以前、某マンション内にあるトランクルーム(約三平米)をマンションの住民同士で売買したので、その登記手続を依頼したいという相談を受けたことがあります。
対象のトランクルームは、売主(A)が現在住んでいる専有部分(ex:101号室)の「附属建物」として登記されており、このままでは売買は成立しても、それに基づく買主(B)への所有権移転登記は出来ません。従いましてまずはじめに、登記上、このトランクルームを101号室から切り離して、一つの独立した建物として登記する必要があります。この場合の登記手続を「建物分割登記」といいます。
この登記手続は、たとえば、ある人に相続が発生し、「母屋」(主たる建物)と「離れ家」(附属建物)をそれぞれ別の相続人が相続する場合などにも利用されます。
さて、実務上、とっても悩ましいのは、例えば、母屋に対する別棟の浴槽・物置のように、社会通念上、専ら主たる建物に従属する建物であって附属建物としてのみ存在する建物(従属的附属建物)は、それ自体1個の独立した建物としての要件が備わっていないため、建物分割登記により一つの独立した建物として登記することは認められないとする見解があります(登記所でも判断の分かれるところだと思います)。
しかし、このような従属的附属建物であっても、他人に所有権を移転し、他人の建物の附属建物として登記するためなら、そのような建物分割登記は受理しなければならないとされています(Q&A建物表示登記の実務(下)参照)。
従って、上記のケースではトランクルームに独立性はありませんが建物分割登記の対象となり、分割登記後に所有権移転登記を申請することによって、トランクルームの登記名義はAからB名義へと変更されます。
以上。
※上記のようなケースでトランクルームの登記名義をAからBへ変更しておかないと、もし将来、Aが101号室を第三者へ売ったときは、トランクルームも一緒に移転登記されることになりますので注意が必要です。
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ところで、区分建物として登記された附属建物が、専有部分の属する一棟の建物と別の棟に属する場合、当該附属建物の「構造欄」に登記される事項は、当該附属建物が属する一棟の建物の所在、構造及び床面積並びに当該附属建物の構造、となります。
こんな感じです。
