Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

秀山祭九月大歌舞伎千穐楽 夜の部2

2006-09-28 23:24:59 | kabuki
昨日の日記に引き続き、秀山祭千穐楽夜の部の続きを書いておこうと思います。最近、とみに忘れっぽいので

*菊畑*
染五郎さんの虎蔵がなにやら色っぽかったなぁ、とか芝雀さんの皆鶴姫が可愛かったぁ、と断片的な記憶はあるのですがどうも全体的にだらけてました、私。
以前、初めてこのお芝居を観たときは、鮮やかな舞台と役者さんに釘付けだったんですけど、どうもノレませんでしたねぇ。台詞や義太夫さんを楽しむことを未だ出来ないからでしょうか。
ずっと、現代の音楽(五線譜に乗っかってしまうもの)を聴いて育った私には、邦楽の魅力を感じる力が無いんですよねぇ。。「語る」音楽が苦手です…。あーあ、日本人なのに。。。

*鬼揃紅葉狩*
邦楽が苦手と言いつつも、これは楽しかった!
常盤津、浄瑠璃、大薩摩、鳴物と聴きごたえのある(ある意味、見ごたえもありました。大薩摩の文五郎さんのお顔が真っ赤になってくのが楽しかった)音で、感動さえ憶えました。もちろん、内容を分かればさらに面白いんだろうけど、踊りのときの音はお芝居に比べてすんなり耳に入るような気がします。なんでだろ?
で、こちらはなんと言っても染五郎さんの更科の前の美しさ、でしょうねぇ。お声はちょっと微妙だったけど、綺麗かったです!
そして、侍女たちがまた美人さん揃い。吉之助さんの女形ってどうなんだろう?と思っていたけど、いえいえとても素敵でした。高麗蔵さん、吉弥さん、宗之助さんと粒揃いで、すっごく素敵な侍女でした。中でも、吉弥さんを追いかけてましたよ。なかなかお目にかかれないような気がしますからね。
対する平維茂とその従者たちも素敵でね。信二郎さん、松江さん、種太郎くんのバランスがよかったです。おっとりとすっきりハンサムな信二郎さんに、キリリと凛々しい松江さんと種太郎くん。
そしてそして、末社の神さまの4人(神様も「人」でいいのかしら?)の廣太郎くん、隼人くん、廣松くん、玉太郎くん。廣太郎くんと隼人くんはもう声変わりしてるのね。隼人くんはすっかり子供を抜け出してシャープなお顔でしたね。玉太郎くんが可愛くって、小さな体をいっぱいに使って見得を切る姿に客席は大喜びでした。私の中では松江さんを揺り起こそうとするのが、ツボでした。
染五郎さんたちが鬼になってからが、また良かったです。とても綺麗だった侍女たちも恐ろしく迫力のある眷族になり、5人の迫力が凄かった!花道でのポージング(?)がかっこよかったなぁ。
9月の締めくくりに相応しい華のある一幕でした。


さて、10月の東京では歌舞伎座と国立劇場とで歌舞伎の舞台があるというのに、なんとなくぼーっとしてしまってまるで計画を立てていません。いつのまにか11月の演舞場のチケットは発売されていたし…。あーん、これからでも間に合うかなぁ?

秀山祭九月大歌舞伎千穐楽 夜の部1

2006-09-27 20:22:11 | kabuki
二度目の秀山祭夜の部に行ってまいりました。
菊畑、籠釣瓶、紅葉狩と魅力的な夜の部ですが、やっぱり籠釣瓶です!最初に観たときは、八ツ橋(福助さん)に感情移入し過ぎてしまったせいで、どうも腑に落ちなかったんですが(3階席と1階席の違い、というのもあるのかもしれません)、吉右衛門さんの次郎左衛門の狂気がぞくぞくと感じられて凄く凄く面白かった。

昨日のお芝居を振り返る前に、初めて観たときに感じたことを少し。
まず、これは「吉原仲之町」のお話だ、江戸のお話だ、ということでした。つまり、現代ではあり得ないお話だと思いました。
まず、見染の場。八ツ橋の出にアイドル的に醒めていて退廃的な美しさを感じました。それはあの笑いもそうで、吉原という場所に住む花魁(アイドル)がふと解放されたときに見せた笑い(営業スマイルじゃなくて、素の笑いなのかしら)と思ったんです。そこにまんまと嵌ってしまった次郎左衛門、と思いました。実は、私もこの福助さんの笑いに嵌ってしまい(笑。えへへ、仕方ないです。福助さん、好きなんですよね~)、このときは、福助さんしか目に入らなかったんですね。
で、縁切りの場では栄之丞のために心ならずも次郎左衛門に縁切りしなければならない八ツ橋の辛さをしみじみと感じて、涙ぐんでいました。そして、次郎左衛門も八ツ橋の間夫・栄之丞の存在を知り許してくれたんだ、と思いました。
なのに4ヵ月後、吉原に現れた次郎左衛がいきなり八ツ橋を斬り付けるのはどういうこと!?と不意打ちを喰らったように訳が分かりませんでした。大詰までは凄くいいのに、この結末が全く理解できなかったんですね。
というわけで、この日記にもupしませんでした。今なら分かるのか、って言われたら半分も分かっちゃいないのかもしれませんけど…。

さてさて、千穐楽の籠釣瓶。

もともとは、吉原の花魁である八ツ橋と、籠釣瓶という妖刀と因果譚を持ってしまった次郎左衛門が出会ったお話、だったんでしょうか?しかし、東京(茨城だけどさ…)に生きる私たちには、吉原も籠釣瓶もまるきり隔世のこと。
そのお話がこんなに面白いのは、花魁という宿命を背負ってしまった一人の女である八ツ橋と、誠実でありつつお金もあるという(今はこんな人、いないよね)ごく普通の男・次郎左衛門に宿った狂気をたっぷりと見せてくれるからかしら。

*序幕
吉右衛門さんの次郎左衛門はとっても気持ちのいい商人で、お金持ちなのに偉ぶらず、痘痕面の不気味さも見る側に憐憫を感じさせてしまうくらいの気持ちの良さで、歌昇さんの治六ともいいコンビ。
八ツ橋に一目ぼれしてしまうのが、なんともいえず可愛いの。すごく気持ち悪い顔なんだけど(失礼。)、とても簡単に分かりやすく恋に落ちてしまうのが全く恥ずかしくなくて可愛かった。

一方、八ツ橋は兵庫屋一の花魁のプライドを見せてくれる花魁道中で、またまたうっとりとしてしまいましたよ。笑いの場は、初めに見たときのほうがたっぷりしていた気がしたけど、それは私の体内時計が狂っていたのかもしれません(笑)。次郎左衛門に向けての女らしい笑いであったと、思いました。

*二幕目
立花屋の主人に幸四郎さん、女房に東蔵さん。東蔵さんのおかみさん役って、安心して好きです。
次郎左衛門はすっかり廓通いが板に付いていて、序幕との違いも面白い。で、すっかり八ツ橋にメロメロなのね。でも、八ツ橋にとっての次郎左衛門は客でしかない。女郎とお客という関係を保っていて、その上での甘えや媚びであると思いました。
そして、栄之丞(梅玉さん)の登場。浪人で八ツ橋に養ってもらっているくせに、すっきりと姿がいいから厄介です。そしてもうひとつ厄介なことに、栄之丞もまた八ツ橋を好きだってこと。どうしようもない男でも八ツ橋にとっては彼が一番で、どうしようもないことに次郎左衛門より栄之丞の方が素敵なんだもの。
見た目より中身が大事なんて言っても、生理的な部分で受け入れられないものはあるし、次郎左衛門とはお金で繋がっているからどうしても情は栄之丞に流れる。そんなことを思ってしまうのは、私が女だからなのかなぁ。

*三幕目
八ツ橋と栄之丞との絡みは、この幕だけだったんですね。でも、この二人の関係が凄く密に感じられました。
思えば、栄之丞って酷い男です。女郎という八ツ橋のおかげで生活しているのに、その客と切れろと言う。でも、八ツ橋は栄之丞と別れたくはない。それを分かった上で無理を言ってる訳じゃなくて、栄之丞は本当に八ツ橋を愛しているんじゃないかしら。次郎左衛門への嫉妬(栄之丞には金がない)と八ツ橋への執着で切れろと言っている、と感じました。

だから、次郎左衛門への待つ部屋へ入る八ツ橋は茫然自失で、それを不機嫌な様子に置き換えているんだと思いました。そして、次郎左衛門に身請けの話をきっぱりと断る。
突然の愛想尽かしに驚きながらも、なんとか八ツ橋を思い留まらせようとする次郎左衛門は、どんなになじられても八ツ橋のことだけを思いやる優しさに溢れ、その優しさの分だけ八ツ橋はなお辛くなる。
その場の芸者や幇間たちに諭されても、ただただ断ることしかできない八ツ橋があわれで、そして八ツ橋に嫌われてもまだ八ツ橋を思い、仲間に嗤われても小さく小さくなって耐える次郎左衛門が悲痛で、舞台に見入るばかりでした。
次郎左衛門の「花魁、そりゃああんまりそでなかろうぜ」の台詞が痛切に胸に響き、それを聞く八ツ橋の痛々しい顔がまた苦しかったです。

部屋を出る八ツ橋が次郎左衛門に目を背けるのも、次郎左衛門もまた俯くばかりで顔を上げられないのも、それぞれの胸のうちと境遇を分かってしまっているからが故、と思えて切なくなりました。
そして、廊下にでた八ツ橋に声を掛ける九重(芝雀さん)と八ツ橋もまた良くて、花魁であり女であることを知る九重の八ツ橋を思いやる心持ちが素敵でした。でも、九重に慰められればまた八ツ橋は辛くなる。
きっぱりと愛想尽かしをしながらも、男としての次郎左衛門に魅力は持てないでいても、やっぱり八ツ橋は己のした仕打ちを悔やんでいて、でも栄之丞を思うとどうしようもない遣る瀬無さを廊下にでた福助さんはたっぷりと見せてくれて、だから「つくづくいやになりんした」という八ツ橋の台詞がいつまでも耳に残りました。

八ツ橋が去り、同業者仲間や芸者たちが去り、がらんとした部屋に残された次郎左衛門の打ちひしがれた様子が堪らなかったです。
そして、九重のまた遊びに来てくれという誘いに、「ことによっては」と答える次郎左衛門の目に宿る一瞬の狂気が非常に恐ろしくて、あぁこのときに次郎左衛門は籠釣瓶を握ってしまっていたんだ、と気付きました。吉右衛門さん、形相が変わってましたね。怖かった。

*大詰
さて、問題の(?)大詰。初めて見たときは、八ツ橋を許した筈の(と勝手に思っていた)次郎左衛門がなぜ突然籠釣瓶を握るのか分からなかったわけですが…。
三幕目の終わりで、次郎左衛門はもう言いようの無い狂気を抱えて佐野に帰っていたんですね。だから、4ヵ月後に立花屋へ来たときは既に八ツ橋を斬るつもりでいたんでしょう。
なんで八ツ橋を斬ろうと思ったのか、は次郎左衛門自身も理解できなかったのかもしれない、と自分に都合のいいふうに思っていますが、そういう己の理解を超えた感情を狂気と言うんだとすれば、それでいいのかもしれません。
次郎左衛門は八ツ橋を斬り、女中お咲(紫若さん)を斬り、籠釣瓶に見入ります。斬られた八ツ橋はゆっくりと音も無く海老反りで床に倒れて行きますが、25日間もこんなにも美しく死んでいた福助さんは凄いなぁとしみじみ…。
次郎左衛門の目は、妖刀を見ているというより、妖刀に潜んだ次郎左衛門自身を見ているように感じました。吉右衛門さんから漂う凄まじい侠気が本当に怖かった。
凄く怖くてとても切ないお芝居でした。


*おまけ
吉原という今はもう行くことのできない廓の風俗がとっても楽しかったです。やっぱり、「花魁道中」の豪華絢爛さが素敵でしたね~。
役者さんたちの衣装も素敵でしたが、ところどころに見られる紋もまた面白いですね!八ツ橋の部屋にあった祇園守と裏梅模様とか。栄之丞の下げていた手拭いも裏梅なんですね。
勘三郎襲名興行のときの「籠釣瓶」は見逃した(というか、見なかったというか)んですが、いろんな役者さんの「籠釣瓶」を見たくなりました。亀治郎さんの八ツ橋と信二郎さんの栄之丞とかね。うーん、次郎左衛門は誰かなぁ。
そうそう、この幕の後のロビーで児太郎くんを見かけました。あと一人の小さい人は宗生くんだったのかな?彼らの「籠釣瓶」を見る日が楽しみだなぁとぼんやり思いました。いい役者さんになってね、なぁんて言うまでもないか。

秋のお散歩

2006-09-25 23:20:13 | diary
一日ごとに夏の気配が薄くなって、もう秋ですね。
冬に近づいていくことは少し寂しくなるけれど、お散歩するにはうってつけで楽しくなります。


乙女心と秋の空、ってほんとにぴったり。朝は空の大部分がうろこ雲で覆われていたんですが、お昼前にはとても気持ちのいい空が広がっていました。あんまり気分がいいから、仕事の途中で現場の写真と一緒に空も。
午後はどよんとした空に変わっていましたが、夕方には西の空にすじ雲を従えて茜色の夕焼けが見られました。明日は、久しぶりに雨降りのようですね。


お使いに出たら、空き地にヒガンバナを見つけました。曼珠沙華に死人花、狐花など多くの異名を持つようですね。
ハミズハナミズ、というのは最近知りました。花と葉が一緒には見られないことから言うようです。
花言葉は、「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」。うーん、なかなか意味深なお花だわ。

 
くんくんなんだかいい匂い、と見ると柿の実。いえいえ、匂いの正体は金木犀でした。
私の住むまちにはほとんどの家の庭に金木犀があり、この季節にはどこにいても金木犀の香りが漂ってきます。
幼い頃の金木犀の一枝が挿してあったおばあちゃんの家のお手洗いを連想してしまうのも、まあいい思い出ですね

深まる秋を探すため、これからしばらくはスニーカー通勤になりそうです

ハッピーバースデー

2006-09-23 00:51:01 | diary
私が小学生だった頃、まだケーキは珍しく、月に一度食べられるかどうかという贅沢なお菓子でした。
たまに買って来てくれるのは、隣町の商店街にあったパン屋さん兼ケーキ屋さんの三角形のショートケーキ。私と妹は決まってイチゴショートかメロンショート。父はチーズケーキで母はモンブランでした。
駅前には不二家もあったのですが、我が家では商店街のケーキ屋さんのケーキが定番で、幼い私はそのケーキ屋さんがいちばん美味しいと信じていました。
いつも買っていたケーキ屋さんが無くなって、別のケーキ屋さんで買うようになっても、ショートケーキとチーズケーキとモンブランという組み合わせは変わりませんでした。

それから随分時が経ち、大人になった私が買ったケーキも父にはチーズケーキ、母にはモンブラン。
商店街にケーキ屋さんは無くなって、郊外に出来た小さくてつやつや光るケーキがたくさん並ぶオシャレなお店で買ったケーキは、子供の頃に買っていたふわふわしたのじゃなくてチーズの味の濃いハードなチーズケーキと、栗がまるごと入っているお酒が効いたモンブランでした。
うきうきした気分で家族にケーキを披露したら、母から意外なことを言われました。
「お母さんね、ほんとはモンブランは好きじゃないの」
私が知る限り、母が食べていたケーキのほとんとはモンブランだったはず。
だって、モンブランばかり食べていたじゃない?と問うと、
「モンブランは安かったから、買っていたんだよ」

私の家は私が思っていた以上に貧しかったんですが、私がそれを知らずに過ごした蔭には、母の倹しさがあったんだとそのときに初めて気付きました。
だから、それ以来私はいろんな種類のケーキを買うようにしました。宝石箱のように光る美しいケーキたちに、我慢ばかりしていた母を慰めてもらおうと思ったんです。
たまにモンブランを食べるようになった母は、「最近のモンブランは美味しいねぇ」などと笑っています。

昨日は母の誕生日でした。フルーツがたくさん入ったケーキを前に母は、珍しくはしゃいでいました。
へそ曲がりで照れ屋な母と私は仲良し親子とは言えませんが、ケーキを挟んで「美味しい」を共有し、いつもよりは大分仲良くなれたような気がします。
サンキュー、ママ。不肖の娘だけど、これからもよろしくね。

どうでもいい話ですが…

2006-09-22 21:01:17 | news
常々思っていたんですけど、自民党総裁になった安倍晋三さんて、ケンケンに似てません?どうでもいいことですけど。。

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あははは、前回に続き本当にどうでもいいコトでしたね。ごめんなさい

試される安倍氏の手腕、財務省内には減税先行に懸念も (ロイター) - goo ニュース

お節介な話ですが…

2006-09-20 23:44:15 | news
ジョージ・ルーカス監督のお髭は、これでいいんでしょうか?
かつて顔であった名残を無理矢理に偲んでいるように思われて、なんとなく動揺してしまいます。



カーネル・サンダースさんのようにスッキリされた方が似合うと思うんですけど。
えぇ、大きなお世話ですよね、ごめんなさい



G・ルーカス監督、母校へ史上最高額の寄付 (ロイター) - goo ニュース

『ミーナの行進』小川洋子

2006-09-19 21:18:25 | book
いとこ同士って、ちょっと特別な関係だと思います。あまり会う機会は無くても大人になってもちゃんと繋がっていて、年が近ければうんと仲良しにもなれる。
私にも仲良しのいとこがいて、小さなころはしっかりしたお姉さんだったいとこも、大人になった今は結構でたらめでキュートな人になっています。でも、ふっとした時に子供の頃のくだらなくも愛おしいデキゴトを思い出し合ってクスクス笑ってしまいます。ときには歌を歌いながら。子供の頃の私たちのテーマ曲は、なぜか「キャンディ・キャンディ」の”ラ・ラ・ラ、キャンディ~♪ラララララ、キャンディ~♪”だったんですよ。あははは、これを知る人は今となっては少ないだろうなぁ。

さてさて、小川洋子さんの『ミーナの行進』を読みました。
小川洋子さんの小説の登場人物たちはたいてい何かを失っていて、その透き間を流れる切なさや、透き間たちの作る小さく幸せな結晶がとても美しくて、きゅるると心に響きます。
『ミーナの行進』は、主人公・朋子が、芦屋の叔父さんの家で従妹のミーナと過ごした中学1年生の1年間を描いたすごく愛おしい小説です。
登場人物たちがとても素敵で、コビトカバのポチ子に乗って小学校に通うミーナ。ドイツ人の母を持つダンディな会社社長(「フラッシー」という飲料水メーカー)の伯父さん。タバコとお酒と誤植探しが趣味の伯母さん。ドイツ人で双子だったローザおばあさん。ローザおばあさんと仲良しの家政婦の米田さん。庭師というかポチ子の世話係の小林さん。もちろん、カバのポチ子も重要な登場人(河馬)物の一人(一頭?)です。
ホテルの料理長が夕食を作りに来てくれるような裕福な一家にも、ふっとした透き間があります。例えば、ミーナはそれはそれは美しい娘でありながら、喘息で一人で学校に行くこともできない。伯父さんは美しい娘や立派な家がありながら、なかなか家に帰らない。それでもミーナ一家はなんとかバランスを取りながら芦屋の大きなおうちという限られた空間の中で愉快に過ごしています。
朋子とミーナの生活を彩るのは、今はなくなってしまったフレッシー動物園、密かで純粋な初恋、ミュンヘンオリンピックの男子バレーボールチーム、ジャコビ彗星、マッチ箱に描かれたミーナと朋子だけの秘密の物語…。ひとつひとつのモチーフがキラキラと鮮やかに語られ、あぁ、この作家さんを好きで本当によかった!と思いました。男子バレーの試合の様子では、全く知らない猫田というセッターのファンになりそうでした(笑)。
『ミーナの行進』というタイトルは、ミーナとポチ子の登校する様子から付けられたんだろうと思っていましたが、最後の最後に本当の意味が分かります。それが、すごくすごく嬉しくてまたまたこの小説が愛おしくなりました。
秋の夜に、とても素敵な小説をプレゼントしてくれた小川洋子さんにありがとう!な一冊でした。あ、川端康成をちゃんと読んでおこう、と思いましたよ、私

夏仕舞い・秋支度

2006-09-17 23:33:03 | flower
この連休は、少しずつ夏のお片づけをしています。
片付けたものは下駄、サンダル、風鈴、ヒトデ…。大きくなりすぎたアロエやハーブたちを引っこ抜いて株分けしたり、夏仕様のカバー類を洗ったり。カーテンも洗いたかったけど、明日の関東地方は雨みたい。

 

こちらは8月の終わりに作ったアートフラワー。
ワイヤーに蔓やハートカズラ、グリーンネックレス、ワイヤーに通したパールと小さな実を絡ませて、お花と葉っぱをぺたぺたとくっつけたら出来上がり。
友人が作ったのはシンプルでオシャレな雰囲気だったけど、私のは不恰好でアジアの雰囲気。なかなか気に入ったけど、もうお片づけかしら。。
もう少し、せめて9月くらいは飾っておいてもいいかなぁ?

明日は雨。お出掛けするのが面倒になってきました。お部屋でのんびりと秋支度をしようかな。
秋と言えば、今日はいただいた栗で栗ごはん。ほくほくで美味しかった!食欲の秋、到来ですね♪

非対称形の花嫁の花束(花束じゃないけど)

2006-09-16 23:39:31 | flower
すっかりご無沙汰してしまった[flower]へのエントリーです。まずは、今週作ったアレンジ。本当はブーケホルダーを使うらしいけど、縦長の花器に入れました。

 

いつもの8:5:3の比率に縦方向が加わり、8:5:3:3になります。難しかった~半分以上を先生に作っていただきました

花材は、
デンファレ、スプレーバラ、スプレーカーネーション、ナデシコ、センニチコウ、マリンブルー、ワックスフラワー、ミリオ、ゲイラックス、リキュウソウ、リリオペ
  かな?(メモを忘れてしまったので、間違えてるかも。)


おまけ
花材が余ったので、ぐい呑みやなんかにちょこちょこ入れてみました。こっちの方が家族には好評だった…。

    

『フラガール』

2006-09-14 21:53:14 | cinema
茨城に住む私にとって、子どもの頃のお出かけ先は1.大洗水族館 2.小山遊園地 3.常磐ハワイアンセンターでした。
私が生まれたときにはもうハワイアンは存在していて、子どもの私にはそれが特に不思議なこととも思われずに、ウォーターシュートやダンスショーを楽しみました。
ハワイアンの中はぽかぽかと暖かくて、見慣れない熱帯の樹、ハワイのダンスショーと非日常の空間だった筈ですが、幼く何も分からない私はハワイアンとはこういうものだ、と本当のハワイの存在も知らずに水着で駆け回っていました。
物心付く頃には、「なんで福島でハワイなんだ?訳分からん」と単純に、東北に存在した常夏の島・ハワイという異空間を皮肉るようにせせら笑っていたこともありました。今にして思えば「バカにしてごめんなさいハワイアン」なんですが、それは私に限らず多くの人が抱いている常磐ハワイアンセンター(今は「スパ・リゾート・ハワイアンズ」ですね)のイメージだと思います。

映画『フラガール』の試写に行きました。
常磐ハワイアンセンターに対するイメージ同様に、田舎を舞台にしたちょっと気恥ずかしいコメディなんだろうとタカを括っていた私は、またもや「バカにしてごめんなさいフラガール」と頭を下げて涙を拭きました。

いわき市はかつて、炭鉱の町だったそうです。日本には800以上の炭鉱があったそうですが、現在は石炭技術を海外に移転する研修事業を目的とする釧路コールマイン(株)のみが稼動しているようです。800の炭鉱において、閉山に伴う800のドラマ(カタカナ3文字で表すことなんて出来ない数限りない人の人生、ですね。)があったんでしょう。炭鉱閉山を背景にした映画はイギリスの『ブラス!』や『フル・モンティ』が有名ですが、日本においても大きな社会問題だったことでしょうね。
この映画はいわき市の炭鉱で実際に起こった閉山に伴うお話を描いていますが、その炭鉱を経営していた常磐炭礦株式会社のユニークなところは炭鉱にとってマイナス要因であった温泉を、「温泉施設」というプラスに転換する発想です。しかも、目指すはハワイ!閉山という暗く希望を失いそうな中で、なんて能天気で可愛い考え方でしょう!!
今となっては可愛いなんてふざけたことを言えるけど、炭鉱夫たちにとっては最悪の代替案だったでしょうね。行き先の見えない中で突然ハワイなんて言い出した経営陣に対して、怒りしか生み出せなかったでしょう。炭鉱で働くことが全てで、それは暗く厳しい肉体労働なんですから。第三次産業なんて、彼らの意識の中にはないんですね。だから、「一山一家」といいひとつの家族のような絆で結ばれていた炭鉱の中で、家族の中で悲しい亀裂が生じてしまう。

さてさて、映画『フラガール』。
常磐ハワイアンセンターという日本発のテーマパークの呼び物の一つがハワイやポリネシアの島々の民族舞踊。そのために『常磐音楽舞踊学院』が設立され、講師として東京のSKDから呼ばれたまどか先生(松雪泰子)と生徒たちの交流を柱に、友情、家族、炭鉱を描いた映画です。
『常磐音楽舞踊学院』の生徒で炭鉱の娘たちが、蒼井優、しずちゃん、池津祥子、徳永えり。
蒼井優という女優さんは、『タイガー&ドラゴン』の頃から不思議な存在感で気になっていたんですが、本当に天才なのかもしれません!福島弁を操り(茨城県民の耳には、彼女の福島弁がいちばん上手かったと思いました。福島県の方にはどう聞こえるのかな?)、小さな体に炭鉱の娘としてのプライドとダンスへの情熱を纏った演技。そして何よりも生きることがとても楽しいと思わせてくれるような屈託の無いスクリーンを突き抜けてくる笑顔。ちょっと、トリコになってしまいましたよ(笑)。
そして、蒼井優演じる紀美子の母親に富司純子。炭鉱に生きる女の強さを存在感たっぷりに表現していて、この二人の親子が凄く凄くよかった。息子役のトヨエツが翳んで見えてしまいましたよ。
紀美子の仲間・南海キャンディーズのしずちゃんがまたすっごく可愛いの。でっかくって。あのテレビで見せているキャラクターが生きていて、ふふふっと笑ってしまう。で、泣かされてしまうの、しずちゃんに。
「一山一家」というのは炭鉱の言葉なんだろうけど、その精神がフラガールたちにも芽生えてきてね、ぽかぽかと温かくなってきます。まどか先生とフラガールたちの情熱が客席にも舞い降りてきて、ラストでは思わず体が動きそうになってしまう。ま、根が単純なんで。

9月23日から公開されるようですが、ご覧になられる方はぜひ最後まで席を立たないでください。きっと、福島のハワイに行きたくなりますよ♪

『フラガール』オフィシャルサイト
ヒストリー特集|スパリゾートハワイアンズ