秋分の日の昨日、自宅の本棚を整理していたら、昨年読んだ「死亡推定時刻」が目に留まり、手に取ったらそのまま読み耽ってしまいました。
本書は、冤罪事件に関する物語ですが、細部の描写が正確で、実にリアルに仕上がった作品だと思います。
本書には、逮捕される容疑者(主人公)の取調べを担当する「落としの・・」と呼ばれるベテラン刑事が登場します。このタイプの人間は、<まずは自分の「勘」を信じ、それが確信となったら、以後、捜査線上さまざまな矛盾や不審点が出てきても、自分の勘を疑うことはない。「落としの・・」と言われる刑事は、いったん抱いた確信をどんな困難があっても維持し通して自白を取る。その強固な自負がなければ「落としの・・」の業績はない。>とありました。
ただ、物語の中盤、このベテラン刑事の「確信」が大きく揺らぐ場面が出てきます。
それが、これです。
<もしかしてこいつは何も知らないのかもしれない。まさか殺しをやっていないなんてことがあると思えないが。
それは恐ろしいことだ。もし、この被疑者が殺しも誘拐もやっていないとしても、被疑者を逮捕し、多数の自白調書を積み重ねて、その都度マスコミに自白の内容を発表し、誘拐と被害者の殺害はこの被疑者の犯行だとということで固まっている。それをしてきた警察が、この期に及んであの調書はみんな嘘で、被疑者は無実だなどと言い出すことは、天地がひっくり返ってもできないことなのだ。>
最近のニュースの影響でしょうか、読んでいてゾッとしました。
また、本書には、次ような記述もありました。
<自白とは、取調べる捜査官と、取調べられる被疑者の、世にも不思議な共同作業で編まれていく物語だ。関係者、特に冤罪を自白した経験者は、この物語を、アイロニーをこめて「ストーリー」と呼ぶ。ストーリーが事実に反して、無辜(むこ)の被疑者を犯人とする物語となっているのが、とくに「日本型冤罪」の特徴だ。
取調官が、独自の物語調の記述で作成する「供述調書」(外国法曹からは、インベスティゲーターズ・エッセイ=「捜査官の作文」と呼ばれているもの。)が証拠の中核を占める日本の刑事裁判で、冤罪を晴らすための冤罪弁護の手法は、「ストーリー」の虚構を他の証拠によって裁判所に説得していく、という独自のスタイルを取ることになる。>
本書は、物語の完成度も高く、それだけでも十分に楽しめますが(再読後も思わず唸りました。)、同時に、読めば日本の刑事裁判の仕組みが少しは理解出来るありがたい一冊だと思います
死亡推定時刻 光文社朔立木(著)オススメ |
羅生門 デジタル完全版 [Blu-ray]作品:1950年(昭和25年)監督:黒澤明出演:三船敏郎、京マチ子、森雅之、志村喬ほか評価 |
黒澤作品の一つ「羅生門」を観ました。
「武田家」ネタの好きな私としては、以前観た黒澤映画の「影武者」に強く惹かれまして、ここ最近、黒澤映画をよく観ます
さて、この映画の原作は、ご存じ、芥川龍之介の「藪の中」です。
ただ、原作との違いは、映画では、殺害現場を終始目撃していたという「杣売り」(原作では「木こり」―死体の第一発見者―。)の証言が、最後に追加されていました。その杣売りの証言内容によれば、多襄丸や女、そして巫女(死霊の代弁者。)の語った証言は、いずれも嘘であり、自らの目撃談が、唯一の「事実」として語られています。
しかし、この杣売りの証言内容が果たして「事実」なのか、疑問に感じる場面がその後のやりとりで出てきます。果たして、この事件の事実はどこにあるのか、結局、この映画を観ても分からずじまいです。
もしかしたら、人間はみな、自分にとって都合の良いようにしか物事を観ることができないのかもしれません。ただ、それがその人にとっての「真実」として、表現されるだけのことなのかもしれません。だとすれば、たとえば、裁判における証人たちの証言内容の矛盾も理解出来るような気がします。事実のとらえ方は、人によって様々でしょうから。。しかし、裁判官は、その状況下、一つの事実認定を下さなければいけないのですから、ホント難儀な仕事だと思います。この作品をみて、改めてそう感じました。
私が社会人になって初めてマラソンの大会に出場したのが、2006年の「横浜マラソン」でした。
その時は10㎞の部にエントリーしましたが、結構余裕をもってエントリーできたと思います。
そのときの記事
http://blog.goo.ne.jp/an_feb/e/8d17449d452df24eab8c21e937f78a30
で、今年2010年の横浜マラソンは、本日の10:00からネットで受付開始でしたが、14:00頃には、10㎞・ハーフの部と定員オーバーで受付終了していました
一体どんだけマラソンブームなんでしょうか。。
私は、前回のSAIKOロードレース同様、また書士の仲間でも誘って一緒に走ろうと思っていたのですが、全くそんな余裕はありませんでした
まあ運良く自分はハーフの部にエントリーできたので、まだまだ残暑厳しいですが、10月から始まる各種大会に向けての「脚作り」をしていこうかなと思っています。
ちなみに、本大会に申し込んだついでに「第2回 越谷レイクタウンランニング」にもエントリーしてみました
ロード2周+湖畔1周(10km)というコースで、レイクタウンは家内の実家からも歩いて行ける距離なので、まあこれは遊び感覚で楽しんでみようと思っています。
第30回 横浜マラソン大会概要
http://www.yokohamamarathon.jp/a-youkou.html
では。