Daily Bubble

映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

クリスマスなキリンジ

2004-11-29 21:40:25 | music
もうすぐ、クリスマス。
あちこちでクリスマスツリーが飾られていますね。
今年はどんなクリスマスソングが聴かれるんでしょう?

ずっと昔にフリッパーズをやめた小山田くんが出したトラットリアのCDとVTRのボックスはよかったな。
シーズンボックスとして売り出すのかと思ったら、その後は見かけなったけど…。

キリンジのファーストアルバム「Paper Driver's Music」は私にとってめちゃめちゃクリスマスなアルバムだった。
クリスマスって言うか、冬って言うか、年末って言うか。
スイートで柔かいサウンドにちょっとエグい歌詞が良い。
かっこつけてる(つもりの)音に左耳を通り過ぎていくだけの言葉の音楽が多いなか、キリンジの言葉は耳からちゃんと体に入ってきた。

今年のクリスマスにはホリヤマグミ(キリンジ弟堀込泰行・畠山美由紀・ハナレグミ)のライブもあるらしいですね。
いいなぁ、温かそうで。。

マイライフ・アズ・ア・ドッグ

2004-11-27 17:45:23 | cinema
あぁ、人間てなんてこんなにどうしようもなく幸せなんだろうと気持ちが温かくなりました。

ラッセ・ハルストラム監督の初期の映画で、主人公はあんまり幸せじゃない男の子イングマルです。
お母さんは病気がち、お兄ちゃんは意地悪で、お父さんは地球の反対側でバナナ採り(?)。
大事なのは、飼い犬のシッカンとお母さんと遊んだ夏の日の思い出。
お母さんが入院するため遠い親戚のおうちに預けられるけど、ここの人たちが少しずつ風変わりなの。
現実と理想とのギャップを埋めることが下手なのね。

なんだかんだ言っても、人にとっていちばんなのは自分でしょう?
でも、10歳くらいの男の子にとっては辛いよね。
だから、彼はいつも比べるの。
スプートニクに乗せられて宇宙へ旅立ったライカ犬よりは、まし。

イングマルの人生はだんだん厳しくなっていって、彼も混乱してくのね。
混乱の中で、自分よりも不幸せな事柄を探して、徐々に折り合いをつけていくの。
彼もそうだけど、彼のまわりの人々も。
で、いちばん大事な自分の周りにはたくさんの人々がいて、二番目や三番目かもしれないけれどやっぱり自分は愛されているんだよって気づかせてくれるの。
犬のようなぼくの人生だけど、なかなか捨てたもんじゃないよって。

蛇足だけど、イングマルって「ポンヌフの恋人」のアレックスに似てた…。
気のせいだろうけど。

苦い、クスコ

2004-11-24 23:44:03 | diary
海外旅行保険って、あんまり意味ないかなぁと思ってしまいますよね。
生まれて初めて旅行保険を使ったのは、ペルーでした。
テロに巻き込まれたわけでもナスカの地上絵ツアーでヘリから落ちたわけでもなく、単なる腹痛ってとこがまた痛いけど…。

飛行機を乗り継いで、たどり着いた南アメリカ・ペルー。
窮屈な機内から開放された喜びと、明るい空の下でじめじめを吹き飛ばそうとしてお酒もお食事もたらふくいただいた結果、クスコへの列車に乗る1時間前になって、突然体が動かなくなりレストランのテラスがベッドになってしまいました。
アンデス民謡を演奏するバンドの哀しい音色が頭の中で回ります。

自力で歩くこともできず、近くにいたペルー人のおじさんにおんぶしてもらい、列車へ。
列車に乗ったのはいいけれど、直角のシートに座ることもできず、ふたたび列車の床がベッドになります。
床の上で3時間、ひたすら痛みを耐えてクスコへ。
じりじりと痛む体でクスコへ降り立ち、涙ににじんだ目でぼやけた夕暮れのクスコを見たとき、ぼんやりと幸せを感じました。

ホテルにチェックインしても痛みは癒えず、お医者さんを呼んでもらいました。
脈を取ったり熱を測ったりしても原因はわからず、私の口を除いた医者が一言。
「大変だ、のどが真っ赤に腫れている。風邪だろう」
いやいや、ずっとストロベリーキャンディーを舐めていただけですが…。
友人に通訳してもらっても、訴えは聞き入れられず風邪薬の処方箋をいただく。

翌日、風邪薬の効き目かケロッと治ってしまったのはどういうことだったんだろう?
日本へ帰り最初にしたのは、旅行保険の請求でした。

たまには、ワイン。

2004-11-23 23:30:29 | diary
ボジョレー・ヌーボー解禁、ってことで珍しくワインバーに参りました。
つくば市のワインサロン ル・ドサージュです。

店内はそれほど広くなく狭くなく、居心地がよい感じです。
まずは、シャンパンで乾杯。
シュワシュワときめ細かくシャープな舌触りが嬉しいです。

残念なことに、ヌーボーはもう無くなってしまったそうです…。
で、カリフォルニアの白ワインを。
モントレーって名前の軽くて飲みやすいワインを選んでもらいます。
クセが無くてまろやかで、初心者の私にもするすると飲めてしまいます。

お食事も、サラダから煮込み料理と豊富ですが、中でもオススメはチーズ。
ヤギのチーズが美味しかったですよ。
チーズと一緒のプレートに宝石のようにちりばめられたドライフルーツもとても美味しくて嬉しくなります。
ナッツもいいけど、ドライフルーツでいただくワインもいけますね!

常連さんにはなれそうにないけど、一年に一度くらいはおしゃれして大人に飲んでみるのもよいものですね。
色気より食い気の私たちは、お店を出た後おでんやさんを求めてふらふらとさまよってしまいました…。

VIVA LIVE

2004-11-21 23:48:22 | music
くるり、THE BACK HORN、ハナレグミによるライブ。Zepp Tokyoに行ってきました。
客層はボーダー、コンバース、めがね、ニットキャップってことで、圧倒的にくるりファンが多かったようです。
かく言う私もくるり好きですが、初のハナレグミライブに期待大でした。

MCは南美布さんで、シークレットゲストのお知らせが。
めちゃめちゃスペシャルだと言うものの、会場内はあまり盛り上がってなかったんですが、なんと!!!
いきなり矢沢永吉登場です!!!!!
みんな、ひっくり返って喜んでましたよ。
私も、初えいちゃんにノックアウトされました。
10日前に出ることが決まったとかで、「おじさん、来ちゃいました」とか言ってました。
白いマイクスタンドを蹴り上げるポーズも素敵。
4曲程歌ってくれました。ごめんなさい、曲はぜんぜんわからなかった…。

えいちゃんでめちゃめちゃ盛り上がった後は、THE BACK HORNです。
あの後のステージは辛かったろうな。
あんまり好きなタイプのバンドじゃないんで、う~ん、エレカシの匂いかな、くらいの印象しかない…。

で、ハナレグミ!
生で聴くハナレグミはCDの20倍くらいよかったですよ。
中でも、スーパーバタードッグのカバー「さよならカラー」が秀逸。
永積さんの言葉がぐぐぐっと胸に突き刺さります。
ギター(ウクレレ)一本だけのパフォーマンスだけど、あんな多くの人を幸せ気分に導いてくれるなんて、なんて素敵なんだろう。

ラストは、くるり。
クリストファーがいなくなっちゃってこれからどうなっちゃうのかな?と不安があったけど、大丈夫。
3人のがっつりとした気合のようなものを感じ、幸せなりました。
WESN、水中モーターなどを聴いてまた電気なくるりになるのか?とも思ったけど違うみたい。
電気も好きだったんだけど。
そういえば、「アンテナ」の楽曲をまったくやらなくてどうなるのかと思ったけど、アンコールは「ロックンロール」でした。
くるりのライブ中、2階で踊りまくっていた永積さんを見て嬉しくなり、私まで気合を入れて踊ってしまいました…。
武道館以上に3人の連帯感を強く感じ、またまた目が離せないくるりでした。

「歌右衛門の六十年-ひとつの昭和歌舞伎史-」

2004-11-18 21:56:17 | kabuki
 中村歌右衛門さんは、今は、いない。
 私が歌舞伎を見るようになったのは六世歌右衛門さんが亡くなった後だった。なんて残念なことだろう。
 いなくなった猫を探すように、歌右衛門さんを捜してみた。

 この本は、NHKのアナウンサーだった山中静夫さん(黒縁メガネのおじさんね。)との対談で、歌右衛門さんの歌舞伎人生が順を追って記されている。
 なんか、とっても色っぽいのね。ことばが。
 写真で見る歌右衛門さんって、顔が長くて肩が薄いお婆さんのようなお爺さんって感じだけど、すっごく「女」な人なんだと思う。
 対談で、「演じる」ことを「する」って言っているんだけど、これがなんかとても淫靡なの。
 歌右衛門さんにとったら「演じる」ことがすべてなんだろうけど、邪な想像をしてしまう。
 立役者吉右衛門(初代)や鴈治郎(二世)と舞台に立つ女形歌右衛門さんは、その度々にお姫様や遊女としてのすべてを生きたのよねえ。
 それが淫靡じゃないはずがない。

 歌右衛門さんにとって「芸」がすべてで、生活のひとつひとつが「芸」に結びついていた。奥さんを早くに失くしたことも、芸に没頭する一因だったのかも。
 生まれつき足が悪くて、普通に歩くことも大変だった歌右衛門さんを芸の道に駆り立てたのは、なんだったんだろう?
 五世歌右衛門の子であったこと、お兄さんが早世されたこと、戦争を潜り抜け、歌舞伎が移り変わる真っ只中にいたこと、いろんな要因があったけど、歌右衛門さんが昭和期の歌舞伎界にいたってことは、今の歌舞伎があることの重要なファクターだったみたい。

 七世歌右衛門の誕生に立ち会うことができるとしたら、それはとても幸せなことなんだと思う。
 そして、六世歌右衛門さんの分まで七世に期待しちゃうのは、やっぱり私が世俗的な人間だから?

かみのやま温泉2

2004-11-15 23:50:03 | diary
遅れてしまったけれど、かみのやま温泉「花明りの宿 月の池」でのお食事です。
お座敷の隅には、銘仙かな?赤いお花柄の昔着物がかけられていました。
ボサノバが小さくかかっていて、いい感じ。

で、お献立はこちら。
一、食前酒 巨峰酒
一、お通し 茶碗蒸し
一、温物 牡蠣貝豆腐 松茸
一、前菜 くみあげ湯葉 まこしぐれ煮 鮭寿司 子持ちこぶ
一、お造り 氷輪盛り
一、焼物 岩魚塩焼 二色田楽
一、煮物 山形名物芋煮 針葱
一、強肴 山形牛縄文焼
一、お食事
一、お椀 赤だしなめこ
一、香の物 あさ漬け
一、デザート パティシエスイーツ

 どれもこれも美味しくて、すべて食べきりました!
 特に、山形牛の縄文焼は、びっくりするほど柔らかでまるでくせが無く、たらふく食べた後でもすうっと口に入ってしまいました。
 「もってのほか」という菊のお漬物もあっさりと美味しかったですよ。
 欲を言えば、デザートは少なくていいから(なんと、4種類のプチケーキでした)、シャーベットなどの氷菓子が欲しかったですね。
 でも、ほんとうに食べ残す余地がまるでない美味しさでした。
 担当してくれた若い女性の方も、控えめでいながらしっかりと質問に答えてくださり、とても素敵でした。


吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

2004-11-14 21:29:29 | kabuki
1ヶ月ぶりに歌舞伎座へ参りました。
実は、前日に夜の部「菊畑」を幕見して友人宅へお泊り。今日はいつもの3階席です。

「箙の梅」
前回上演は昭和31年って、よく残ってましたね。
梅玉さんの若武者は素敵だし梅ヶ枝役の孝太郎さんも気合が入ってたけど、私にはこのお話は退屈でした。

「芦屋道満大内鏡 葛の葉」
 続いて、期待せずに見た「葛の葉」はかなりご満悦でした。
 前半は富十郎さんの女房とお姫様の早代わりがお見事。
 屏風返しなどの仕掛けで楽しみつつ、子を思う親の姿にしんみり。色っぽさよりも親の情を感じました。
 「恋しくば…」の和歌を書く姿は必見ですね!
 狐になって信田の森へ行く葛の葉は悲しくてでも美しくて素敵でした。

「積恋雪関扉」
 で、今日の目玉と勝手に決め付けていた「関の扉」です。
 まずは、吉右衛門さんの関守。とぼけていてときどき眼光鋭くてなにやら怪しげです。
 怪しげといったらこのお話自体がかなり怪しくて、六歌仙と傾城、雪と桜が一緒に出てきて一体どんなお話?って不思議です。まあ、綺麗だし豪華だからいいのかな。
 富十郎さんの宗貞、魁春さんの小野小町と美男美女のカップルに三枚目の関守・吉右衛門さんがからんで三人の踊りが素敵です。
 小野小町、宗貞が引っ込むと、関守だったお人よしの吉右衛門さんが悪い悪い化け物へと変わっていきます。体も一回り大きくなっていくように見えるから不思議です。
 で、小町桜を伐ろうとすると桜の木から傾城墨染の登場です。
 福助さんの墨染は、色っぽいんだけどいやらしさがなくて、どことなくはかなげです。
 ここでも不思議がたくさんで、傾城墨染実は小町桜の精はわかるけど、宗貞の弟の恋人ってどこがどうなってるの?まあ、これも気にしないことにする。
 福助さんの傾城墨染は関守を誘惑するけれど、あっさりと綺麗に誘います。吉右衛門さんも関守に戻って、廓遊び。
 楽しく遊んでいるうちに、墨染は小町桜の精に、関守は大伴黒主へと本名を明かし、立ち回りへ。
 大きくて力強い大伴黒主に、ふわふわと桜の枝を振り回す桜の精。
 もう、ずっとずっと見ていたいほどの素敵さで、うっとり…。
 また、見にいきたいなぁ。

「松栄祝嶋台 お祭り」
 最後は、仁左衛門さんのお孫さん・千之助くんの初舞台です。
 客席は千之助くんが動くたびに揺れてました。

かみのやま温泉

2004-11-10 21:50:11 | diary
JRびゅうプラザ「のんびり小町」で温泉へ。
かみのやま温泉へは山形新幹線「つばさ」で。
車窓からは紅葉を、車内ではお酒を楽しむ。昼間のお酒はいいですね。
米沢駅で、米沢牛の人気駅弁「どまんなか」をお取り寄せ。まいう~♪

かみのやま温泉は、旅館「花明りの宿 月の池」へ。こじんまりとした落ち着きのある旅館です。
ロビーでお茶(私はこんぶ茶)とお菓子をいただいて、浴衣を選んだ後、お部屋へ。
お部屋にはお漬物が待ってます(さくらんぼのお漬物は微妙…)。
のんびり寛いで、浴衣に着替えてお出かけです。
旅館の下駄を借りて、かみのやまの町へ。
まずは、旅館の目の前の足湯へ。
すこし肌寒くなってきたところでさっそく足をお湯に浸すと、気持ちがほぐれていく感じ。なおも浸けていると次第に体の中からじわじわと温まる。極楽~。
足湯から上がり、武家屋敷通りを通って、月岡神社でお参りして、上山城を眺めつつ、坂を下りて繁華街(?)へ。お酒を購入。
すこし手足が冷たくなってきたところでまた足湯へ。今度の足湯は暑すぎて浸けていられない。足を攣りそうになりながら、足湯を堪能。
帰り道、またまた足湯を発見。しかし、さらに熱いお湯で耐え切れず残念。

宿の温泉では、露天風呂に樽酒が備えてある。
お湯につかって枡でいただくお酒は最高!!
日頃のいらいらやもやもややぎしぎしした埃をすっかり流してくれる。
気分もすっきりしたところで、お食事へ。


グレン・グールド

2004-11-07 08:52:02 | cinema
以前から観たかった「グレン・グールド」だけど、「グレン・グールド エクタシス」を借りてしまう。
カナダのピアニストで、22歳で鮮烈なデビューを果たし、聴衆を嫌って32歳で演奏会を止め、レコードによってのみ作品を送り出し、早弾きとバッハで人々を魅了し、50歳で亡くなったかなり風変わりな人。
クラシックをまったく理解できない私でも、こんなエピソードが満載の人だったら、映画も十分楽しめるはず。
映画は、グレン・グールドのフィルムの断片と彼を知る多くの人のお話で構成される。
たぶん、「グレン・グールド 27歳の記憶」を先に見た方がより楽しめたかも。

芸術家が幸せだと思うのは、多くの人に感動を与え、記憶に残り、愛に包まれて生きていくから。
グールドの風変わりなエピソードはたくさんあって、電話でのみ友人と交流し、病気を恐れて大量の薬を飲み病人とは電話でさえも話さない。
それでも絶対的にすごいピアニストで、レコードによってその芸術はずっと残っていく。
聴衆にさらされることを極端に恐れたグールドだけど、聴衆はことさらに彼の姿を追いかける。
どんなに変人でも、その作り出す音楽は愛され続けていく。
グールドは、変人だったから芸術家になったのか、芸術家だったから変人になったのか?
そんなグールドを求めるのもまた聴衆なのかなあ。