米の価格が大問題になっている中でアメリカ産のカルローズ米(カリフォルニア産米)の話題も出ており、カナダでずっとそれを食べていた私達には懐かしさもあって一言書きます。
その前に、政府備蓄米の随契による放出で5㎏2160円(税込み)という話ですが、センセーショナルな話題ではありますが22年産米(古古米)20万トンは即契約成立だが21年産米(古古古米)10万トンはほとんど買い手がつかなかったとか。果たして口の肥えた日本人が2千円の差でブランド米から備蓄米に移行するのか疑問を感じないでもないです。
その点カルローズ米には味への心配はあまりないと言えます。カルローズ米は私達はカナダにいた15年間ずっと食べ続けて来ました。2008年にプリンスエドワード島に住み始めた頃はスーパーには英語表記のCalrose Riceしかなく、これが日本の米に近いSticky Riceだと言われ買っていました。美味しいとは言えないまでも炊いてそのまま食べる米としては普通の味でした。ふりかけを使えば食べられる感じです。
2年半前北海道に来て「夢ぴりか」を食べた時には米がこんなに美味しいものだということを知ってカルチャーショックを受けた感がありましたが、それくらいなじんでしまえば違和感がないのがカルローズ米です。
2007年に半年住んだハリファックスには韓国人経営の日本食材店があり、そこでは同じカルローズ米でも「錦」とか「雪花」とか日本語表記の米が売られていて、これらは通常のCalrose Riceより高かったけど何となく日本の米そのものであるような気分で、時にはこの米を買うために400㎞離れたハリファックスまでドライブしたこともありました。その後プリンスエドワード島にも中国人経営の日本食材店が出来るようになり、そういった日本語表記の米が入手できるようになったので以後私達はカナダでは大体「錦」か「雪花」で過ごしていました。
こういった日本語表記の米は日本の商社がカリフォルニアに精米工場を持っていてそこから全米やカナダなどに向けて販売しているものです。英語表記のCalrose Riceより高いと書きましたが、今価格をチェックすると「雪花」が6.8㎏(15ポンド)で25ドルでした。日本円で約2600円、5㎏換算で1900円ですから日本よりはずっと安いです。
先日イオンがカルローズ米を輸入して4㎏2680円で6月から販売すると報じられていました。5㎏税込みに換算すると3618円です。今のブランド米が4千円前後ですから500円くらい安いという感じでしょうか。日本に輸入するには関税がかかります。その関税は1㎏当たり341円です。5㎏なら1700円かかるのでイオンの3618円は妥当な価格と言えます。今までこんな高い関税を払ってまでアメリカから米を輸入するような人はほとんどいなかったのですが、日本のブランド米がここまで高騰して来ると関税を払ってでもアメリカ産米の輸入は拡大しそうだと言われています。
今回の米騒動の発端となった昨年夏の米不足は酷暑と長年の減反政策と米農家の高齢化による減少などが理由として言われていますが、それらは今後も課題として存在しこのままでは今年の夏以降も米の価格は下がることはなさそうです。
食糧安保という考えで1ミリたりとも米の輸入は認めないとやって来ましたが、日本は既にWTO(世界貿易機関)の取り決めでミニマムアクセス米77万トンを政府が毎年無関税で購入し、主食としては1部でほとんどは飼料用などに使っています。今こうした米を主食用に廻したらどうかとか、ミニマムアクセス米同様民間輸入も関税をゼロにし、安いアメリカ産米に対抗できるよう減反政策をやめて米農家の集約化によるブランド米の拡大生産と米の輸出にまで進むべきだという意見などもあります。
私には今まで考えたこともなかったので知識も知恵もあるわけではありませんが、そろそろこういった構造的な課題に腰を据えて解決策を考えなければならない時が来ているようには思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます