はいいけど、「藤(とう)さま!」ってのはどうなのかしら?

あぁ、そして松助さんご愁傷様でした。
海老蔵襲名の「助六」での松助さんの通人に、「おっかしいなぁ、歌舞伎って。こんな気軽な見方をしてもいいんだぁ」と勝手に解釈して、歌舞伎通いが始まりました。
「児雷也」で松助さんの姿を観られてよかった、と思っています。最後まで役者として全うされた松助さんのお姿を忘れることのないようにしよう、と。
安らかにお眠りください。

東京ミレナリオ

2005-12-26 23:59:59 | diary
7年目にしてやっと、東京ミレナリオに行って来ました。
「ミレナリオに行こう!」とちゃんと計画したことが過去2回。1度目は電車の中で貧血を起こしリタイア、2度目はあまりの行列に恐れを成してリタイア。
今年こそは見るぞ、と決意しました。だって、来年からは東京駅および周辺整備事業に伴い休止ですって。2011年竣工ってことなので、しばらくの間は東京駅もミレナリオもサヨナラですね。竣工後はぜひ再開してほしいものです。
東京駅と言えば、アラーキー「東京物語」(映画は竹中直人監督)のステーションホテルの印象が強いんですけれど、どんなふうに変わるんでしょう?ステーションホテルに泊ったことは無いんですが、あのレトロな雰囲気に浸りたくてレストランは何度か利用したことがあります。
現存している建物を可能な限り保存するとともに、創建当時の姿(3階建て)への復元を行うってことなので、よりレトロでハイカラは駅舎を期待してしまいます。八重洲側のツインタワーってのは、どうでもいいんですけど。
関連サイト→JR東日本:プレスリリース:東京駅及び周辺の整備計画について

さて、話が横にそれましたが本題は東京ミレナリオ。
24日のニュースで点灯の模様が流れていたせいか、翌25日はびっくりするくらい大勢の人で溢れかえっていました。
17時30分くらいから点灯とあったので、17時に現場へ向かうと東京駅の地下まで行列が出来ていました。丸ビル入り口付近まで延びた列の最後尾に並んでみたんですが、スタッフの方に尋ねるとミレナリオにたどり着くまでには2時間かかるとのこと!
2時間かけて並んで1時間かけてミレナリオを歩いたら単純に計算しても20時。はい、さっさと諦めました。
「いいよね、光の下を通れなくても。遠くから見る光もきっときれいだよ。まだ17時30分にならないから点灯も見られるし!」と慰め合って、歩道からこっそりと見ることに。
丸ビルの先の歩道からこっそりこっそり覗こうと人の波に飲まれそうになりながらてくてく歩って会場に着くと、あれれれすでに光が溢れてる!まだ17時30分にならないのに。

今年のテーマは「都市のファンタジア」ってことですが、色彩などにどことなくオリエンタルな香りを感じます。「日本から見たヨーロッパ」がコンセプトだそうです。

歩道沿いに歩いていると、実は中に入れるスペースがあるんですよ。で、入っちゃいました。
たくさんの人々が笑顔で光を見つめている様子は平和そのもので、とても大事なことなんだと実感。ニコニコと輝くたくさんの顔の後ろには、それを守るための多くの犠牲や努力があったことを少しは思い出さなくちゃバチが当たるわ、などと考えてしまいました。

コチラ↑は、国際フォーラムに近いお終いの辺り。たくさんの光と色に溢れ、ほんとうに綺麗でした。ありがとう、ミレナリオ

からからの喉を癒そうと飲み物を求めて国際フォーラムの方へ行くと、キリン氷結を配ってました!いただいたのはロゼスパークリング。
「いただきまーす!」とベンチに座ってゴクゴク飲んでしまいましたよ。美味しかったよ、ごちそうさまでした

東京ミレナリオ-公式ウェブサイト

NOEL

2005-12-24 21:32:33 | cinema
一年でいちばん独りぼっちが辛いのは、クリスマスイブなんだそうです。
日本では、結婚前の若者はパートナーと過ごし、結婚したら家族と過ごし、家族が欠けていくとどうなのかおひとり様で負け犬の私にはまだよく分かりません。
イブイブの昨日、映画『NOEL』を観ました。ストーリーはコチラ

とても悲しいけれど、決してヒトゴトではないエピソードがちりばめられていて、そのひとつひとつに涙してしまいます。
例えばローズ(スーザン・サランドン)のオリビア・メイのお話(このエピソードで、マスカラの半分くらいは流れました。)。レストランの「クリスマスが嫌いな理由コンテスト」で語られるのは、若き日に失った赤ちゃんのこと。「クリスマスが特に嫌いって訳じゃない」と話し始めるとお客からはブーイングが起こり、小さな手と小さな足の女の子オリビア・メイは、あんまり小さすぎて瞳の色を見ることなく死んでしまったと話しても、「それとクリスマスとは関係ないじゃない?」なんて言われてしまう。
でも、やっぱりクリスマスとは関係あって、次のシーンでは優勝賞品のクリスマスツリーを抱いてお酒を飲むローズの姿。くぅぅ、切ないよ。遣る瀬無いよ。
オリビア・メイのせいでクリスマスが悲しいのじゃないの。もちろん少しはそのせいもあるけれど、アルツハイマーで意思の疎通が図れないママのことや、頑張り過ぎちゃう自分、楽になろうと思えば思うほどがんじがらめの網目から抜けられなくなっている現実が、悲しいの。どうしていいのか分からなくなってるの。

クリスマスツリーがね、また悲しいんです。ママとローズの関係を象徴的に表していて、きれいなのに、とても悲しいんです。
他にも、ガラスの天使やスノードームなどのクリスマスグッズが効いていて、きゅるきゅると心の隙間に風が吹きます。チープなスノードームのペカペカしたライトが、すっごい悲しいの。あんまり効果的な小物使いにイヤになるほど。

悲しいのはローズだけじゃなくて、結婚式を1週間後に控えたニーナ(ペネロペ・クルス。綺麗で色っぽくてカッコイイ!フィアンセが焼きもち焼くのも仕方がないよねぇ、なんて思ってしまいますよ)、ニーナのフィアンセ・マイク(ポール・ウォーカー。初めて拝見する俳優さんですけど、ハンサムさんですね♪なんとなく親しみやすい感じがあって、ステキ~!)、14歳のときに病院で過ごしたクリスマスがいちばんの思い出というジュールズ(マーカス・トーマス。はまってます。ほんとに暗い過去を背負ってそうなところが…。)、マイクのことをよく知っているカフェで働くアーティ(アラン・アーキン。こちらがまた凄い。含みを持たせる演技がぴか一なんじゃないかしら。)、そしてそしてシークレットが!!あぁ、言いたいけれど言っちゃダメなんですよね。

クリスマスイブのニューヨークに散らばる悲しみたちをモザイクのようにつなぎ合わせて、小さな魔法を掛けると。。
小さな魔法とは、きっとみんなの希望なんです。もしかしたら、嘘なのかもしれない。デタラメなのかもしれない。
でもね、いいんです。嘘だってデタラメだって、それでハッピーなんだったらいいんです。
だからね、分かってしまうんです。マイクがアーティに言うコトが。ローズが言う台詞が。
だって、そうじゃなくちゃ映画じゃないですもん。
なんだかよく分からない三段跳びみたいなムリクリなまとめ方だけど、優しくて嬉しい幸せな気分になる映画でした。

いろいろとね、考えさせられることの多いクリスマスなんです。そういう年回りなのかな?そんなときに元気を貰って、その代わりに肩の力を抜きました。
明日はクリスマス。みなさまに、幸せが降りますように

勝手にキャスト~インファナル・アフェア

2005-12-22 23:33:36 | cinema
先日のお昼休み、「インファナル・アフェア」がハリウッドでリメイクされるという話題に盛り上がったんですが、ジャック・ニコルソンが原作のサムに当たるアイルランド系マフィアのボスで参加するらしいですね。
監督がマーティン・スコセッシ、ヤン役がレオナルド・ディカプリオ、ラウ役がマット・デイモンってことですが、マット・デイモンがラウかぁ。なんかイメージが狂うよ。。少し前ならトム・クルーズで決まりってとこだけど、もっと他に誰かいないんでしょうか?うぅ、マット・デイモンは好きじゃない‥‥。

同僚たちと、日本でリメイクしたらどうなる?というお話になり、ヤン役に哀川翔、ラウ役に竹内力、メリー役に川島なお美という何故かVシネ仕様のキャスティング。
これじゃああんまりだよ、ということで勝手にキャストしてみましょ。

ラウ(アンディ・ラウ)‥‥‥‥‥‥‥‥長瀬智也
ヤン(トニー・レオン)‥‥‥‥‥‥‥‥浅野忠信
ウォン警部(アンソニー・ウォン)‥‥‥岸辺一徳
サム(エリック・ツァン)‥‥‥‥‥‥‥北野武
若き日のラウ(エディソン・チャン)‥‥山田孝之
若き日のヤン(ショーン・ユー)‥‥‥‥森山未來
メリー(サミー・チェン)‥‥‥‥‥‥‥深津絵里
ドクター・リー(ケリー・チャン)‥‥‥松たか子
キョン(チャップマン・トウ)‥‥‥‥‥岡田義徳

うーん、ラウがピッタリこないかなぁ。ウォン警部ももっと誰かいそうだしなぁ。

続いて、歌舞伎仕様。

ラウ(アンディ・ラウ)‥‥‥‥‥‥‥‥仁左衛門さん
ヤン(トニー・レオン)‥‥‥‥‥‥‥‥吉右衛門さん
ウォン警部(アンソニー・ウォン)‥‥‥富十郎さん
サム(エリック・ツァン)‥‥‥‥‥‥‥藤十郎さん
若き日のラウ(エディソン・チャン)‥‥愛之助さん
若き日のヤン(ショーン・ユー)‥‥‥‥勘太郎さん
メリー(サミー・チェン)‥‥‥‥‥‥‥亀治郎さん
ドクター・リー(ケリー・チャン)‥‥‥菊之助さん
キョン(チャップマン・トウ)‥‥‥‥‥勘三郎さん

うーん、あり得ないようなキャスティングだわ…。上方vs江戸ってことになりましたね。ほんとは、菊五郎さんや玉三郎さん、福助さんも出したかったんですけど。。
明日は今年の歌舞伎納め。楽しんでまいります

『殺しの烙印』

2005-12-20 00:41:23 | cinema
「名画を見よう」企画の合間を縫って観ているのが、日活時代の鈴木清順監督作品。最近、近所のツタヤで入荷してくれたのでぼちぼちと。
ある程度まとまって観てから感想などをupしようと思っていたのですが、『殺しの烙印』を観てしまったら、無性に何か書きたくなってしまいました。
『野獣の青春』でハードボイルドなかっこよさと痛さを感じ、『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』ではコミカルさとアクションが楽しくて、そして共に今観ても全く遜色ないストーリーに「面白いぞ、かっこいいぞ」とワクワクさせてもらいました。

ところがところが、日活社長を怒らせたという『殺しの烙印』。さっぱりワケが分からない。やりたい放題というか、傍若無人というか、監督のワガママっぷりが花咲いたような映画ですよ。
ストーリーは割にきっちりしてるんだけど、映像がもうめちゃめちゃに突き抜けてるの。
ハダカと蝶と雨とフィルム…。絶対に普通のストーリーでは展開しえないような映像がぽんぽん出て来る。そして、普通じゃないシーンばかりが脳裏に焼きついてしまうから困る。

例えばハダカ。
殺し屋・花田(宍戸錠)と二人の女のハダカは、とても印象的だった。
花田の妻・マミは、出演している時間の80%くらいはハダカなんじゃないかと思う。でもね、なぜかエロく感じない。痩せて少年のような安い(失礼!)ハダカで、それが良くも悪しくも自然なの。
そのマミを貪る花田もすっごい健康的で、野獣のような性欲を見せながらもまるでエロくない。だいたい「ゴハンの匂い」で発情する男、って設定でエロを感じ取る人は少ないんじゃないかしら。
また、女殺し屋・ミサコのハダカは神々しいくらいに美しくて、このハダカでスケベな発想をできる人っていないよ。
でもね、この三人のハダカが印象的なの。すっごい生々しいのに、絶対に手に届かないところにあって、でもプンプン匂いが漂ってるんです。なんなんだろ?

また、影の街を歩く花田やミサコの部屋でフィルムを回す花田など、モダンな映像がこれでもかってくらい盛り込まれていて、いちいちカッコイイから困る。
なんで困るのかよく分からないんだけど、この映画を好きなのか嫌いなのか分からないのが困る原因なんだと思う。
娯楽性が高く、「面白いよ!」とオススメできる映画じゃないことは確かなの。『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』なんかは、「宍戸錠が踊ってるよ!面白いから観てよ」って素直にオススメできるんだけど、『殺しの烙印』はそうは言えない。
ミサコ(真理アンヌ)の美しさを味わうだけでも観た方がいいと思うし、意外なところでサービスしてくれてるから(殺し屋ナンバー2のとぼけた可笑しさなんか、大好き!)、かつての日活社長のように「訳の分からない映画監督は要らない」なんてことは言えないんだけれど、意味や理由を求めてはいけない映画だと思うの。
また、単純に誰もが楽しめる映画かって言ったらそうじゃない。でも、なぜか気になってあとを引くんです。
こんなふうに、ぐだぐだと何を言いたいのか分からないことを書くのは歯がゆいし、かっこ悪い。仕方が無いから、納得するまで観てみよう。

宍戸錠のカッコヨサを認識できたのは拾い物。オフィシャルサイトもカッコイイですよ→◆ DIRTY JOKER ◆ 宍戸錠オフィシャルサイト

クリスマスリース

2005-12-18 19:39:46 | flower
クリスマスまであと7日。珍しくテンプレートを変更しました。

先日作ったクリスマスリースは、フレッシュなスギを使って。
先生のおうちのスギの木は、この日のために丸裸。寒くさせちゃってゴメンナサイ、の気持ちを込めて思いきりたくさん入れました。
先が黄色いのは、雪冠杉。
お庭の杉と雪冠杉、ワイヤーを掛けたオーナメント(?)をぐるぐる巻きに一気に仕上げました。
  
玄関先に飾ったけれど、和風過ぎて微妙かしら?
Happy Christmas!!

祖母のこと

2005-12-16 00:30:54 | diary
茨城では、なぜかお祖父さんを「おじちゃん」、お祖母さんを「おばちゃん」という。では叔父さんや伯母さんはどうなのかというと、こちらも「おじちゃん」と「おばちゃん」だから区別できない。最近ではお祖父さんを「じいちゃん」おばあさんを「ばあちゃん」などと呼ばせている親も多いけれど、やっぱり私にとっての祖母はおばちゃんだ。

その祖母が夜中に救急車で運ばれ、そのまま入院したのが先週の月曜日。その週の土曜日にお見舞いに行った。
たくさんの管を体に着けられてベッドに埋もれるように横たわる祖母は、一目で分かるほどに痩せこけ、白髪は随分伸びていて、私は悲しい気持ちになった。
身内が言うのもナンだけどどこか上品な雰囲気があって、年老いても腰も曲がらず穏やかな目にも力があったのに、3年前に祖父が亡くなってからかなり落ち込んでしまい、入院後の1週間でさらに年老いたように感じた。

近寄っても反応が無く、話しかけてやっとこちらを向いた。
ところが、私の顔も忘れたらしく、ぼんやりしている。これはさすがにショックだった。
初孫だった私を、祖母も祖父も相当可愛がってくれ、お小遣い欲しさ半分に子供の頃はしょっちゅう遊びに行っていた。大人になるにつれて、だんだんと足が遠のき、最近は年に1,2度しか祖母の家を訪れなくなっていた。
たくさん可愛がってくれた祖母を、ろくでなしな私は飽きたオモチャのように部屋の隅に追いやってしまったのかと思うと、大きな失望を自分に感じた。

名前を名乗ると祖母は「あれぇ、○○かぁ。分かんなかったよ」と入れ歯を外した頼りない声でささやいた。
続いて「学校はもう終わったのか?」と聞く。
またもショックを受けつつも「学校はもう行ってないよ」と応えると、「なんだ、もう中学か?」と言う。
「学校は全部卒業して、働いているんだよ」と言うと、「あれぇ、知らなかった。どこに行ってるの?」などと返す。
しばらく、会話にならない会話を交わしていたけれど、次第に私が誰だか分からなくなっていくらしく、優しい色をしていた目がきつく変わっていく。
とうとう私を看護士と思い込んだ祖母は、着けている管を外せと言う。自分で外したくても、手にはグローブを嵌められ自由にならない。
次は、グローブを外せと両手を空に突き出す。駄目だと言うと、自分で無理矢理外そうとする。どうしても外れないのに。
子供のようになった祖母が悲しくて、グローブの上から手をさすると、皮も無く骨ばかりの手があった。

このときは、お見舞いに赤とオレンジのガーベラを持っていった。本当は大きな花瓶にいっぱいのお花を持っていきたかったのだけど、置くところもないし手が触れると危険だから、と言われ小さな小さな備前焼の花瓶にほんの少しのお花。
花を見せると「きれいだね」と言ってくれたことだけが、嬉しかった。
今日聞いたら、お花は少し萎れてきたという。
また、お花を持っていこう。そんなことで、私のロクデナシさが軽くなるとは思わないけれど、きっと単なる自己満足に過ぎないのだけれど、おばちゃんに会いに行こう。
小さく少なくなっていく命をきちんと見守ることは、人として大事なことで、祖母はそれを私に教えてくれるんだ、きっと。

小さくショック

2005-12-14 21:20:59 | diary
最近、めっきり寒くなってしまい、朝は起きられないし夜はだらだら。冬眠してしまいたいよ。
冷え性でもあるので、電気毛布は必須アイテム。今も、ベッドに入って電気毛布をONにしてPCに向かってます。
コタツを出すと抜けられなくてだらけちゃうから、という理由でコタツを作ってないのに、これじゃ全然意味がない…。
今朝は昨日のお酒が残り、なかなか起きられずバタバタと出勤しました。
帰宅した私を待ち受けていたのは、ONのままの電気毛布 orz orz orz(←これ、一度使ってみたかったのよね~)
あーあ、電気代節約してるのになぁ。
タイトルは「小さく」にしてあるけど、実は「大きく」ショックを受けた。ちょっと、イヤになるくらいケチケチなところがあるのよね、私。
駐車場代を浮かすためにテクテク歩いたり、レンタルビデオは半額になる火曜日しか利用しなかったり。
それなのに、銀行へお金を下ろしに行ってATMに下ろしたお金を残して帰ってきたり…。もちろん、お金は後からやって来た運のいい誰かのモノ。
あーあ、ちゃんとしなくちゃね。

『カサブランカ』

2005-12-12 23:59:59 | cinema
旧作シリーズ第2弾は、『カサブランカ』。1942年のアメリカ映画。
タイトルのカサブランカは、フランス領だったモロッコの都市。恥ずかしながら、存じ上げませんでした。百合の名前がタイトルなんだって、ずっと思い込んでいました。あぁ、恥ずかしい…。
慌ててモロッコについて調べると、アフリカ大陸の一番上の左端、スペインのすぐ近くなんですね。首都はラバト。1912年から1956年までフランスの保護領となっていた立憲君主制国家。モロッコ王国(Kingdom of Morocco)が正式国名。って、全然知らなかったわ。。

さてさて映画『カサブランカ』はウィキペディアによると、アメリカの国威発揚のための国策映画とのこと。知らずに観たんですが、そう言われれば確かにドイツ軍の将校の描き方はとても大雑把。そこだけはとても詰まらないけれど、この映画、とても好きです。何がって、もうハンフリー・ボガードがかっこよすぎる!!
以前に『マルタの鷹』を観たときは「ハードボイルドだわぁ。立派なお顔だわぁ」といった程度で、それほど魅力を感じなかったんですが、『カサブランカ』では、ボギーの為の映画と言ってもいいくらいに魅力的な主人公・リックを演じてます。

始めは、よくわからないんですよ。特別にハンサムな訳でもないし、スタイルがいい訳でもない。「ふむふむ、バーを営むやり手の男なのかな?人付き合いが上手い訳じゃなさそうだし、一体どこに人を惹きつける魅力があるんだろう?」と。
ところが、映画が進むにつれてどんどん面白くなっていく。
例えば、リックに惚れて酔った女に誘われる。
女「夕べのことを憶えてる?」
男「そんな大昔のことは忘れた」
女「今夜は、会える?」
男「未来のことは分からない」
ですって。いやいや、素でこんなこと言える人いませんよ。でもね、ボギーにとっては普通なのよ。その辺のオトコが言ったら「頭ぶつけたんじゃない?」なんて鼻で笑われるような台詞もボギーの言葉になったら、アリなの。
しかもこの後、女のことを従業員に家まで遅らせるの。この従業員は女のことが好きなのね。「あんまり遅くなるなよ」なんて言って見送るボギー。
フランス側のルノー署長がリックのことを「女だったら惚れずにいられない男だ」なんて言うけれど、男でさえも惚れてしまうような男っぷりの良さ。
だって、凄く可愛いんですよ。
仏頂面をとおしてるくせに、好きな女の前では別人のように饒舌で、キラキラと輝いているの。あの有名な「君の瞳に乾杯!」なんて歯が浮くような台詞を臆面も無くさらりと言ってのける。いい意味での「少年の心を持った大人」のひとコマを見せ付けられるのね。
そんなところを見てしまったら、もう惚れますよ。
男に対しても、とても真摯なんですね。ラズロという社会、と言ってもいいのかな。かつて愛した女の夫であり反ナチスの旗手(アメリカのヒーロー)であるラズロと対峙するリックは、ばかばかしいくらいに公明正大な男なんです。その匙加減がいやらしくは感じられず、また男っぷりを上げてしまう。
だからきっと、女からも男からも惚れられるキャラクターなんだろうなぁ。

相手役のイングリット・バーグマンの悩ましい程の美しさ(なんでこんなに清潔な人妻役が似合うんでしょう)とか、ルノー署長の明るいずるさ(この人、最後の最後にいいところ持って行きます)とか、ピアノマン・サムを巡るエピソードとか、脇がしっかりと固まっていて面白いなぁ、と思ったんですが、実際には撮影現場はバタバタしていたらしい。
クランクインしても、台本は上がらずどんな結末になるのかは誰も分からなかったそう。そう聞くと、「なるほど、ボギーのあの無表情はどんな表現をしたらいいのか分からない故の無表情だったのかな」なんて下世話なことを考えてしまう。
けれど、そんな嘘みたいなエピソードを含めてもこの映画、傑作ですよ。キャストやスタッフ、そして大衆(私にとっては苦手なアメリカという社会)が作った映画なんでしょう。
めずらしく、俳優さんにときめいてしまった103分でした。でもほんとはね、「君の瞳に乾杯!」なんて言われたらいくらボギーでも引いてしまうよ。